第2回 デザイナーが黒を選ぶ理由
- ーー
- 「TS2017」はシルバー色の革でしたが、
「TS2018」で選ばれたのは、黒革ですね。
いろんなかたが手帳として持ったときに
スタンダードなものとして使っていただける色ですが、
卓さんが個人的にもっているイメージとしては、
「黒」は、どんな色なんでしょうか。
- 佐藤
- 黒‥‥そうですね。
デザイナーってね、なぜか
黒い服を着ている人が多いんですよ。
1年に1回、いろんな都市で
世界のグラフィックデザイナーが
集まる会があるんですけど、
そこにいる人たち、ほとんど真っ黒。
- ーー
- (笑)。
- 佐藤
- フォーマルな場にもふさわしい色っていうのも
もちろんあるんだけど、
デザイナーは「黒子であればいい」っていう
考え方も、ちょっとある気がするんです。
「デザインそのもの」が、世の中で生きていればいい。
デザインの裏側にいるデザイナーは、
存在感を消したいという気持ちが少しあって。
- ーー
- なるほど、デザイナーという職業柄で。
- 佐藤
- 黒っていうのは、あまり主張しないで
そのまま空間に消えていくようなところが
あるんでしょうね。
ただ、デザイナー的には、黒といっても、
その上で少し質感を工夫したり、追求したりしたい
という気持ちはあるかもしれません。
- ーー
- たしかに、同じ黒でもTSブラック ベーシックと
TS2018バトラーでは印象がまるで違いますね。
- 佐藤
- それからもうひとつ、黒という色で思うことといえば、
日本人は髪の毛が黒いから
黒を着ると、自然と髪の毛も含めて
コーディネーションが成立しちゃう
っていうところもありますよね。
- ーー
- そうか、黒は日本人の髪の毛の色!
- 佐藤
- そう。たとえば、少し髪の毛を茶色くするだけで、
着るものの服の色って、変わりますよね。
僕も以前、ド金髪にした時に、
ピンクのセーターとか、蛍光オレンジの服を
けっこう積極的に着ていました。
でも、そういう、行き過ぎた時代を経て。
- ――
- 経て(笑)。
- 佐藤
- 今はもう、黒い服が多いですね。
さらに言うと、日本の場合は、
色に対して、名前がすごく豊かに付いていて
それだけ、色を見分けるっていうことが
もともとの文化の中にあるんです。
だから同じ「黒い革」のなかにもね、
すごく豊かな世界があるんだと思います。
- ――
- ベーシックとバトラーを見比べると
よくわかる気がします。
ところで、卓さんの好きな色は何色ですか。
- 佐藤
- 「好きな色は?」って聞かれたら
「黄色」と答えるようにしています。
黄色はね、有彩色の中で、どんな色にも合う色なんですよ。
- ――
- どんな色とも合う。
- 佐藤
- 無彩色、つまり白とかグレーとか黒なら
隣にどんな色が来ても合うでしょう?
赤とか緑とかの有彩色だと、
合う色と合わない色があるんだけど、
黄色は隣に青や緑が来ても、グレーが来ても、
真っ赤が来てもOKでしょう?
- ――
- そうですね。
- 佐藤
- ちょっと理屈っぽいんだけど、
どんな色にも合わせられるっていうのと、
明るくて楽しくて軽いっていうところが好きかな。
重たくないし、強すぎない。
だから、黄色は好きなんです。
- ――
- 卓さんにデザインしていただいた
「ほぼ日」のロゴが入った
ことしの「おまけのボールペン」も黄色です。
どんな色にも合うって聞くと、
なんだかうれしいですね。
- 佐藤
- そういえば、さっきから
ちらっと見えているんだけど、
それ、ことしのトートバッグだよね?
- ――
- あ、はい!
TS2018の革「バトラー」で作った
卓さんプロデュースのトートバッグです。
完成したので、見ていただこうと思って
持ってきたんです。
- 佐藤
- いやぁ、うれしい。この荒い感じがいいね。
あららら、これ、また気に入っちゃったなぁ。
- ――
- この完成形になるまでに、
何度か、調整をしましたね。
- 佐藤
- カジュアルな印象になるよう、
上のほうの幅を少しだけ広げてもらったんです。
- ーー
- A4ファイルが横に入るサイズというのも、
使いやすそうです。
- 佐藤
- うん、それから
取っ手の縫い目が、
バッグの内側に隠れるようにできたのもうれしい。
取っ手の縫い目が見えずに
きれいに収めてあるバッグは、
意外と少ないかもしれないね。
- 佐藤
- それから持ち手のカーブもいいね。
前回の「TS2017」のときと比べて
今回は持ち手を丸くしてもらったので、
ちょっとまた表情が違っていて。
- ――
- この丸さが、手に馴染みますよね。
かっこよさと、かわいらしい印象もあるので
男性はもちろん、女性も持ちやすいと思います。
- 佐藤
- ブランドのロゴや文字が何もなくて
「グラフィック要素がない」ところもいい。
探しに行っても、なかなか見つからない。
そういうものができて、すごくうれしいです!
今回、佐藤卓さんが選んだ革「バトラー」で作った
トートバッグ「バトラー/トート」を受注販売いたします。
受注期間は2017年9/1(金)午前11時~9/11(月)午前11時です。
くわしくはこちらのページをご確認ください。
- TS2018 バトラー(オリジナル)
- 21,600円(カバー&本体セット)
- TS2018 バトラー(オリジナル)
- 21,600円(カバー&本体セット)
- TS2018 バトラー(カズン)
- 30,780円(カバー&本体セット)
- TS2018 バトラー(カズン)
- 30,780円(カバー&本体セット)
- TSブラック ベーシック(オリジナル)
- 10,260円(カバー&本体セット)
- TSブラック ベーシック(オリジナル)
- 10,260円(カバー&本体セット)
- TSブラック ベーシック(カズン)
- 16,200円(カバー&本体セット)
- TSブラック ベーシック(カズン)
- 16,200円(カバー&本体セット)
- バトラー/トート
- 64,800円
- バトラー/トート
- 64,800円