どこにでもある段ボールが生まれ変わってできた、どこにもない手帳カバー。

どの家庭にもあって、いつかは捨てられる
「段ボール」に注目したアーティストがいます。
東京を拠点に活動する、Cartonの島津冬樹さん。
段ボール特有の温かみのある素材感、
国や地域によって異なるデザインに惚れ込み、
国内外で拾い集めた段ボールを素材に、
お財布などを作って生まれ変わらせる活動をしています。
島津さんの活動を知ったぼくたちは、
「ほぼ日手帳」の段ボールをお渡しして、
「ほぼ日手帳」のカバーを作っていただきました。
島津さんの手で、なんでもない段ボールに
新しい命が吹き込まれました。

後編ほぼ日手帳カバー、完成!

段ボールアーティストの
Carton/島津冬樹さんにお渡ししたのは、
「ほぼ日手帳」をお届けするときに使う
段ボールの大・小を1枚ずつ。
まずは、ほぼ日手帳カバーから
作っていただけることになりました。
A6サイズの「ほぼ日手帳オリジナル」に
ぴったり合うような大きさのカバーです。
それでは、制作風景をご紹介します。

まずは段ボールをカッターで開きます。
型どおりに作るのは慣れていますが、
手帳という形の決まったカバーを作るのは
意外と難しいんだそうです。
サイズがぴったりになるよう調整に気を使います。

大まかに切った段ボールの上に
ほぼ日手帳をのせて、
完成形を想像しながら、
どの面を使うか検討しています。

そのまま段ボールを折り曲げると
手帳カバーとしては厚すぎるので、
段ボールをすこし薄くします。
ライナー(段ボールの外側の紙)の
裏面に霧吹きをしてはがしていきます。

段ボールのライナーが
ベリベリーっとはがれていくのが快感。
ワークショップを体験した人からも、
この作業が気持ちいいと好評です。

段ボールの波模様の中芯を
木べらでつぶしてなだらかにします。
この木べらはワークショップの
参加者からプレゼントされたもので、
本来は砂糖菓子の和三盆づくりに
使われているものなんだとか。

手帳の大きさにあわせて、
余計な部分を切っていきます。
「HOBONICHI TECHO 2019」の
ロゴを活用することにしたようです。

カバーの裏面はこんな感じ。
両端を折り返したときに
のりしろになる部分を上下に残します。

のりしろ部分に接着剤をつけます。
はみ出さないように気をつけて、
ゆっくり、丁寧に作業しています。

ほぼ日手帳のサイズにあわせて折ります。
この時、折り返した内側を折り曲げて、
手を切らないための安全対策と、
端からの劣化を防いでいるそうです。

じゃーん、ほぼ日手帳カバーが完成!
ここまでで約30分です。
手帳の大きさにあわせるため、
時間をかけて最終調整をしました。

特製段ボールカバーの内側には、
名刺やチケットをはさんでおけます。
こう見えて、意外と機能的でしょう?
もう少し時間をかければ、
ポケットを増やすこともできますよ。

まだ段ボールが余っているので、
手帳と相性のいいペンケースも
作っていただけることになりました。

基本的な作り方は、手帳カバーと同じ。
段ボールの凹凸を
ローラーで平らにしてから、
霧吹きで濡らしてはがします。

ペンケースの型があるので、
大きさをあわせて切ります。
手帳カバーと違って
サイズを自分で決められるので、
それほど難しくはありません。

型どおりに切れたら、
ペンケースの形に折っていきます。
かなり細かい作業なのですが、
島津さんはおおきな身体を丸めて、
熱心に折り込んでいます。

わわっ、ペンケースの底面には、
20周年記念デザインのおさるがいますよ。
形ができあがったら、
仕上げとしてスナップボタンを
ハンドプレス機で取りつけます。
せーの、ガッチャン!

形を整えて、ペンケースの完成です!
コンパクトに見えますが、
ペンが3本入ってボタンで閉じられます。

最後にもうひとつ、
手帳カバーとペンケースを入れる
バッグを作っていただけることになりました。
こちらも型にあわせて切るところから
スタートしていきます。

バッグは内側の強度も強くしたいので、
表と裏とで、段ボール2面分を使います。
型にあわせて折っていきます。
ここでしっかり折っておかないと、
かっこいい形になりません。

霧吹きをかけてベリベリーっと
めくられた段ボール。
ちなみに中央にある穴は、
箱にもともと空いていたものです。
バッグの形にしたときには隠れます。

ほぼ日手帳の段ボールで
もっとも特徴的なのが、
毎年異なる言葉を印刷している
「セフティマッチ氏の言葉」です。
この言葉の活かし方がポイント。

ハンドプレス機でボタンを取りつけます。
ボタンで開け閉めできるようにしたことで、
バッグとしてのクオリティが
ぐーんと上がった気がします。

ほぼ日手帳の段ボールが生まれ変わった、
クラッチバッグの完成です。
段ボールの柄をうまく活かして、
かわいいバッグができました。

ボタンを開けて中を覗くと、
内側に「セフティマッチ氏」の言葉が。
これは、開けるたびに嬉しい!

大小の段ボールから、
ほぼ日手帳カバー、ペンケース、
クラッチバッグができました。
ほぼ日ストアでお買い物をしていただいた
みなさんにお届けしている段ボールから、
世界にひとつだけのアイテムができました!

特製のクラッチバッグの中には、
ほぼ日手帳とペンケースを
収納することができるんです。
使い込むうちに柔らかくなって、
風合いも増していくそうですよ。

ほぼ日手帳の段ボールが生まれ変わって、
手帳のアイテム3点セットができました。
島津さんは国内外で展示や
ワークショップを開催していて、
お財布やカードケースなどを
作ることができるそうですよ。
機会があれば、ぜひご参加くださいね。

(ほぼ日の社内で乗組員向けにおこなった
ワークショップのようすを近日公開します)