2017年のほぼ日手帳springのラインナップに、
横山裕一さんの「weeks」が加わります。
日本でも海外でも人気を誇るアーティスト、
横山さんのクールでカッコいい絵を
手帳にして持ち歩きたい!
ほぼ日手帳チームの強い希望ではじまった
制作の道のりを、担当「ほぼ日」笠井が
前後編で短めにご報告させていただきます。
謎に包まれた横山さんのお人柄、
いったいどんな方なのか?
横山裕一よこやまゆういち / 美術家、マンガ家
1967年宮崎県生まれ。武蔵野美術大学油絵科卒業。
ファインアートの制作を行っていたが、2000年以降「時間が表現できる」とマンガを発表。
後に「ネオ漫画」と称される独創的な作品は、様々な分野で高い評価を得る。
現在は、現代アーティストとしても活躍。
著作に『ニュー土木』『トラベル』『NIWA』『ベビーブーム』
『世界地図の間』(以上イースト・プレス)、
『アウトドアー』(講談社)、『ルーム』(ハモニカブックス)、
画集に『横山裕一カラー画集』(ブルーマーク)などがある(ブルーマーク)。
欧米でも翻訳出版されている。
横山裕一さんのweeks「コケ」はこちら
Special Boxもあります!
後編「インタビューは受けません」
前編につづき、ほぼ日手帳springの
横山裕一さんの「weeks」について
お伝えいたします。
横山さんに、採用する作品について
ご相談していたときのこと。
横山さんは
「カラー作品はもう作れない」
とおっしゃいました。
その理由は、使用していた画材が
廃番になってしまったからだそうです。
そんな‥‥。カラーがもう、一生ダメ?
誰か復活させてほしい、その画材!
横山さんの手帳を作れるならカラーがいいな、
と思っていたので、しょげていたら、
「そちらでモノクロの作品に色をつけてもいいよ!」
と、あっさりおっしゃいました。
これは、あまりにも予想外のご提案で
どうしたらいいかわからないくらい混乱しました。
しかし、検討を重ね、やはり
これまでの横山さんのカラーの作品から選んで
手帳に採用することに決めました。
手帳になった作品のタイトルは「コケ」です。
また、検討段階で、
横山さんはとても大切な作品のマザー(もと)を
たいへん気軽に送ってくるので、
こちらとしてはとても緊張しました。
小さなデータでもいいから、まずは
メールで検討したかったのですが‥‥。
絵が決定して、いよいよ「weeks」の判型にあてはめて
デザインをしていく段階に入りました。
アーティストの大事な作品をお預かりして
デザインをさせていただくのですから、
とても気合いが入ります。
作品をもとに手帳を作るには、
リサイズ、トリミング、印刷色、
作品に文字を載せることなど、
たいへんデリケートな問題があるのですが、
「自分があれこれ言うよりも、
おまかせしたほうが、ものとしてよくなるので」
と、横山さんは終始おっしゃいました。
なんなんだろう、この、
器の大きな(えらそうにすみません)、
スカッとした感じ‥‥。
でも、「おまかせしたほうが」と言われたぶん、
いいものを作らなきゃ、と
自分たちのプレッシャーになりました。
メールで何度か図版のやりとりもしたあとに、
私が最も横山さんらしさを感じたエピソードを
ご紹介しましょう。
それは、私がずっと訊きたかったあのことを
横山さんにぶつけたときのことでした。
やっぱり!!!! やっぱりガラケーだった!!!
そう思っていつもデータを軽くして送っていたのに‥‥
開けていなかったなんて(涙)!!!
データを開かなくても
たいして気にしていない横山さんって!
いろいろとびっくりした瞬間でした。
手帳のタグに横山さんのサインを
入れようということになり、
サインの描きおろしをお願いしました。
そのとき、私がヒヨコちゃんが好きだと言ったら
何パターンも描いてくださいました。
とてもうれしかった。
そんな横山さんが唯一、
断固として受けてくださらなかったのが
対面のインタビュー取材でした。
これまでいくつか取材記事があったので、
受けていただけるかな? と思ったのですが
ダメでした。
ですから、このご紹介記事は、
「窓口担当がこれまでのことを振り返ってみて書いてみる」
というスタイルになりました。
あとでいろいろ考えましたが、横山さんは
「約束をして会う」
というようなことが
お嫌いなのかもしれません。
私たちほぼ日手帳チームが
ここまでのことで感じた
すがすがしさとカッコよさは、
おそらく横山さんの作品につながっていると思います。
もしかしたら、この感覚は
横山さんの作品そのものなのかもしれない。
だって、メールひとつとっても、
横山さん以外の何でもない気がするから。
このストレートなオリジナリティとカッコよさを
手帳にして渡したい。
Special Boxも、そういった経緯で作りました。
春の勢いあるスタートにぴったりだと私は思っています。
最後に、横山さんに質問をしてみたいと思います。
ほぼ日手帳は「LIFEのBOOK」「This is my LIFE.」という
キャッチコピーがついています。
糸井は以前「LIFE」について以下のように表現しました。
「LIFE」といったって、
いろんな意味がある。
重々しく「人生」と言ってみようか。
それは、それで、いいと思うよ。
これがわたしの人生です。
This is my LIFE.
毎日の「暮らし」と訳してはどうだろう。
うん。そう。暮らしてるよ、みんなね。
これがわたしの暮らしです。
This is my LIFE.
いいんじゃないかな、これも。
そして、「いのち」という意味があるよね。
生きてること、生きてるもの、
そういうことば。
これがわたしの「いのち」です。
This is my LIFE.
人生、暮らし、いのち。
いのち、暮らし、人生。
どれもみんな含んでいるのが「LIFE」。
これが、わたしです、わたしそのものです。
This is my LIFE. 「LIFEのBOOK」
ほぼ日手帳。
LIFEという言葉から、横山さんは
何を思い浮かべるのでしょうか?
横山さんにとっての
LIFEとは何でしょうか?
LIFEで思い出すのは
- ●関西にある(関東にもあるかも)スーパーの名前
- ●外国の雑誌
- ●そしてある時期趣味で描いていた「LIFE」というタイトルの
個人的絵日記が存在しその中のキャラクターを起用し
のちに「ベビーブーム」という赤ちゃんの漫画にした
じつは 「ベビーブーム」刊行の際にもこのタイトルのままに
しようかとはじめは思ったが〈それはやめた〉
LIFEとは私にとって時間そのものでありその中身を例えば
-漫画を1ヶ月に何P描けたとか年間何回サーフィンに行ったとか
今週何回飲酒してしまった/
といった具合に数字に置換えらるものと言えるが
非情な人間との誤解を招きかねず普段は内緒にしている
ありがとうございました!
新しい春に、横山さんのweeks
「コケ」をどうぞ手にとってみてください。
(おしまい)
2017-01-30-MON