どこにでもある段ボールが生まれ変わってできた、どこにもない手帳カバー。

どの家庭にもあって、いつかは捨てられる
「段ボール」に注目したアーティストがいます。
東京を拠点に活動する、Cartonの島津冬樹さん。
段ボール特有の温かみのある素材感、
国や地域によって異なるデザインに惚れ込み、
国内外で拾い集めた段ボールを素材に、
お財布などを作って生まれ変わらせる活動をしています。
島津さんの活動を知ったぼくたちは、
「ほぼ日手帳」の段ボールをお渡しして、
「ほぼ日手帳」のカバーを作っていただきました。
島津さんの手で、なんでもない段ボールに
新しい命が吹き込まれました。

番外編ほぼ日社内でワークショップ

Carton島津冬樹さんのアトリエで
取材をさせていただいたあと、
ほぼ日乗組員向けにワークショップを
開催していただけることになりました。
ほぼ日のオフィスに島津さんを迎えて、
段ボールで「カードケース」を作る
ワークショップの様子をレポートします。

ほぼ日の社内にあった段ボールや、
自宅からお気に入りの段ボールを持って集合しました。
ほぼ日手帳の箱に、ほぼ日グッズの箱、
みかん箱や柿の箱、スモークサーモンの箱もあります。


講師の島津さんの説明を聞きながら、
みんなで一斉に作業をはじめます。
島津さん「はじめまして、島津といいます。
今日はみんなでカードケースを作りましょう。
段ボールでカードケースを作ると、
名刺交換の時に必ず『なにそれ?』と話題になりますよ」


島津さんが人数分用意してくれた道具がこちら。
工作マット、カッター、定規、鉛筆、接着剤、
大きなクリップ×2個、そして専用の型。
型には「FRONT」「BACK」の文字と、
段ボールの方向を記した矢印が記されています。

島津さんの説明を受けて、
各々が用意した段ボールを分解して開きます。
型にあわせて、どこをカードケースにするか、
じっくりと検討しています。

大きな段ボールを、わけて使うふたり。
真っ白な地色に「1101.com」「HOBONICHI」と
書かれているだけの段ボールなので、
シンプルでかっこいいものになりそうです。

ほぼ日手帳の段ボールにあわせるとこんな感じ。
ここでカードケースを作った場合、
「HOBONICHI TECHO 2019」の文字が
正面にくるようになります。


カードケースを作る位置を決めたら、
型にあわせて鉛筆でなぞります。
鉛筆で段ボールに何かを書いていると、
童心に帰って工作している気分です。

つづいて、島津さんからの指導が入ります。
「厚い段ボールは加工がしづらいので、
段ボールの間にある『フルート』を
ペリペリっとはがして薄くしていきます。
水で濡らして定規でなでると、はがしやすくなります」

ペリペリペリーッ。
薄くなった段ボールの外側だけを使って、
カードケースを作ります。
うまくはがれると快感なんです、本当に。

霧吹きで水をかけたら、
定規を持って、段ボールの目に沿って押していきます。
縦の線がくっきりと出てきたら、
そろそろはがせるタイミングです。

ほぼ日の乗組員も、ペリペリっとはがします。
最初は恐る恐るでも、慣れてくると大胆になります。
「日焼けの皮みたいにむけるね」と誰かが言うと、
そこからしばらく「日焼けをする・しない」という
本題とはまったく関係のない盛り上がりました。

薄くなった段ボールがこちら。
どこまではがすかは、個人の性格が出るそうです。
ちょっと残っていたとしても、
裏側なので見える部分ではないから大丈夫。

段ボールがまだ濡れている場合は、
ドライヤーで乾燥させます。
ここできちんと乾かしておくのが、
きれいなカードケース作りのコツです。

段ボールを乾かしている間に、
島津さんのプチ講義がはじまりました。
世界30か国で段ボールを拾ってみてわかった、
国によって異なる段ボール事情を教えてくれました。

乾いたところで作業再開です。
最初に鉛筆で型取りをしたとおりに、
カッターで段ボールを切ります。
段ボール専用のカッターではなく、
どこにでも売っているような事務用のカッターです。

参加者の中で最もカッター慣れしている光井。
ほぼ日のおいしいものを詰め合わせた、
20周年記念のボックスをスイスイ切っていきます。

同僚がカッターを使っているのは不思議な光景です。
人によって持ち方や切り方が違っていて、
平野と杉山は立って切る派でした。
細かい作業ではないので、
不慣れな人でも、不器用な人でも大丈夫でした。

型の通りに切れたら、
カードケースの形になるように折り込みます。
島津さんの指示にあわせて折りながら、
定規でおさえるのがポイント。
カードケースの構造は布や革と同じですが、
紙なので折り目がつきやすく、作るのも簡単。

ここまでできたら、もう一息。
ほぼ日手帳の段ボールを使うと、
柄が全体に入っているからかわいい!

島津さんが持ってきてくれたハンドプレス機で、
スナップボタンを取りつけます。
ここで位置をミスすると台無しになってしまうので、
島津さんの指定してくれる位置で、ガッチャン!

スナップボタンがつくと、こんな感じ。
ボタンには凹凸があるので2回繰り返します。
段ボールをポケットの内側に折り込んでいくと、
茶色の部分が見えなくなりました。

外からもボタンを取りつけたら完成です!
だいたい1時間程度で、みんなできました。
中央に「1101.com」の文字が書かれているから、
名刺交換をする前から「ほぼ日」の人とわかりそう。

ほぼ日手帳の段ボールで作ると、こんな感じ。
ここまで完成度が高いと、
ほぼ日公式のカードケースみたいですが、
こちらももちろん、自分の手で作ったもの。

真っ白な段ボールで作った草生は、
島津さんにサインを描いてもらいました。
自分が好きな絵を自由に描けるのも、
紙製の段ボールならではかもしれません。

ほぼ日社内でのワークショップを終えて、
カードケースを持って記念撮影。
みんなで作ったものを見せあって、
自慢しあって、褒めあいました。
ああ、たのしかった!
お子さんでも楽しめそうな手軽さで、
おしゃべりしながら作業できました。
同じ段ボールを使った人がいても、
切り取る場所が違うと印象が変わるんですよね。

島津さんのワークショップは、
美術館やアウトドアのイベント、展覧会など、
いろいろな場所で開催していますよ。
くわしくはCartonのWebサイトをご覧くださいね。

(おわります)