2おかっぱシャワーLIFE。
- ――
- ネタ帳はまた別に、
ノートがあったりするんですか?
- 川村
- ネタはノートに書いていて、
いまも持ってますけど、
中はたぶん、私にしかわからないかも。
思いついたものを書くっていう感じです。
- ――
- 「たんぽぽ」でのネタ担当は、
川村さんなんですか。
- 川村
- 「たんぽぽ」を2008年に結成するまでは、
もともとお互いにピン芸人だったので、
「私、こういうのやりたい」って言ったのを、
ふたりで一緒につくっています。
- ――
- 2008年ということは、
「ほぼ日手帳」を使い始めた頃には、
まだ、結成していなかったんですね。
- 川村
- そうです、1人でやってたときです。
死んでいるっていう設定で、着物を着て、
「ドロンドローン、ドロンドローン」って
言いながら出てきて、
虐げられたエピソードとかを話す
復讐のネタをやっていたんですけど。
- ――
- わははは!
それ、怖いですねえ。
- 川村
- えへへ、怖いですよねえ。
占い師さんから、そのネタを続けたら、
病気になるよって言われたんで、
やめなきゃと思ってやめました。
- ――
- そういう意味では、
2007年のスケジュールのページの
混沌具合にもすごく説得力が‥‥。
- 川村
- 病んでましたよね、本当に(笑)。
- ――
- でも、いまは生きてますね。
- 川村
- いまは生きてますか? よかったあ!
でも私、「ほぼ日手帳」のひとことに、
すごく助けられたっていう思いがあるんです。
本とかも、全部を読み切らないと、
言葉に触れることってできないんですが、
「ほぼ日手帳」はパッと見たときに、
誰かの琴線に触れたようなことが
書かれているじゃないですか。
そういう言葉を覗けるっていうのは、
すごく得をした気分になれる手帳ですよね。
そういうのも含めて「ほぼ日手帳」が好きです。
- ――
- ああ、嬉しいです。
ありがとうございます。
- 川村
- 私がよく行く焼き肉屋さんでも、
言葉のおみくじみたいなのをくれるんです。
「本番は1回」とか、ドキッとするような、
いまの自分に必要な言葉が不思議と出るんです。
「ほぼ日手帳」にもそういう言葉がありますよね。
それで、その焼肉屋さんに
ご一緒させていただいていた
森三中の大島さんと一緒に
自分達でも言葉のおみくじを作って、
遊んでいたことがあります。
- ――
- えっ! そんなことまで!
作った言葉はどうされたんですか。
- 川村
- 紙に書いて、おみくじみたいにみんなに配りました。
- ――
- へぇーっ! 「川村語録」みたいな言葉が。
- 川村
- 「ちょっと、いいこと言ってるな」っていうものと、
全然くだらないものもあるんですけど。
普段思っていることを、
自分のひとことにして作ったことがあります。
- ――
- そういう言葉の影響もあって、
手帳を書かれている内容にも、
変化はありましたか。
- 川村
- 最初はけっこう、こんなのが嫌だったとか、
ネガティブなことを書くことが多かったけど、
いまは、すごく前向きな言葉が多いですね。
- ――
- 10年前は、交通費もなかった時代だから。
- 川村
- すごく悩んでましたもん。
「私に何ができるだろう」、
「なんでこんなに欲ばかり。きょうも何も食べてない」
って書いてある。
- ――
- きょうも何も食べてない‥‥。
- 川村
- きょうも何も食べてない。
どんだけお金ないんですかね。かわいそう。
- ――
- かわいそうな20代‥‥。
- 川村
- 風呂なしアパートに住んでいた時期もあったんで。
目黒の事務所に近いところがいいなと思って、
白金の風呂なしアパートに住んでいました。
- ――
- 白金って高級住宅街のイメージですけど、
風呂なしのアパートがあるんですか?
- 川村
- ええ、あるんですよ。家賃は3万8000円でした。
白金の「シロガネーゼ」に掛けて、
自分で「フロガネーゼ」って呼んでました。
- ――
- フロガネーゼ(笑)。
- 川村
- 目黒駅前にあるマンガ喫茶によく行ってました。
マンガ喫茶だと基本料金が200円で、
シャワーを借りるのに300円、
だから500円かかるんですよ。
銭湯の460円に比べたら40円高いんですけど、
マンガ喫茶はジュースが飲み放題なんで!
- ――
- はー、なるほど。
- 川村
- ただし、10分の勝負です。
10分を過ぎると追加料金が足されちゃうから、
10分で全部洗って店を出る。
シャワーはものすごく速かったですよ。
だからいまでも、カラスの行水なんです。
- ――
- その頃の習慣が残っちゃった。
- 川村
- マンガ喫茶に通いすぎて、
「また、おかっぱシャワーが来た!」って、
店員さんにあだ名をつけられていました。
もう、何も言わなくても、
シャワーセットの袋を出してくれましたよ。
- ――
- おかっぱシャワー(笑)。
あだ名で呼ばれるほど、
毎日通っていたんですか。
- 川村
- そうですよ。
女子はやっぱり、毎日シャワーに入りたいので。
仕事終わりとか、バイト終わりとかに
目黒の駅前に寄ってちゃんと毎日シャワー。
- ――
- ああ、なるほど。
しかも、アルバイト先も焼き鳥屋さんだから、
煙のにおいがついちゃうだろうし。
- 川村
- そう、特に私は板場で働いていたから、
においがキツくて‥‥。
だから、バイト帰りには必ずシャワーに寄って、
「おかっぱシャワーが来た!」って言われながら。
- ――
- でも、そのマンガ喫茶の店員さんも、
テレビで「おかっぱシャワー」の活躍を見て
驚いているかもしれませんね。
- 川村
- もしかしたら、見てくれているかなあ。
そうだったら嬉しいですね。
本当に、ほぼ毎日通っていましたから。
- ――
- 風呂なしアパートの時期は、
けっこう続いていたんですか。
- 川村
- 風呂なしアパートに住んでいたのは、
2011年までの2年間。
- ――
- フロガネーゼ時代を乗り越えて、
今があるんですね。
(つづきます)