ダンシングきつねの生まれたところ ーーコンドウアキさんに聞く、キャラクターの生み出し方

ダンシングきつねの生まれたところ ーーコンドウアキさんに聞く、キャラクターの生み出し方

「ほぼ日手帳」のために生まれたキャラクター、
ダンシングきつね。
とってもキュートで、ちょっと大人っぽさもある
このきつねを生み出したのは、
「リラックマ」や「おふとんさん」などでもおなじみの
コンドウアキさんです。
「ダンシングきつね」グッズの発売を記念して、
コンドウさんにあらためて
キャラクターを生み出すひみつについてうかがいました。

ダンシングきつねグッズ、登場!

コンドウアキさんがほぼ日手帳のために
描き下ろしてくださったキャラクター、
ダンシングきつね。
そのグッズが満を持して登場します!

ラインナップはこちらをご覧くださいね。

ダンシングきつねって?

動画作成:相澤タロウイチ

「ほぼ日手帳2020 spring」で登場した手帳カバー
ダンシングきつね
かわいく踊るオレンジ色の「ダンシングきつね」は
コンドウアキさんがこのカバーのために
描き下ろしてくださったキャラクターです。

「手足の動きやデザイン性を重視した」という
きつねのなんともファニーなポーズは、
娘さんがダンスする姿も参考にしたそう。

1年間の相棒となる手帳カバーにふさわしい、
「生活になじむ、自然とそこにあって、
ほかのものを邪魔しない」キャラクターとして
このキュートでちょっとだけシニカルなきつねが
誕生しました。

「余白」に出る自分らしさ。コンドウアキさんインタビュー

ダンシングきつねグッズの登場にあたって、
魅力的なキャラクターを生み出す秘訣について
あらためてコンドウアキさんにインタビューしました。

コンドウアキさんプロフィール

文具会社デザイン室時代に
『リラックマ』などのキャラクター原案、
商品デザイン担当。
退社後はフリーで『うさぎのモフィ』
『ウーとワー』『おふとんさん』などの
キャラクターデザイン、エッセイ、イラスト、
絵本制作などを行う。
http://www.akibako.jp/
ーー
イラストを描かれるときに、
どんな画材を使っているか教えてください。
コンドウ
画材については話すまでもないくらい、
深いこだわりがないんですよ。
水彩絵具はどこのだっけ‥‥、ホルベインでした。
色がきれいなのと、種類が多いのと、
足りなくなってもいろんなところで取り扱いがあるので、
すぐ買い足せるのがありがたいです。
あとドクターマーチンのカラーインク。
線画を描くときはユニボールシグノ。
えんぴつは三菱鉛筆の「ユニホルダー2B」という、
芯を替えられるものです。
ーー
家事や子育てがあるなかで、
普段仕事の切り替えはどんなふうにされていますか?
コンドウ
会社員のみなさんとそんなにかわりません。
いまは子どもが大きくなったので、
学校に行っている間は仕事をして、
夕方に子どもたちが帰ってきたら
一旦仕事の手をとめて、
また夜9時、10時から12時、1時くらいまで
仕事する、という感じです。
ーー
コンドウさんのお仕事は
キャラクターをつくるところから
絵本や4コママンガなど多岐にわたりますが、
どんなふうに仕事の区別をされていますか?
コンドウ
キャラクターたちの人生といったら大げさですけど、
私の場合は、
大きな枠の中でいう背景や世界観が絵本につながっていて、
その世界観の中で動くキャラクターたちの
日常を切り取ったものを4コマ漫画にしているように思います。
だから絵本があってそれを4コマにするのはスムーズにいけますが、
4コマを先に描いて、それを大きな物語にするのは
ちょっと時間がかかっちゃいますね‥‥。
ーー
ご自分の生み出したものが
どう受け取られるかは気にされますか?
コンドウ
ご依頼を受けてつくる状態が多いので、
その場合はある程度、好きだと言ってくれる方が
いたほうがいいなとは思ってます。
それはビジネスというか、お仕事の意味で。
評価が高いほうが
関わった方みんなが喜ぶだろうと思いますので‥‥。
いっぽうで個人でつくるものについては、
どのように受け取られるかはあまり気にしていないですね。
ーー
コンドウさんのつくるものって、
依頼によって生まれる企業のキャラクターなどでも
自分に寄り添ってくれるような魅力があるのが
すごいなと思います。
コンドウ
そうですか? そう言ってくださるのはありがたいです。
でもわたし自身、作ったものを見て
「これはコンドウが作ったんだな」という世界観を
統一してあるという自覚もあまりなくて。
だから共通した何かがあるっていう意識もないんです。
ただ、ご依頼いただいたときに、ビジュアルなど
あまりにも先方の希望が固まっていて
「こういうものがほしいんです」と明確に言われすぎてしまうと
自分が作成するにあたりズレが生じるかもなと思うことはあります。

もしかしたら大半は、ご依頼くださる方が、
ご希望はありつつも、「ここ以外は好きなようにやっていいよ」と
余白を残してくださっていて、
その余白に私が作るものとしての統一感が出るのかもしれないですね。
ーー
たとえばWOWOWのキャラ(ウーとワー)も、
いち企業のキャラクターだけれど、
とてもかわいくて、好きです。
コンドウ
それ、ぜひ書いておいてください、
関係者が喜ぶので(笑)。

ウーとワーにかぎらず、キャラクターは、
扱われる範囲や、用途によって余白の大きさが違うので、
大きい余白があるお仕事に関しては自分の中で
一度候補をいろいろ出して、
その中で先方のご希望に近そうなものを
しぼってご提案したりもします。
先方は「こういうのがいいな」と
ぼんやりとした希望があっても
それが確実に言葉に出るわけでもなかったり、
そもそもそういうものもなく、
「なにかキャラクターを!」ということもあったりしますので。
その場合は、その募集している場のイメージや、
これからキャラクターを使って
どのような世界観をつくっていきたいのかな、
など想像しながら作成します。
ーー
コンドウさんのキャラクターはとてもシンプルな線で
構成されていますが、
どこで完成を判断されますか?
コンドウ
「これ以上引けない」となったときですかね。
要素をなるべく引きたいなと思っていて、
「これ以上引いたらこの特徴がずれてしまう」
というところで自分の中でフィニッシュにしている気がします。
足すことは後からでもできますからね。
ーー
キャラクターやお話を生み出すタイミングは
どんなときですか?
お風呂で、とか机に向かって、とか‥‥。
コンドウ
私はご依頼やお話をいただいた、
ワクワクしているその瞬間のほうがすぐに出るんです。
だから、お話を聞いて
「ああ、これやりたい!」と思った瞬間が
いちばんアイディアが出るタイミングです。
もちろんそこから固める作業も必要だし、
先方の希望にあわせて
「こういう感じもできますけど」という
サブの案も出しますけど、
だいたい自分が最初にピンときたものに
なっていく気がします。
ーー
依頼を受けてすっと出てくるということは、
コンドウさんの中に常にストックがあるのだと
思うのですが。
コンドウ
そうなのかなあ。
自分では意識していないし、
同業者の方と接すると
好奇心が少ない方だと思ってるんですけど
いろんなものを見るのは確かに好きですね。
ある編集者の方に
「コンドウさんって変なところを見てますよね」
と言われたことがあり、
「え!?」ってなったことはありました。

でもたぶんみなさんも、
それぞれ変なところを見てるんですよ。
絵に描いたり、文章で発表したりしないと
他の人がなかなか気づかないだけで。

みなさんも書き出したら
「え、そんなところ見てるの?」というのが
きっとそれぞれにあるんだと思うんです。

ダンシングきつねグッズ

キュートなまなざし、ファニーな動き、ふさふさのしっぽ。
何度見ても飽きない「ダンシングきつね」のグッズができました。
    9/1(火)午前11:00発売