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なんだかんだで、
最後の子どもたちの手帳のところに
うるうるしてしまいました‥‥。
ありがとうございます!
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はじまった頃を思うと、
こんな風に手帳を使ってくれるなんて
思ってもみないですもんね。
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ーー |
そもそものはじまりって、
西本さんの経験が
あったんですよね?
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ほぼ日手帳ができた当時の世の中は、
経費削減で企業の手帳を作らなくなってきて、
自分で手帳を買うようになった時期と重なったから、
売り上げも上がっていったんです。
ぼくは「ほぼ日」のあらゆるプロモーションを
担当する「プロモチーム」という部署にいます。
この部署で新たな課題として、
ほぼ日手帳の「新たな市場開拓」
というものがあったんです。
企業とのコラボや販路を増やすとか
さまざまなアイデアがあったんですが‥‥。
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ーー |
その相手が、子ども?
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子どもっていうか、僕らみたいな親御さんに向けて
コンテンツが作れるんじゃないかと思ったんです。
つまり、大人の方に選んでいただけているほぼ日手帳を、
いいスニーカーや、いいジーンズを
子どもに履かせてあげたいように
「自分が使っているから、使ってみなよ」って
勧めてあげられたらいいなあと思ったんです。
実際、うちもそうだったし。
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それで「子ども版ほぼ日手帳」が
つくれないかって話になったんですよね。
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小学生のうちの子の連絡帳は、
今年、44歳の僕が小学校で使っていたのと
全くかわっていないことに
まずびっくりしたんです。
おなじような大きさで、紙質もザラザラ。
こんだけ時代が変わっていたら、
いい紙にしたりさ、イノベーションはないのかって、
ちょっと腹が立ったんだよね。
「子どもはこれくらいでいいでしょ」
と、オトナが勝手に思っているだけで
コドモたちも書き心地がいい方がいいに決まってるし。
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―― |
そういえば、きれいに書ける紙って
テンション上がりますもんね。
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西本さんからそのプランを聞いて、
前向きに取り組みたいと思いましたし、
子どもたちが使っているほぼ日手帳の様子を見たり、
投稿してくれた写真を見たりすると、いいんですよね。
それで、娘が3歳のときに、
ほぼ日手帳を買ってあげてみたんです。
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―― |
どうなりました?
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まだ日付の感覚がないから
でたらめに使っていくんですけど、
一応、前の方から使っていったりね。
おまけページの「Time Table」には、
マス目に合わせて絵を書いたりしていて。
白紙のページもあったんですが、
とりあえず1年間は使わせてみました。
月間ダイアリーのマス目に
花丸を書く練習をしていたりとか、
文化の日とかの祝日の文字をなぞったりとか。
そういう使い方が、何かおもしろいなと。
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今回も立命館小学校のみなさんに
たくさんの手帳を見せていただいたけど
「文化の日なぞる」は鉄板だったね(笑)
こども手帳あるあるかも。
田口くんは、どう考えていたの?
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一応、手帳として扱われるんですよね。
らくがき帳とか折り紙の裏に描かれた絵って、
結構バラバラしちゃうんですけど、
「手帳として1年持っときましょう」という体で
持っているノートはいいなと思ったんですね。
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―― |
手帳なら、あまり捨てないですね。
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ちっちゃい紙に描いてくれた絵は、
僕も手帳に貼ったりしてるし。
1年を通して使って
ずっと残っていくだろうなってものを
子どもが使っている感じはいいな、
っていうのはありましたね。
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うん。そうですね。
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らくがきとかも、ここに集まるし。
シールが好きだったら、その頃に好きだった
キャラクターのシールがあるとか。
この頃は電車が好きだったね、とか、
字を書く練習してたな、みたいなものが、
時系列でわかりますよね。
時系列になっているので、
その移り変わっていくことが、
あとで見返したときにおもしろいだろうな。
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子どもの成長が、パパの手帳に残るんですね。
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そう。うちの子はまだ使ってないので。
だから、小学校6年間分の手帳を残すっていうのは
すごく壮大で、ちゃんとできたらすごいだろうなぁ。
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それで、このプロジェクトも最初は
「子ども用の手帳を開発しませんか」っていう
いま、考えると、すこしよこしまな考えで、
お話しにいったんですよ。
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ふふ、ありましたね(笑)。
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ほぼ日手帳のおおもとのコンセプトには
「ほぼ日」の生徒手帳的な要素が入っていたのもあって
「ほぼ日」手帳の中のコンテンツ要素を作り変えれば
学校単位の生徒手帳のようになるとか、
「そういう取り組みができたりして!」みたいな
あわよくばの期待を込めた提案。
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そうでしたね、最初は。
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そこから立命館小学校の先生や
関係者のみなさんと相談が始まりました。
時間割が書けた方がいいのか、
校則みたいなものがあった方がいいのかなとか、
そういうこともアイデアとして出たんだけど、
どうも、全部しっくりこないんですよね。
いいのかもしれないけど、
実際にどう使われるかは、想像もつかないから、
まず使わせてみましょうよとなりました。
つまり、1年生と6年生とでは
方眼の大きさも違うだろうし、
所属してるクラブ活動によっても
書くことも変わってくるだろうと。
校長先生といろいろ話していくうちに
「小学生のときにサイン帳って
みんなでまわしましたよね。
あれ、残っていたら、読みたいよなあ」
という話がでてきて、
まずは、「のこす」ということを
このプロジェクトのコンセプトにしようと。
つまり、「ほぼ日手帳」を小学生が使うと
バリバリ時間管理がうまくなったり、
かけ算がどんどんできるってことじゃないぞと。
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それで、実際に配っていったのが、
はじめのレポートですよね。
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書いている内容も、人によってバラバラでしたね。
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住んでいる環境とか、
所属する部活動でも違っていて
こんなに違うんだー!
と、興奮しながら、
手帳を読ませてもらいました。
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校長先生も喜んでくれて。
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この立命館小学校の子どもたちは頭がよくて
みんな「よくできる」っていう子が多い、
と思われがちなんだけど
こういう、のびのびとした姿が見られて、
それがうれしいって言ってくれました。
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夏休みにお試しで配ってみて、
「これはいけるぞ」とわかったんですか。
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いや。「子ども用」って考えたこと自体が
バカだった、ってことに気づいたんです。
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そうですね。
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「子どもだから、子ども用」みたいなことは
僕ら大人の勝手な事情なんだと。
そういう甘いことじゃないと。
一番、びっくりしたのは、
手帳の下の「今日の言葉」を、
立命館小の子たちは、むちゃくちゃ読み込んでる。
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へええ。
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手帳には何も書いていない、
ほぼまっさらな子が、アンケートでは
「手帳を使って楽しかった」と書いていたんです。
「気に入ってるページはどこですか?」って聞くと、
みんな、いい思い出とかを書いてくれるんだけど
その子、まっさらなはずなのに、
「◯月◯日」って書いてくれたんですよ。
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なにかがあったとか?
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それはつまりね、下の言葉がよかったんだよ。
「子ども用だから、子ども用の言葉」とか、
童話とか名言から取ってくるとかっていう、
子ども用のことじゃなくても、
小学生でも、この手帳の言葉は
とても響くものなんだと思いました。
小学生は糸井さんのことも知らないはずなのに、
「糸井重里の『今日のダーリン』のここがよかった」
とアンケートに書いた子がいるんです。
もうね、自分たちが「子ども用だから」って、
決めつけていたことが反省になったね。
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そこで方向転換しましたね。
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子ども用に何かを改良するということは
そもそも子どもをバカにしていることではないかと。
これは「LIFEのBOOK」というコンセプトにも、
つながっているんですけど、
「残す」ってことがすごい。
だってさ、小1のときの自分が残るんだぜ?
小1の工作や夏休みの宿題などで
いろんなものを作ったりするけど、
ほとんどが捨てられちゃうんだよね。
そのときに棟廣さんが
製本した手帳を持ってきてたんです。
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あ。たまたまあったんです。
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製本されると「こうやって残るんだ」ってわかって。
これを、1年ごとに残していくっていうことを、
立命館小学校の取り組みにしましょう、っていう。
手帳って、使い終わったら段ボールに入れたりとか、
捨てられるものかもしれないけど
製本することで本棚に残しておけば、
卒業アルバムと同じように、あとから見ていられる。
そこに、校長先生が気づいたんです。
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昔のプリントとかって、
どこかで捨てちゃいますもんね。
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いや、浅はかなビジネスを考えた自分を恥じました。
「子どものことを大事に」とか言っていた自分が、
いちばん子どもをなめていた。
よかれと思って、自分たちで
「ほぼ日手帳」の魅力を削っていたんだよね。
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確かにね。
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子どもの頃、自分のおどうぐ箱に入っているものより、
父親のコンパスとか、製図用品に憧れましたもん。
かっこええな、あれ使いたいって思ってた。
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夏休みに、ほぼ日手帳を渡した子の多くが、
初日に「ほぼ日使い始めた」とかって書いていて、
大人と同じものを持てるってことが、
喜びとしてあるんだなって思ったね。
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特に手帳なんていうのは、
子どもからすると「大人のもの」っていう
イメージもありますからね。
軽い憧れみたいなものがあるんですよ。
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なるほど。このお試し期間があって、
プロジェクトがはじまったんですね。
(つづきます) |