ほぼ日手帳は、糸井重里が主宰する1998年スタートのウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」(ほぼ日)から生まれた手帳です。2001年春、ほぼ日のオリジナルグッズ会議にて、ほぼ日手帳のアイデアが浮上。読者のかたにこの手帳がほしいかどうかを問いかけたところ、約700通の「ほしい!」というメールが届き、製作が決定。すでに売られている手帳を参考にするのではなく、自分たちが本当にほしいものを一から考えて作ることにより、まったく独自の魅力を持った手帳ができあがりました(ほぼ日手帳オリジナルの原型)。文庫本サイズ、1日1ページ、薄いのに丈夫な用紙「トモエリバー」、180度パタンとひらく製本、方眼ベースのレイアウト、毎月色の異なるページ、ページの下に入った言葉、充実したおまけページ、ポケットの多いカバーなど、今につながる特徴がすでにたくさんありました。カバーは紺のナイロン素材で2本のしおりつきでした。
想像していた以上に「ほぼ日手帳2002」の評判が良く、2002年4月に2003年版の製作が決定。カバーの種類が増え、4色から選べるようになりました。この年のカバーは表に白のシルクプリントで”ONLY IS NOT LONELY ”の文字が入ったもの。またこの年から、留め具としても機能する2つのペンさし「バタフライストッパー」が登場。以降、多くのカバーで採用される、ほぼ日手帳の特徴のひとつに。この年からはじまったおまけのボールペンも好評で、現在まで続いています。そのほか、さまざまなかたの声を参考に、方眼のサイズを大きくしたり(3ミリ方眼→4ミリ方眼)、1日ページの時間軸のデザインを変えたり、下の言葉の数を増やしたり、年間カレンダーや年間予定表(現:年間インデックス)を収録したりなど、多岐にわたる改良をおこないました。
3年目、多くのかたからの「革の手帳がほしいです」という声を受けて、黒革・茶革・ヌメ革のカバーが登場。5色のナイロンカバーとあわせて8種類から選べるようになりました。カバー自体も引き続き進化し、「外側のポケット」が登場。ナイロンカバーに撥水加工をほどこしたのも、この年からでした。手帳の中身は1日ページに「秘密の縦ライン(使いたい人だけが使えるさりげない区切り線)」が登場。チェックボックスはイラストがなくなり、シンプルな見た目になりました。さらにこの年、それまで全ページに入っているわけではなかった「日々の言葉」が365日すべてに入るようになりました。「ほぼ日刊イトイ新聞」から生まれた手帳ならではの特徴として、以来毎年収録されています。
この年いちばんのニュースは、ロフトでの販売がはじまったこと。手にとって見ることができるようになり、ぐっと買いやすくなりました。きっかけは、ロフトのウェブサイトで「オープンバイイング」という取扱商品の公募制度をおこなっていたこと。担当のほぼ日乗組員が「500冊くらい取り扱ってもらえたら」と打ち合わせに出かけたところ、ロフトからの要望はなんと15,000冊。最終的に17,000冊を納入しました。以降、ほぼ日手帳は長年にわたり、ロフトの手帳売り場売上No.1を誇っています。またこの年、ナイロンカバーの使い方の幅を広げる「カバー・オン・カバー」が登場。カバー自体の改良としては、チケットポケットの追加、バタフライストッパーの位置調整などがおこなわれています。
幻冬舎から初の公式ガイドブック『ほぼ日手帳の秘密-10万人が使って、10万人がつくる手帳』が登場。「こんなに幅広い使い方ができるんだ」ということを伝える1冊になりました。2006年版のカバーは「スーパーレインボー」な11種類のラインナップ。手帳本体の1日ページにミニカレンダーが掲載されるようになり、その都度ページをめくらなくても済むようになりました。また前年12月から使い始められる「2日で1ページ」が登場(2015年版まで継続)。さらにこの年、多くのかたの要望に応えるかたちで、4月はじまりの「ほぼ日手帳spring」がスタート。ほぼ日手帳のオプション文房具も誕生。この頃からほぼ日手帳のキーワードとして「なんでもない日、おめでとう。」が使われるようになりました。
6年目であるこの年の大きな出来事は「フェイクファブリック」と呼ばれるプリントカバーが登場したこと。こちらは千鳥格子、グレンチェック、ストライプといった洋服の生地をポリエステルにプリントしたもの。それまで無地のみだったほぼ日手帳ですが、この年以降どんどんデザインの幅が広がっていきます。カバー自体の改良も続き、カードポケットの幅を広くし、数も増やしました。また2007年版のカバーは一番下のカードポケットにふたをつけた「おさいふ手帳」仕様でした(この年のみ)。そしてほぼ日手帳の公式サイトでは、ほぼ日手帳のさまざまな使い方やニュースをお知らせする「ほぼ日手帳CLUB」がスタート。現在の「ほぼ日手帳マガジン」につながっていきます。
外側のポケットを別の色にした「ツートンカバー」が登場。今でこそおとなしいデザインに見えますが、当時は新鮮な印象でとても人気がありました。ラインナップは全20種。この時期は毎年新しいロゴを制作していましたが、2008年版ではあみぐるみ作家のタカモリ・トモコさんに刺繍で作っていただきました。手帳本体の改良としては、土日と平日のデザインに差をつけたり、月間カレンダーに週番号を追加したりといった細部の調整をおこないました。また「ほぼ日の週間手帳」「ほぼ日の路線図」などオプション文房具のデザインが統一され、全10種の「すてきな文房具」というシリーズに。現在の「TOOLS&TOYS」につながっていきます。この年は1ヶ月分の「無料お試し版」も登場、さまざまなかたに試していただきました。
大変化の年。文庫本サイズのもともとの手帳(オリジナル)の”いとこ”として、A5サイズのカズンが登場。大きなページのすみずみまで書いてもらえるようにと、この年のカズンには「日々の言葉」がありませんでした。さらに、ずっと待たれていた「日曜はじまり版」の販売もスタート。手帳本体は、グラフィックデザイナーの佐藤卓さんと一緒に細部にわたるデザイン見直しをおこないました。方眼のマス目を4ミリから3.45ミリにしたり、日付まわりの方眼をなくしたり、縦横の交差線をすべてきれいな十字にしたりなど、ぱっと見ただけではわからないような部分まで徹底的に調整しています。カバーには「マキノ・ヘリンボーン」をはじめとするファブリックカバーが初登場。さらにマガジンハウスから書籍『ほぼ日手帳公式ガイドブック』が発刊。この年から年1回発売されるようになります。
とにかくカバーの数が増えた年でした。「毎月新作カバーを発売する」というチャレンジで、最終的に全54種類のカバーが登場。上質な革を使ったHENRY CUIRのカバーや、「世界の伝統柄」シリーズはこの年スタート。またモリカゲシャツやDesertic、ほぼ日のくまのブランド「OHTO(オホト)」とのコラボレーションカバーなど、たくさんの人気カバーが生まれました。手帳本体は、2009年版で3.45ミリに変更した方眼のサイズについて、アンケートやユーザー座談会をおこない、最終的に3.7ミリ方眼に再調整。2年目のカズンは、使うかたから「日々の言葉」を望む声が多く、別冊で小冊子「365の日々の言葉」をつけました。
「ビジネスでもほぼ日手帳を使ってほしい」という思いから、10年目のこの年、週間手帳のweeksが誕生。携帯性を重視したウォレットサイズで、基本の方眼サイズはやや小さめの3.45mm。デザインはホワイトライン(ブラック)1種類のみで、「日々の言葉」はありませんでした。また、オリジナルやカズンのカバーには、ミナ ペルホネン、ディズニー、PORTERなどとのコラボレーションカバーを含む全58種類が登場。カバー自体も、内側のポケット位置を調整し、さらに使いやすくなりました。手帳本体は24時間の時間軸を30分刻みにしたり、年間インデックスの土日に色の帯をひいたり(2014版まで継続)、ちいさな改良をおこないました。また、カズンの1日ページにも「日々の言葉」がつくようになりました。
この年のテーマは”SMILE”。ほぼ日ストア特典は「スマイルミラー」という名前の、笑顔の口元がプリントされた小さな鏡でした。ミナ ペルホネンの皆川明さんが大らかな線でスマイルを描いた黄色いカバー「smile」もこの年を象徴するようなカバー。そのほかディズニー、sunui、マキノコレクション、リバティなど、たのしいラインナップが揃いました。またポーチ型のカバー「ジッパーズ」も登場。「大事なものを入れる場所」としての手帳の使い方の幅を広げてくれました。2年目となるweeksは「げんきな色」「チェック」など一気に種類が増え、11種類に。そして東日本大震災後のこの年、ほぼ日手帳を破損・紛失された方に手帳とカバーの無償提供を実施しました。
セレクトショップ&ブランド「ARTS&SCIENCE」のソニア・パークさんのディレクションのもと、英語版の「Planner」が完成。もともと手帳チームのメンバーがソニアさんに「カバーのコラボレーションをお願いできませんか?」と依頼したところ、「カバーもいいけれど手帳本体の英語版を作りたいです」と逆に提案をいただき、シンプルで洗練された英語版が誕生しました。2002年版の誕生当初、自分たちで冗談のように「やがて世界一の手帳をつくるために」と言っていたほぼ日手帳が、ほんのすこし、その夢に近づきました。また、この年のカバーは母子手帳をおしゃれに持てるカバー「&こども」などを含む全85種。手帳本体は角が丸くなり、折れにくい仕様になりました。
毎年カバーの数が増え続けていたほぼ日手帳ですが、この年のテーマは「ことしのわたしは、たのしい」。2014年版では過去最大の98種類のラインナップが揃いました。絵本作家・荒井良二さんの「いつでも話を聞きますよとロバが言います」、ひびのこづえさんの「森のクマ」、 岡本太郎さんの「建設」、THE NORTH FACEの「FIELD PACK」、ミッキーのぬいぐるみの顔を大きくプリントした「VINTAGE MICKEY」など、個性の強いカバーがたくさん登場。またこの年「ほぼ日手帳コピー大賞」を開催。糸井重里が2日間かけて、全応募作品13,104通に目を通して、受賞作品を選びました。金賞は愛知県の巽洋子さんの「すすめてくれた人は、きっと、あなたが好き」。さらにこの年はデザイナーの中村勇吾さんによる、ほぼ日手帳のたのしいムービーも生まれました。さらにほぼ日手帳公式サイトはこの年、英語に対応。海外のお客さまにもお買いものがしやすくなりました。
この年、変わったかたちで本体が進化を遂げます。オリジナルとカズンに分冊版の「ほぼ日手帳 avec(アヴェク)」が誕生。1年を「1~6月」「7~12月」の2冊に分けたもので、オリジナルやカズンの手帳をもっと軽く持ちたい人や、いろいろ貼って分厚くなることが気になる人に喜ばれるアイテムとなりました。手帳カバーも引き続きさまざまなものが登場、シリコンカバー「SSACK」やふわふわの「フェイクファー」、中川翔子さんの「マミタス」、石川直樹さんの「HIMALAYA」などがありました。糸井重里がゲームデザインを手がけた「MOTHER」シリーズの手帳もこの年からスタート、毎年の人気シリーズに。そしてこの年、ほぼ日手帳を定義する新しいことば「LIFEのBOOK」を糸井重里が想到。渋谷ロフトでは発売記念イベントとして、21名のかたに聞いた「Life is…」を紹介する展示「Life is…」展がおこなわれました。またPlannerを紹介する英語ページも誕生しました。
写真家・川島小鳥さんによる予告ムービー「This is my LIFE.」からはじまった2016年版のほぼ日手帳。この年はファッションブランド・アンリアレイジの半月型カバー、ハローキティ、こぎん刺し、岡本太郎さんの「太陽の塔」カバー、岡崎京子さんのweeksなどを含む全87種類のラインナップが揃いました。Instagramでも「#ほぼ日手帳」「#hobonichi」が人気のタグに。海外のユーザーのかたが増えていることが、少しずつ目に見えるかたちでわかるようになりました。またユーザーのかたに呼びかけ、ほぼ日オフィスで「ほぼ日手帳使ってます! 60人ミーティング」を開催。実際に使っているみなさんから、リアルなお話をたっぷりと聞かせていただきました。この年、ほぼ日手帳公式サイトはスマートフォンに対応。またすこし、お買い物がしやすくなりました。
手帳カバーは増田セバスチャンさんやSnow Peakのものなど、これまでの年に負けず劣らずにぎやか。そしてこの年、過去に登場した「世界の伝統柄」シリーズの復刻投票をおこない、一番人気だった「ウクライナの花」が2017年版のカバーとして再登場しました。また、全国各地でユーザーのみなさんと直接手帳の話をする「ほぼ日手帳ミーティングキャラバン」がスタート。2ヶ月の1度ペースで全国(ときには海外も!)を巡る、恒例イベントになりました。海外からは「ほぼ日手帳が好き」ということでつながった世界各地の36人が、1冊のほぼ日手帳に交換日記のように記録していく「Traveling Hobonichi」という見事な使い方が登場。さらにほぼ日手帳のオフ会が中国やフィリピンでおこなわれるなど、思いがけない新しい動きが出てくるようになりました。この年、糸井重里はインタビューのなかで、ほぼ日手帳をとりまく状況について「船が湾を出た感じ」と表現しています。
株式会社ほぼ日が上場し、その影響でほぼ日手帳がより多くの人に知られるようになるとともに、新アイテムがたくさん登場した17年目でした。まず、巻末のメモページを3倍に増やした「ほぼ日手帳weeks MEGA」。ますますweeksの使い方の幅がひろがりました。そして発売とともに大人気となった、ほぼ日手帳の新しい顔のひとつが「ほぼ日5年手帳」。元社長の高田明さんも気に入ってくださり、ジャパネットたかたでも販売をおこないました。さらに、ほぼ日手帳の新しいなかまとなる文房具「ひきだしポーチ」も登場。また、絵本作家のヨシタケシンスケさんが手がけたこの年の取扱説明書があまりの人気だったことにより、springではヨシタケシンスケさんの手帳カバーが登場。さらに、中国での公式販売もスタート。ニュースの多い一年でした。
18年目を迎えたほぼ日手帳。
2年目の5年手帳には「おおきいほぼ日5年手帳」が登場。
また、中国での限定販売アイテムとして簡体字版が完成。
またラインナップは「ドラえもん」や「ブイヨン」「チャレンジミッケ!」のコラボレーションカバーをはじめとする全103種類が登場。
新シリーズ「ひきだしポーチ」も大好評。
またこの年、いっしょに製作しているみなさんの現場を糸井重里がまわる「イトイのお礼行脚」をおこないました。
2020年版いちばんのニュースは、新タイプの月間ノート手帳「day-free(デイフリー)」が誕生したこと。「月間スケジュール」と「メモページ」がメインの、これまでとはまったく異なる使い方がたのしめるほぼ日手帳です。また、springのスペシャルカバーとして、クリエーターのコンドウアキさんともに作った「ダンシングきつね」、糸井重里が大切にしている“おちつけ”という言葉を、石川九楊さんの書で表現した「おちつけ」が登場しました。そのほか、新たな試みとして、ドイツのぬいぐるみメーカー「シュタイフ」とのコラボレーションから生まれたチョコレートを販売。2020年のテーマ「トリニティ」に合わせて、東京・渋谷のショコラティエ「テオブロマ」に、3つのフレーバーをたのしめる「キャビア・チョコレート」をつくっていただきました。
20年目を迎えたほぼ日手帳。前年に新しく登場したday-freeにぴったりと装着できる、専用カバー「BSライト」が誕生。また、鉄腕アトム、ドラえもん、らんま1/2、ちびまる子ちゃんの「JAPAN MANGA CLASSIC」シリーズ、「MOTHER」や「セサミストリート」とのコラボレーションカバーもそろいました。さらに、中国での限定販売アイテム「簡体字版」のカズンサイズも誕生したほか、ほぼ日手帳の仲間として、「weeksケース mokku」や「ほぼ日のサコッシュ mate」など、手帳といっしょに使えるアイテムが登場しました。また、この年、新型コロナウイルスの影響により在宅で仕事をする機会が増えるなか、4月からほぼ日の乗組員全員でほぼ日手帳を使用。手で書くこと、言葉にすることと改めて向き合うきっかけとなりました。
2021年版に続く漫画のシリーズ・高橋留美子さんの作品『犬夜叉』の手帳カバーやweeks、文具をつくりました。また、2020年11月にほぼ日手帳の本社が東京・神田に移転したことから、神田をテーマにした手帳カバーやweeksを製作。ミナ ペルホネンのカバーなど、ほぼ日5年手帳のカバーも増えました。さらに、簡体字版のweeksも新たに誕生! 21年目も変わらず進化を続けていきます。