HOBONIKKAN ITOI SHINBUN
味覚の魔術師と言われ、
世界の名だたる賞を受けてきた
「ミュゼ ドゥ ショコラ テオブロマ」の
オーナーシェフである土屋公二さんが
特別なクッキー缶をつくってくださいました。

テオブロマのチョコレートはすでに広く知られ、
おなじみのみなさんも多いと思います。
これまでテオブロマのチョコレートを食べて
「なぜこんなにおいしく感じるのだろう?」と
思ったことがあったとしたら――、そんな方には
このクッキーをいっそう食べていただきたいのです。
この缶の中にはテオブロマのお菓子が
おいしい理由が詰まっているから。

さぁ、土屋さんご本人にうかがってきました。
なぜ、テオブロマのお菓子はおいしいのですか、と。
> 土屋公二さんのプロフィール

普通はこんなセットになりません

ほぼ日
土屋シェフには以前「ほぼ日」で、
オリジナルのキャビア・チョコレート
おつくりいただきましたが、
今回はなぜ缶入りのクッキーだったのでしょう。
土屋
それはなんでかわかんないね!
ほぼ日
(笑)
土屋
ま、なぜクッキー缶がよかったのかというとね、
最近、缶入りのクッキーが
ちょっとしたブームになってきてはいるんです。

缶入りのクッキーは、日本では、
1960~70年代にいちど流行りました。
泉屋のクッキー缶とかいろんなのがあって、
食べ終わったらみんな、裁縫道具を入れたりして。
ほぼ日
そうですね(笑)。
土屋
どこの家にも
「食べ終わったクッキーの缶」がひと缶はある、
そんな時代がありました。
1980年代にはそれが下火になって、
缶入りのクッキーはしばらく
そんなに注目されていませんでした。

でも、ここ1~2年で急に
クッキー缶が流行りだしました。
かといって、缶の中身は、
当時と同じではないんです。

まず、いまのクッキー缶は大量生産ではありません。
それぞれのパティシエが、
少しずつ作って販売しています。
小規模な、手づくりの、個性あるクッキー缶。
1970年代とはまた違った魅力が
発見されはじめています。
ほぼ日
ああ、なんとなくわかります。
「クッキー缶」の立ち位置が
当時とは変わった感じが。
土屋
本当に、ここ最近のことですよ。
仲間たちが急にみんな、やりだしました。
だからちょっとおおげさに言えば、
「クッキー缶」はお菓子の流行の、
けっこう先端なんじゃないかな、とも思います。

それぞれのパティシエが中身をきちんと考えて
小規模で販売するから、クッキー缶は
どこもあっという間に品切れになります。
昔のクッキー缶に比べたら
価格も倍以上すると思うんだけどね。
ほぼ日
おいしいものが入っているとわかったら、
買いたくなりますよね。
土屋
そういう流れがある中で
この「ほぼ日のおかしシリーズ」のお話を
いただいたので
「ぜひやりたい」と思いました。
ほぼ日
今回「ほぼ日のおかし」で販売させていただく
テオブロマのクッキー缶には
どんな特徴があるのですか?
土屋
まずはジャムが入っていること。

▲瓶入りのチョコレートジャムが入っています

ほぼ日
ああ、ジャムですね。
土屋
うちならではのチョコレートのジャムです。
これが入ってるのって、かなりめずらしいよ。
そして、それをすくうための‥‥
ほぼ日
この真っ黒なクッキー「クトーノアール」。
今回、オリジナルでつくっていただいて。
土屋
そう。ナイフ型のね。
ナイフでジャムをすくって食べるという、
ちょっとした遊び心のあるクッキーです。
真っ黒なのは、ブラックココアの色。
ほぼ日
これ、ブラックココアですか。
土屋
みなさんご存知のところで言えば、
「オレオ」の材料です。
ほぼ日
ああ!
土屋
この真っ黒な色でほかのクッキーとの差が出て、
見た目もおもしろいんじゃないかと思ってね。
詰め合わせって、たのしい見た目も大事です。
この「クトーノアール」は
ジャムにつけて食べるのが基本ですから、
「黒くて、硬くて、おいしく」が課題でした。
ほぼ日
クッキーが硬いって、
ちょっと不思議な感じもしますが、
この硬さがおいしさに
つながっている気がします。
土屋
そうでしょう?
‥‥普通はね、こんなセットには、
ならないんですよ。
ほぼ日
そうなんですか?
土屋
クッキーと一緒に
ジャムが入っている箱なんて、
ぼくは見たことないですよ。
だって考えてみてください、
ジャムの瓶が重いんですよ。
ぶつかると隣のクッキーが割れるでしょう?
ほぼ日
ああ‥‥本当に。
土屋
だからこの「クトーノアール」だけは
最終的に袋入りになっています。 
ナイフの形状は衝撃を受けやすいので、
割れないための工夫です。
何度も配送テストをして、
このパッケージにたどり着きました。

▲左下の袋に入っているのが「クトーノアール」

ほぼ日
ご苦労をおかけしてしまって‥‥。
でも「ほぼ日のおかし」の商品担当は
どうしてもこの瓶入りのチョコジャムを
あきらめたくなかったと言っていました。
土屋
そうなんだよね。
ほぼ日
チョコレートのクッキーも
もちろんおいしいけれども、
ジャムがとてつもなくおいしかった、と。
そこでテオブロマのマネージャーである
渋谷さんと、なんども相談を重ねて。
渋谷
とにかく缶にジャムの瓶を入れる、
そのハードルがまずは高かったです。
ほぼ日のみなさんは
ほかのチョコレートのクッキーも入れたいと、
ここも譲らずで(笑)、
うちのクッキーのダントツ人気商品
「セックショコラ」ももちろん入れることに。
ほぼ日
これも、本当においしいです。
土屋
「フェーブドカカオ」も
チョコレート系のクッキーですよ。
カカオニブ入りです。
ほぼ日
カカオニブ?
土屋
カカオニブは、カカオ豆を焼いて砕いたものです。
いまの時代にカカオニブを知らないのは
ちょっと驚きだよ? 
スーパーフードとして注目が高まっています。
お店でナッツと並んで売ってることが多い。
ほぼ日
じゃあ、ナッツのように食べるんですか?
土屋
そう。でも、カカオニブって基本的に苦いんです。
カカオ100%のチョコレートって苦いでしょう?
ほぼ日
そうですね。
私はカカオ100%のチョコレートは
苦くてとても食べられません。
土屋
その「苦いの」をちりばめたクッキーです。
これももちろん、今回の缶に入っています。
ほぼ日
でも、クッキーを味見したときに
苦かったおぼえがありませんが。
土屋
じゃあどうぞ、いま食べてください。
これは「テオブロマ」ができたときから
つくりつづけている商品でもあります。
ほぼ日
では遠慮なく‥‥
うわぁ、うへぇ、
やっぱり、すっごくおいしい! 
なんでこんなに、おいしいんですか?
(明日につづきます)
2020-10-07-WED
イラスト:丸山素直
取材・文:中川實穗

テオブロマといっしょにつくった
缶入りクッキーを販売いたします。

チョコジャムのクッキー缶

3,942円(税込・配送手数料別)

テオブロマの土屋シェフは
チョコレートの世界でその名を知られています。
しかし、チョコレートだけでなく焼き菓子も、
ひとつひとつに工夫が凝らされていて、
とてもおいしいのです。
そのおいしさをすこしずつ食べ比べて、
たのしみつくしたい! 
そんな願いを叶える9種類のクッキーがつまった
クッキー缶がやってきます。
しかも、特製のフルーティーなチョコジャムが
クッキーといっしょに缶に入っています。
これはほぼ日とのコラボレーションの特別仕様。
10月13日の販売開始をおたのしみに。