5つの国のことばのタオル、
最初に紹介するのはフィンランド語です。
フィンランド語はフィン語、スオミ語とも呼ばれ、
世界で600万人が使っていることば。
「ウラル語族」に属し、おとなりのスウェーデンや
ロシアなどとも、また英語やドイツ語、
フランス語やスペイン語などとも
おおきく異なる言語なんです。
表記は英語と同じアルファベットにÄとÖを加えた28文字。
よく使われるあいさつは「Moi! (モイ!=こんにちは)」
「Kiitos(キートス=ありがとう)です。
今回、タオル用のことばを選んでくださったのは
ヘルシンキ在住の森下圭子さん。
3つのフィンランド語について、
また、ヘルシンキでのタオル事情や
近況についておたずねしました。
森下圭子さんのプロフィール
1969年生まれ。
ムーミンの研究がしたくて
1994年の秋にフィンランドへ。
夏は島めぐり、
秋は森でベリー摘みに始まって茸狩り、
冬は寒中水泳が好き。
現在、ヘルシンキを拠点に、
取材や視察のコーディネートや通訳、
翻訳の仕事をしています。
訳書に『ぶた』『アキ・カウリスマキ』、
ミイのおはなし絵本シリーズ、
『ぼくって王さま』
『トーベ・ヤンソン 仕事、愛、ムーミン』など。
映画『かもめ食堂』の
アソシエート・プロデューサーもつとめました。
「ほぼ日」では2004年から2005年にかけて
『サンタの国、フィンランドから。』を、
2009年から2012年にかけて
『フィンランドのおじさんになる方法。』を連載。
2015年には作家・重松清さんによるインタビュー、
『トーベ・ヤンソンの人生を、ぼくたちはもう一度生きる。』
「weeksdays」のオンライン対談
「いま、どんな風に過ごしてますか?」
にも登場しています。
ではまずは、今回選んでくださった
3つのフィンランド語についておたずねします!
onni on … oma käsipyyhe
(オンニ・オン…オマカシピューヘ)[幸せとは、自分のハンドタオルがあること]
“onni on”──幸せとは、
っていう言葉、よく使うんです。
「幸せとは、太陽がでてるってこと」とか、
「幸せとは、朝一杯のコーヒー」とか。
この言葉を覚えたばかりの時、
もう四六時中使いたくて。
そして使うことで、私の一日は
幸せでいっぱいになりました。
このことばをタオルにと選んだのは、
身近なところにこの言葉が目に入れば、
一日の幸せの数が増えそうだなと思ったからです。
pessää käet
(ペッサー・カエット)[手を洗おう(カレリア地方の方言で)]
フィンランドは独立してまだ100年ちょっとの国なんです。
そのフィンランドで独立の機運が高まっていた時期、
フィンランドらしさが一番詰まっていると注目されたのが
カレリア地方でした。
この言葉はカレリア地方の方言で「手を洗おう」。
標準語の「手を洗おう」よりも、
面倒見の良いおばちゃんに
威勢よく言われてる感じがするのです、
「ほらほら、手を洗って!」みたいな感じで。
hyveli yöteli
(ヒュヴェリ・ユオテリ)[おやすみなさい(絵本のなかのことば)]
私はムーミンが理由でフィンランドにやって来たのですが、
90年代、子どもたちの間では大人気となったムーミンも、
多くの大人にとっては「読んだことない」存在でした。
その時に「フィンランドの人が確実に読んでるっていったら
ウッポナッレのシリーズだよ」と言う人も多く、
私はそのクマのぬいぐるみが主人公になっている児童書を
読み始めました。
少ししたら、その挿絵を描いている
イラストレーターのおじいさんと知り合うことになり、
さらにこの本への愛着がわくように。
この本の中で使われている
「おやすみなさい」の言葉がこちら。
本来はHyvää Yötä(ヒュヴァー・ユオタ)なのですが、
それよりも音がかわいらしい響きで、
親しい友達と何人かで泊まるときなどは、
時々こう言い合ったりしています。
子どもの頃のお泊り会気分になるというか。