パイルの糸をギリシャの綿にかえ、
リニューアルをおこなった今回のタオル。
繊維の長さと織度の太さのバランスのよい糸で、
前回までのものとくらべると
すこしだけ「ハリとコシ」がつよめです。
もちろんガーゼとパイルの二重織りということや、
パイルの糸にハリをもたせる加工(LA加工)など、
「やさしいタオル」ならではの特長はいままでどおり。
吸水性がよくすぐ乾き、かるくてふわふわという
「いいところ」はかわりませんから、
これまで愛用くださっているかたにも、
安心してお使いいただけると思います。
そんな「やさしいタオル」新作のデザインは、
イラストレーションが中心です。
堀内誠一さん、荒井良二さん、
升ノ内朝子さん、鹿児島睦さんという
4人の作家による絵を、
たのしく、大胆にデザインして、
プリントタオルをつくりました。
そして、この4人のつくり手の世界を
もっと楽しんでいただきたくて、
タオルといっしょに、いろいろなグッズをならべます。
今回のタオルのページは、
カラフルでたのしいお店になる予定です。
今回、堀内誠一さんからスタートした
「やさしいタオル」のデザインコンセプト。
堀内さんを中心にして、堀内さんを尊敬するかたに
自由な発想でタオルをつくってもらおう、
というときに、まっさきに思いついたのが荒井良二さんでした。
絵本作家、イラストレーターとして
荒井さんは堀内さんのことを
「おそれおおくて、語ることなんてとてもとても!!!」
というほど、尊敬しているのだといいます。
直接のつながりはなかったそうですが、
堀内さんの後輩で、マガジンハウスの雑誌の
アートディレクションをたくさん手がけた新谷雅弘さんから
『Olive』で仕事を始め、
のちの『Hanako』は創刊号から参加しています。
「絵本作家の専業ではなく、
広告や雑誌など全体的なアートディレクションのなかに
絵本があった、というところや、
その絵本の仕事をじつはとても大事にしていたところは、
とてもうれしく思っていました。
ぼく自身、絵本作家になりたかったというよりも、
ぼくの作風のなかに絵本的な要素があって、
それを大人として表現するとこうなるよね、
というスタイルだと思っています。
そしてそういうことは、
勝手に、堀内さんから学んだ気がします。
“何をやっても堀内さん”っていう、
そこがやっぱり一番憧れるところでした」
ちなみに荒井さんが絵本を好きになったのは、
「ずいぶん遅くて、大学1年生、19歳のときでした」。
授業に行かず池袋の書店に入り浸っていたとき、
その本の数にカルチャーショックを受け、
「サボるんだったらここ!」と読むなかで、
外国の絵本のコーナーにはまってしまったのが
きっかけだったそうです。
「あ、俺、こういうのつくりたい!
って思いました。
でも、こどもたちのため、とか、
そういうことじゃなかったんです。
ただ単純に、印刷具合とか、紙の匂いとか、
造本とかを、かっこいいと思ったんですね」
堀内さんの絵本については、最初、
「こんなふうに最先端の
アートディレクションをしている人が
どうして絵本をやっているんだろう?」
と思ったそう。
「アート、商業美術、漫画、同じ絵でも
それぞれを分けて考えるのが当たり前でしたし、
見る側もそう思っていたので、
堀内さんのようにロゴもデザインも文章もイラストも
『なんでも』やる人というのが
とても不思議に思えたんです。
けれどもやがて、堀内さんのなさったことは、
すべて『デザイン』がベースなのかもしれないと思い、
だんだんと身近に感じることができました。
つまり、正攻法の絵本のつくりかたのなかに、
造本や絵柄をふくめて、
とても高いデザインのセンスが入っているんです」
堀内さんの絵本は、
荒井さんにとって教科書のようなものでした。
じっと目を凝らして、
どんな紙にどういう画材で描いているのか、
ずいぶん考えたそうです。
「今回のタオルは、堀内さんのことをずっと考えました。
色の描き分けや、色版の重ね具合とか‥‥。
テーマについては、どこかの雑誌か本で、
セーラーカラーの服を着ていた堀内さんを見た気がするんです。
水兵さんの帽子をかぶって、パイプをくわえて。
その船乗りのようなイメージから、
『こけロスさん』
(こけしの男の子。こけし+マドロス)がうまれました。
そして、タオルを掛けたとき、
逆側にもうひとりいたらいいな、と、
『こけレレさん』
(こけしの女の子。こけし+ウクレレ)がうまれました。
こけしになったのは、タオルの長さで描こうとすると、
この長さになっちゃうからなんですけど(笑)」
「バスタオルは、ここから物語が生まれるような
絵本のような発想です。
堀内さんにはどこか外国のイメージがあって、
同時に江戸っ子的なきっぷのよさもあるんですが、
ぼくには西洋のイメージが強いんですね。
そんなふうに堀内さんのことを考えているなかから
ユニコーンに行き着いたので、
まずそのユニコーンを描いて、
真ん中のお月さまを描いて、
全体のことはあまり考えずにひろげていったんです。
結局、海と陸と空、世界の全部を描きました」
荒井さんのこのファンタジーの世界には、
海の中でアコーディオンを弾く人魚姫や
たいまつを持ってユニコーンの上に乗る男の子、
お城、なぞの生物、踊るひとびと、
いろんなキャラクターが描かれています。
見ているだけで物語がうまれそうな絵なんです。
堀内さんは紙で絵本のページを作ったけれど、
荒井さんはバスタオル1枚で
あたらしい絵本を作ったのでした。
タイトルは『ユニコーンと人魚姫』です。
さて! 荒井さんのグッズもたくさんつくりました。
まずは『ユニコーンと人魚姫』のグラスです。
大正11年創業のガラス工場である
東京の松徳(しょうとく)硝子さんと
いっしょにつくったものです。
透明なほうは、松徳硝子さんでも人気の
「うすはり」シリーズの定番
「オールド」というグラスに、
イラストレーションをふたつに分けて、
サンドブラスト風にプリント。
ユニコーンや人魚姫が舞うすがたは、
アイスティーやアイスコーヒーなど、
色のついた飲み物を入れるときれいに浮かびますし、
サイダーやミネラルウォーターだったら、
きらきらと、ふしぎなシルエットをうつします。
黒いグラスは、透明なものに比べると
すこし重量感があります。
いろいろな色ガラスを混ぜてつくる黒いガラスで
グラスをつくり、そこに銀色でプリント。
光の加減でアンティークゴールドのようにも見えますよ。
ふつうのグラスとして飲み物に使うほか、
アイスクリームを入れるうつわにするなど、
たのしくお使いいただけたらと思います。
こちらは『こけレレさんとこけロスさん』の一筆箋。
それぞれ15枚ずつ、合計30枚が1冊になっています。
片面に黄色い横書き用罫線を入れました。
同じ柄で、ほそながいバッグをつくりました。
大小で1セット。
フランスパンやワイン、
お花などを入れるとぴったりサイズで、
ふだんづかいしていただけるバッグです。
バッグインバッグとしても便利ですよ。
こちらはTシャツではなくチュニックです。
ひざが隠れるくらいの丈とゆったりめの身幅で
とっても楽な着心地です。
鎖骨がみえるくらいに開いた襟ぐりと、
肩がおちたデザインの女性らしいシルエット。
お家でくつろぐときにも、ぜひどうぞ。
荒井良二さんシリーズ
バス4,937円、シャワータオル 3,348円、ハンド875円
(次回予告では升ノ内朝子さんのタオルとグッズを紹介します!)