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LIFEのBOOK ほぼ日手帳 2017

LOFT手帳部門12年連続NO.1

ほぼ日手帳 2017

記憶の引き出しを開く、鍵のような手帳。 国立天文台・小野智子さんのほぼ日手帳

国立天文台の広報として働く小野智子さんは、
仕事のこともプライベートのことも、
ほぼ日手帳にメモすることを習慣にされています。
記憶と照らし合わせられるように書かれたメモは、
小野さん独自のルールに沿ったものでした。
たとえば、会議でキーワードだけを書いたり、
メモページの右ページだけを使ったり。
小野さんのほぼ日手帳には、
読み返した時に思い出すためのきっかけが、
たっぷりと詰まっていました。

小野智子さんのプロフィール

青森県五所川原市生まれ。
大学院修士課程で教育学と天文学を学んだ後、
1994年より、公開天文台の
兵庫県立西はりま天文台研究員として
望遠鏡で見る星空の魅力を伝える仕事に従事。
1998年からは
東京・三鷹にある国立天文台天文情報センターにて
天文学の広報と普及事業に携わってこられました。
「ほぼ日」では、2012年の
「金環日食すべりこみ講座。」
金環日食を安全にたのしむポイントを
教えていただきました。

――
よろしくお願いします。
小野さんはふだん、「ほぼ日手帳」を
どう使っているのでしょうか。
小野
weeksをプライベートでも持ち歩いて、
スケジュール帳として使っています。
カズンは、デスクの置き手帳にしていて、
その日に何をしたかの記録をしています。
――
仕事とプライベートで、
使い分けをされているんですね。
小野
weeksは、仕事でも、休日に出かける時でも、
荷物をよっぽど軽くしたい時以外は、
カバンに入れて持ち歩きます。
アナログな人間なので、
紙とペンがないと、なんだか落ち着かなくて。
あっ、これが実際に出かけた先で
メモが必要な時に切って使ったところです。
――
メモページを切ったんですね!
小野
手帳の下敷きをあてて
パリッと切るのに使ったり、
あとは、定規がわりに使ったり。
――
カッターにも、定規にも。
下敷きって、便利ですね。
小野
一時期は、手帳を使わないで、
スケジュール管理も、メモも、
スマートフォンで記録していた時期があったんです。
でも、矢印をひっぱったり、文字を囲んだり、
デジタルではすぐにできないことが、
紙ならフリーに書けるのがいいですね。
――
お仕事のスケジュールは
どう管理されているんでしょうか。
小野
スケジュールが自分の頭に
入っていないと気が済まないんですよね。
スマートフォンに予定を入れてはいるけれど、
同じことを手帳にも書いています。
朝、出勤でバスに乗る15分間に手帳を見て、
「今週は何があるかな?」という確認を、
毎朝のようにやっているんです。
――
毎朝の習慣なんですね。
他にも、お仕事にどう活用しているんでしょう。
小野
仕事のことなら何でも、
手帳にすべて書くようにしています。
以前は会議資料として配られたプリントに
メモを書き込むこともありましたが、
どこに書いたかなって、探さないと出てこないんです。
――
書いたはずなのに、
場所を忘れちゃうことってありますよね。
小野
広報という仕事柄、電話をいただくことも多いので、
机の左側にいつも手帳(カズン)を置いています。
電話がかかってきたら、
まず手帳を開いてから電話を取って、
手帳にメモを書くようにしています。
新聞記者さんなどから電話取材を受ける時でも、
冒頭にお名前をお聞きして、いろいろ喋っている間に、
相手のお名前を忘れてしまうこともあるんです。
――
固有名詞だけ、うっかり抜けてしまうんでよね。
小野
そのかたと実際にどこかでお会いした時に、
「先日はありがとうございました」と言われて、
「ええと、誰だっけ」なんてことになると失礼ですし。
電話を取ってすぐお名前を書くようにしています。
――
はい、よくわかります。
手帳をいつもそばに置いているんですね。
その日のことを何でも書けるノートみたいな。
小野
はい、基本的にメモ代わりですね。
机には過去の手帳も並べてあるんです。
手帳を1年間使い終えたら背表紙に年号を書いて、
仕事机の棚に並べてあります。
去年のことを調べたければ、手帳を取り出して、
「去年はこうやってやったな」と思い出したり。
手帳には、過去の仕事メールにも残っていない、
自分しか書いていない記録があったりするので。
――
過去の自分が助けてくれるんですね。
メモページには、
どんなことが書かれているのでしょうか。
小野
たとえば、打ち合わせ用のメモなら、
話しながら書くので、細かいことは書きません。
全部書いちゃうと話半分しか聞けないから、
打ち合わせのメモは、かなりざっくりです。
――
思い出すためのヒントですね。
その日のことは、その日のページに
記録していますか。
小野
基本的には、その日に。
会議が集中する日には、1ページで書ききれないから、
休みの日のページに矢印を引っ張って
続きを書いたりしています。
後ろのメモページは落書き帳ですね。
考えをまとめたい時には、
ペンを持って紙に向かうんです。
――
小野さんのメモって、すごくきれいで、
几帳面に整理されていますね。
ご自身用のメモとは言いつつ、
かなり、きれいに書かれていますよね。
小野
weeksのメモページの中に、1本だけ太めの線がありますよね。
学生時代に使っていたノートの癖で、
左のスペースに小見出しをつけたりして。
――
習慣になっているんですね。
この線を、「秘密の縦ライン」と呼んでいます。
小野
絶妙ですよね、この濃さが。
――
ありがとうございます。
ちなみに、見返したくなるような
思い入れの強いページってありますか。
小野
2014年に父を亡くしているんですが、
父が倒れてからの4年半に、私はどれくらい
彼に会いに行けたんだろうと思って、
ちょっと振り返ってみたんですね。
――
ええ、はい。
小野
2010年に外出先で突然倒れて、
一命は取り留めたんですけども、
その後ずっと意識がないままだったんです。
私の実家は青森で、
当時は新幹線が通っていなかったので
飛行機で帰っていたんですね。
飛行機の搭乗券を全部残していて、
途中から新幹線の記録もするようになりました。
――
振り返れるのは、手帳ならではですね。
小野
振り返れるのが紙の強みだと思いますし、
ちゃんと1冊になっているのが
いいところだなぁと思っています。
――
手帳に移動の記録を残していたから、
思い出すきっかけになっていたんですね。
小野
何から何まで書いていなくても、
思い出すきっかけになりますから。
「そういえば、この時はこんなことがあったな」
というのが、なんだかうれしい。
たとえば、病院でもらった薬の記録とか。
――
ああ、いいですね。
小野
おくすり手帳も持っているんですけど、
薬局でプリントアウトされた
シールを貼るようになっていますよね。
でも、昔のシールは印字が消えちゃうことがあって。
だから、本当に大事なことは
ちゃんと書いておいたほうがいいかなと。
――
お財布に入れたレシートの文字も、
薄くなったりしますもんね。
小野
あと、スマートフォンに記録した
スケジュール帳なんかも、
過去のものって消えちゃうんです。
そこに気づいて、手帳が大事だなって思いました。
やっぱり紙とペンだと。
――
データは消える。
小野
たいしたこと書いてあるわけじゃないですけど、
何かが残っている、ということは、
誰にとっても、自分にとっても、いいので。
――
あとになって、うれしさがわかる。
小野さんのweeksを見て気になっていたんですが、
メモページの右側ばかりに書かれていますよね。
小野
これは単に私の癖なんですけど、
右側に書いてあることについて、
何かコメントしたり、メモを書き足したり、
あるいは、落書きのようなものを書く時とかは
左に書くようにしていますね。
――
右ページだけ書く、というのは初めて見ました。
ノートも、同じように使うんですか。
小野
はい。ノートは基本、右ばかりです。
紙がもったいないですけど、
それでも、こういう書き方をしちゃうんです。
左ページに書く時は、
右手に紙が擦れる感じが苦手で。
――
はあー。昔からですか?
小野
もう、ずっと右ページばかりに書いています。
私にとっての左ページは、
特別なことのために取っておくような
感覚なのかもしれません。
仕事のことを右ページに書きだした後で、
ふと思い出したことを、左ページに書き足したり。
――
あくまでも右がメインで、
左に補足や大事なことが書かれている。
大事な情報が埋もれない工夫ですね。
小野
そういうことですね。
時系列に書いたメモの後ろに書き足すだけだと、
本当は関係している情報のはずなのに、
物理的に離れちゃうんです。
――
いつでも差し込めるようにしてあるんですね。
自分でルールを作ると、使いやすいですね。
小野
最初からルールがあったわけじゃないけれど、
手帳を使っていくうちに、
知らないうちにルールができている感じですね。
癖みたいなものですが、
かといって、誰かに説明するものでもないので。
――
たしかにそうですね。
そういうルールを、みんなが持っているといいですね。
小野
取材をきっかけに改めて手帳を見直してみて、
いろんなことを思い出せました。
――
思い出すきっかけが全部、
手帳の中に入っていますもんね。
小野
書いているうちに記憶しているので、
実は見返さなくても覚えてはいられるんです。
自分の手を動かして書いたことで、
この辺りに何かを書いていたなっていう、
そういう記憶が頭に残るんですよね。
――
引き出しの鍵だけ覚えておけばいい、
みたいな感覚ですね。
小野
ああ、そうです。
どこに何を入れたかさえ覚えておけば、
細かいことは、開ければわかる。
――
小野さんのお話を聞かせていただいて、
自分で作ったルールに沿って
使ってくださっていたのが、ありがたいです。
小野
ありがとうございます。
――
ありがとうございました!