LIFEのBOOK ほぼ日手帳

時代の空気を呼吸する「B JIRUSHI YOSHIDA」のものづくり。

セレクトショップ「BEAMS(ビームス)」と𠮷田カバン「PORTER(ポーター)」の長年のリレーションシップによって生まれたレーベル「B JIRUSHI YOSHIDA」。
ほぼ日手帳のweeksカバーでコラボレーションするようになってから、2020年版で9年めを迎えました。
遊び心のあるアイテムを提案し続けている「B JIRUSHI YOSHIDA」のものづくりについて、ディレクターの梨本大介さんにお話を伺いました。

前編時代の空気を読んでいる。

「B JIRUSHI YOSHIDA」さんと「ほぼ日」のコラボレーションは2012年版からと、9年めのコラボレーションになりました。
ほぼ日手帳を使ってくださる方が年々増えていることもあって、2012年当時のことを知らない方もたくさんいらっしゃいます。
梨本
9年、もうそんなになりますか。
おかげさまで毎年、自由に企画させてもらっています。
改めてお伺いしますが、「B JIRUSHI YOSHIDA」というブランドは、「BEAMS」さんが「𠮷田カバン」さんと立ち上げたレーベルですよね。
数ある取引先の中で「𠮷田カバン」さんを選んだのはなぜなのでしょうか。
梨本
「B JIRUSHI YOSHIDA」は16年前の2003年に生まれたレーベルで、「BEAMS」代表取締役の設楽洋が、昔から「𠮷田カバン」さんのことをずっと尊敬していたんですよ。
「BEAMS」が創業43年で「𠮷田カバン」さんは創業84年、長い歴史のある「𠮷田カバン」さんとしっかりコラボレーションしてみたいという気持ちがずっとあったようです。
「𠮷田カバン」さんへの尊敬は、ものづくりへの姿勢でしょうか。
もちろん、もの自体の素晴らしさもあると思いますが。
梨本
ものづくりへの尊敬はもちろんありますが、そこに加えて「メイド・イン・ジャパン」を貫いていることも関係していますね。
「𠮷田カバン」さんといえば日本のものづくりを代表するブランドです。
働いている方と仕事させていただいたり、職人さんの話を間接的に聞いたりすると、ものづくりに対する真摯な姿勢を感じます。
「𠮷田カバン」さんが大切にしている言葉の“一針入魂”が示す姿勢そのものなんです。
ぼくも中途半端なことはできないなといつも思って取り組んでいます。
「BEAMS」さんとしては、どのような企画を心がけていますか。
梨本
ぼくたち「BEAMS」のものづくりは、アパレルの考え方で企画しているんです。
ご存知のように「BEAMS」では幅広く、いろんなものを取り扱ってきました。
そのおかげで商品企画をするぼくにも、お店に立っているスタッフにも、いろんな引き出しがあるのかなと思います。
いくらでも引き出しを持ってこられるのでおもしろい企画を思いついたり、変わった素材を使いたくなったりしたら、「𠮷田カバン」さんに作ってもらうんです。
ファッション性を持たせるために、どんなものを加えるのでしょうか。
梨本
その時々の流行といいますか、世の中の流れを見て提案しています。
店頭でいろいろなお客さんと接していると「あっ、今はこういうのがいいんだな」と世の中の動きがわかってくるんです。
店舗のスタッフから意見を拾ったり、お客さんからのご要望を集めたりして、商品づくりに反映していますね。
流行を反映するとはいっても、人気の出る商品を作るためには、流行よりもすこし先を行かないといけませんよね。
その感度が「BEAMS」さんは特に鋭いなと思っているんです。
梨本
そこは「BEAMS」の社風かもしれません。
適度に遊びがあるというか、ガチガチに固められていないのがいいのかな。
ぼくはディレクターという立場ですが、すごく自由にさせてもらっています。
「あのお店を見にいきたい」とか、「こんな企画を考えているからリサーチしたい」とか、そういう動きがすぐにできる会社です。
感覚の部分をすごく大事にしているので、店舗のスタッフが出す商品企画もいつも新しい発想だなと思っています。
16年間の流行を映しだし続けたとなると、商品のテイストも変わってきていませんか。
梨本
初期からの定番アイテムもありますが、変わっていくものは当然ありますね。
最近の流行で言いますと、小ぶりのカバンが流行っています。
16年前にも携帯電話があったとはいえ、今ならスマートフォンだけで完結できることが増えたじゃないですか。
人が持つカバンやお財布との関わり方が少しずつ変わってきているとは思います。
その反面、外でなにかを書いたり、雑誌を持ち歩いて読んだりするアナログなことが、一周まわって新鮮に感じられるようになっています。
なんでも携帯ひとつで終わらせたら、味気ないなって気づいたんでしょうかね。
ほぼ日手帳とのコラボレーションも、時代の空気に合っていたんですね。
2020年版のweeksカバー「Go Out」も外に持ち歩いて、さっと手帳に書くのにぴったりの雰囲気ですよね。
梨本
weeksカバーの形は完成されてきていますが、形状や素材感にプラスして、シーズンにあわせたものを提案できればと思っているので。
「Go Out」のシリーズは、おそろいのカラーでサコッシュも作らせていただきました。
「B JIRUSHI YOSHIDA」の店頭でもA4サイズよりちょっと小さいぐらいのサコッシュがすごく人気なんです。
みなさん、荷物が少なくなっているんですよね。
お店での反応を知っているから考えることができたアイテムですね。
梨本
このサコッシュはもともと、手帳を入れるバッグを作りたいと考えていたんです。
ちょうどその頃に糸井さんがお店に来てくださって、「ちょっと出かけるとき用に」とサコッシュを買っていただいたのが印象に残っていたんですよ。
ああ、「イトイのお礼行脚」でたしかに買っていました。
梨本
糸井さんも興味を持っていることだし、ほぼ日手帳関連のものを入れられるサコッシュがあったらおもしろいなと思って。
小さめのバッグは流行っていますし、メッシュも今、人気のある素材です。
全部が透けるとまではいかないけれど中に何が入っているか、ちょっと見えます。
フロントのポケットに何を入れるかによって自分だけの個性が出せると思うんですよね。
そのあたりも提案させていただきました。
サコッシュに手帳と、お財布などの必要なものを入れてコンパクトに持ち歩けるのがいいですね。
梨本
使い心地や機能面に関しては、「𠮷田カバン」さんが作るものなのでストレスなく、長く使っていただけますよ。
「ほぼ日」さんからも、どんなものを中に入れて持ち歩くかのアイディアをいただいたり、中のものが落ちないようにしたいというユーザー目線をいただきました。
メッシュの向きを縦から横に変えたら優しい雰囲気になった、ということもありましたしね。
「BEAMS」だけでなく、「𠮷田カバン」さんや「ほぼ日」さんといっしょに取り組んでいるおかげでいいものに仕上がったと思います。
「B JIRUSHI YOSHIDA」さんの作るweeksカバーは、毎年、チャレンジングな色や素材のものがありますよね。
ことしの「Go Out」はメッシュの素材感もほぼ日手帳カバーの中では新鮮ですし、色で言えば、「ミントグリーン」は3色ある中でも特に個性が表れていますよね。
梨本
ぼくたちからしたら、色の選び方というのは、わりと普通の考え方なんですよね。
オーソドックスなカラーリングも当然あるけど、そこに遊び心のある色を足したくなるんです。
「お店に並ぶ」ということを想像したときに定番の色だけだと、ちょっとつまらない。
並んだときにカラフルになった方がおもしろいなという発想ですかね。
差し色というと素っ気なく聞こえますが、そういう要素を入れたくなってしまうんです。
色は毎年、大事にしていますね。
「ほぼ日手帳2020」全ラインナップの中でも、かなり目を引くデザインだと思います。
スポーティなデザインではありつつやわらかな雰囲気もあるので、仕事場でも気兼ねなく使えそうです。
梨本
手帳って、アクセサリー感覚で持つ人もいると思うんですよ。
ちょっと会議に出るとしても持っているアイテムはワンポイントになると思うんです。
だから、ベーシックな色の中に目立つ色のものがあってもいい。
ファッションに携わってきた、ぼくらならではの感覚かもしれません。

(後編につづきます)※「Go Out サコッシュ」の詳細は
8月28日(水)に公開となります。