<京都・立命館小学校×ほぼ日手帳>
立命館こども手帳
PROJECT 

みんなでつくろう、
たからもののてちょう。ほぼ日刊イトイ新聞では、2014年の春から
京都の立命館小学校のみなさんといっしょに
あたらしい試みをはじめています。
その名も「立命館こども手帳PROJECT」。
お父さんやお母さん、先生がたにご協力いただきつつ、
小学生のみんなに「ほぼ日手帳」を使ってもらい、
宝物の手帳を作ろうというプロジェクト。
使うみんなのたのしい時間が増えたり、
あとで読んでうれしい1冊ができたら、なにより最高。
また、こどもたちの自由な発想から、
面白い手帳の使い方が生まれたらいいな。
そんな想いとともにはじめました。
このページで、ときどきご報告していきますね。
 
Report07
2015/04/16
番外編、お父さん座談会(その1)

立命館小学校の生徒のみなさんと
「ほぼ日手帳」を使っていきながら、
「ほぼ日子ども手帳」の開発を目指していた
立命館こども手帳PROJECT。
このプロジェクトにかかわったのは
ほぼ日・お父さん乗組員の3人でした。
1年間経って、プロジェクトを
振り返る会を開きました。

<お父さん座談会の出席者>

西本   むねひろ   田口
プロモーションを担当。
小3の男の子と
小1の女の子のパパ。
  ほぼ日手帳チームの
リーダーとして広く携わる。
5歳の女の子のパパ。
  デザインと撮影を担当。
5歳の女の子と、
2歳の女の子のパパ。



西本 まずはこのムービーを見ていただきましょう。
プロジェクトの最中には気づかなかったことが
このムービーの中にたくさんあって
「このプロジェクトはこういうことだったんだ。」
が改めてわかったんですよ。



むねひろ なんだかんだで、
最後の子どもたちの手帳のところに
うるうるしてしまいました‥‥。
ありがとうございます!
田口 はじまった頃を思うと、
こんな風に手帳を使ってくれるなんて
思ってもみないですもんね。
ーー そもそものはじまりって、
西本さんの経験
あったんですよね?
西本 ほぼ日手帳ができた当時の世の中は、
経費削減で企業の手帳を作らなくなってきて、
自分で手帳を買うようになった時期と重なったから、
売り上げも上がっていったんです。

ぼくは「ほぼ日」のあらゆるプロモーションを
担当する「プロモチーム」という部署にいます。
この部署で新たな課題として、
ほぼ日手帳の「新たな市場開拓」
というものがあったんです。
企業とのコラボや販路を増やすとか
さまざまなアイデアがあったんですが‥‥。
ーー その相手が、子ども?
西本 子どもっていうか、僕らみたいな親御さんに向けて
コンテンツが作れるんじゃないかと思ったんです。
つまり、大人の方に選んでいただけているほぼ日手帳を、
いいスニーカーや、いいジーンズを
子どもに履かせてあげたいように
「自分が使っているから、使ってみなよ」って
勧めてあげられたらいいなあと思ったんです。
実際、うちもそうだったし。
むねひろ それで「子ども版ほぼ日手帳」が
つくれないかって話になったんですよね。
西本 小学生のうちの子の連絡帳は、
今年、44歳の僕が小学校で使っていたのと
全くかわっていないことに
まずびっくりしたんです。
おなじような大きさで、紙質もザラザラ。
こんだけ時代が変わっていたら、
いい紙にしたりさ、イノベーションはないのかって、
ちょっと腹が立ったんだよね。
「子どもはこれくらいでいいでしょ」
と、オトナが勝手に思っているだけで
コドモたちも書き心地がいい方がいいに決まってるし。
―― そういえば、きれいに書ける紙って
テンション上がりますもんね。
むねひろ 西本さんからそのプランを聞いて、
前向きに取り組みたいと思いましたし、
子どもたちが使っているほぼ日手帳の様子を見たり、
投稿してくれた写真を見たりすると、いいんですよね。
それで、娘が3歳のときに、
ほぼ日手帳を買ってあげてみたんです。
―― どうなりました?
むねひろ まだ日付の感覚がないから
でたらめに使っていくんですけど、
一応、前の方から使っていったりね。
おまけページの「Time Table」には、
マス目に合わせて絵を書いたりしていて。
白紙のページもあったんですが、
とりあえず1年間は使わせてみました。
月間ダイアリーのマス目に
花丸を書く練習をしていたりとか、
文化の日とかの祝日の文字をなぞったりとか。
そういう使い方が、何かおもしろいなと。
西本 今回も立命館小学校のみなさんに
たくさんの手帳を見せていただいたけど
「文化の日なぞる」は鉄板だったね(笑)
こども手帳あるあるかも。
田口くんは、どう考えていたの?
田口 一応、手帳として扱われるんですよね。
らくがき帳とか折り紙の裏に描かれた絵って、
結構バラバラしちゃうんですけど、
「手帳として1年持っときましょう」という体で
持っているノートはいいなと思ったんですね。
―― 手帳なら、あまり捨てないですね。
田口 ちっちゃい紙に描いてくれた絵は、
僕も手帳に貼ったりしてるし。
1年を通して使って
ずっと残っていくだろうなってものを
子どもが使っている感じはいいな、
っていうのはありましたね。
むねひろ うん。そうですね。
田口 らくがきとかも、ここに集まるし。
シールが好きだったら、その頃に好きだった
キャラクターのシールがあるとか。
この頃は電車が好きだったね、とか、
字を書く練習してたな、みたいなものが、
時系列でわかりますよね。
時系列になっているので、
その移り変わっていくことが、
あとで見返したときにおもしろいだろうな。
むねひろ 子どもの成長が、パパの手帳に残るんですね。
田口 そう。うちの子はまだ使ってないので。
だから、小学校6年間分の手帳を残すっていうのは
すごく壮大で、ちゃんとできたらすごいだろうなぁ。
西本 それで、このプロジェクトも最初は
「子ども用の手帳を開発しませんか」っていう
いま、考えると、すこしよこしまな考えで、
お話しにいったんですよ。
むねひろ ふふ、ありましたね(笑)。
西本 ほぼ日手帳のおおもとのコンセプトには
「ほぼ日」の生徒手帳的な要素が入っていたのもあって
「ほぼ日」手帳の中のコンテンツ要素を作り変えれば
学校単位の生徒手帳のようになるとか、
「そういう取り組みができたりして!」みたいな
あわよくばの期待を込めた提案。
田口 そうでしたね、最初は。
西本 そこから立命館小学校の先生や
関係者のみなさんと相談が始まりました。
時間割が書けた方がいいのか、
校則みたいなものがあった方がいいのかなとか、
そういうこともアイデアとして出たんだけど、
どうも、全部しっくりこないんですよね。
いいのかもしれないけど、
実際にどう使われるかは、想像もつかないから、
まず使わせてみましょうよとなりました。
つまり、1年生と6年生とでは
方眼の大きさも違うだろうし、
所属してるクラブ活動によっても
書くことも変わってくるだろうと。
校長先生といろいろ話していくうちに
「小学生のときにサイン帳って
 みんなでまわしましたよね。
 あれ、残っていたら、読みたいよなあ」
という話がでてきて、
まずは、「のこす」ということを
このプロジェクトのコンセプトにしようと。
つまり、「ほぼ日手帳」を小学生が使うと
バリバリ時間管理がうまくなったり、
かけ算がどんどんできるってことじゃないぞと。
―― それで、実際に配っていったのが、
はじめのレポートですよね。
むねひろ 書いている内容も、人によってバラバラでしたね。
西本 住んでいる環境とか、
所属する部活動でも違っていて
こんなに違うんだー!
と、興奮しながら、
手帳を読ませてもらいました。
むねひろ 校長先生も喜んでくれて。
西本 この立命館小学校の子どもたちは頭がよくて
みんな「よくできる」っていう子が多い、
と思われがちなんだけど
こういう、のびのびとした姿が見られて、
それがうれしいって言ってくれました。
―― 夏休みにお試しで配ってみて、
「これはいけるぞ」とわかったんですか。
西本 いや。「子ども用」って考えたこと自体が
バカだった、ってことに気づいたんです。
むねひろ そうですね。
西本 「子どもだから、子ども用」みたいなことは
僕ら大人の勝手な事情なんだと。
そういう甘いことじゃないと。
一番、びっくりしたのは、
手帳の下の「今日の言葉」を、
立命館小の子たちは、むちゃくちゃ読み込んでる。
―― へええ。
西本 手帳には何も書いていない、
ほぼまっさらな子が、アンケートでは
「手帳を使って楽しかった」と書いていたんです。
「気に入ってるページはどこですか?」って聞くと、
みんな、いい思い出とかを書いてくれるんだけど
その子、まっさらなはずなのに、
「◯月◯日」って書いてくれたんですよ。
ーー なにかがあったとか?
西本 それはつまりね、下の言葉がよかったんだよ。
「子ども用だから、子ども用の言葉」とか、
童話とか名言から取ってくるとかっていう、
子ども用のことじゃなくても、
小学生でも、この手帳の言葉は
とても響くものなんだと思いました。
小学生は糸井さんのことも知らないはずなのに、
「糸井重里の『今日のダーリン』のここがよかった」
とアンケートに書いた子がいるんです。
もうね、自分たちが「子ども用だから」って、
決めつけていたことが反省になったね。
むねひろ そこで方向転換しましたね。
西本 子ども用に何かを改良するということは
そもそも子どもをバカにしていることではないかと。
これは「LIFEのBOOK」というコンセプトにも、
つながっているんですけど、
「残す」ってことがすごい。
だってさ、小1のときの自分が残るんだぜ?
小1の工作や夏休みの宿題などで
いろんなものを作ったりするけど、
ほとんどが捨てられちゃうんだよね。
そのときに棟廣さんが
製本した手帳を持ってきてたんです。
むねひろ あ。たまたまあったんです。
西本 製本されると「こうやって残るんだ」ってわかって。
これを、1年ごとに残していくっていうことを、
立命館小学校の取り組みにしましょう、っていう。
手帳って、使い終わったら段ボールに入れたりとか、
捨てられるものかもしれないけど
製本することで本棚に残しておけば、
卒業アルバムと同じように、あとから見ていられる。
そこに、校長先生が気づいたんです。
―― 昔のプリントとかって、
どこかで捨てちゃいますもんね。
西本 いや、浅はかなビジネスを考えた自分を恥じました。
「子どものことを大事に」とか言っていた自分が、
いちばん子どもをなめていた。
よかれと思って、自分たちで
「ほぼ日手帳」の魅力を削っていたんだよね。
むねひろ 確かにね。
田口 子どもの頃、自分のおどうぐ箱に入っているものより、
父親のコンパスとか、製図用品に憧れましたもん。
かっこええな、あれ使いたいって思ってた。
西本 夏休みに、ほぼ日手帳を渡した子の多くが、
初日に「ほぼ日使い始めた」とかって書いていて、
大人と同じものを持てるってことが、
喜びとしてあるんだなって思ったね。
田口 特に手帳なんていうのは、
子どもからすると「大人のもの」っていう
イメージもありますからね。
軽い憧れみたいなものがあるんですよ。
ーー なるほど。このお試し期間があって、
プロジェクトがはじまったんですね。

(つづきます)
2015-04-16-THU
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