onni on … oma käsipyyhe
[幸せとは、自分のハンドタオルがあること]
pessää käet
[手を洗おう]
hyveli yöteli
[おやすみなさい]
フィンランド語 森下圭子さん

5月26日(水)午前11時より販売スタートです。

5つの国のことばのタオル、
最初に紹介するのはフィンランド語です。
フィンランド語はフィン語、スオミ語とも呼ばれ、
世界で600万人が使っていることば。
「ウラル語族」に属し、おとなりのスウェーデンや
ロシアなどとも、また英語やドイツ語、
フランス語やスペイン語などとも
おおきく異なる言語なんです。
表記は英語と同じアルファベットにÄとÖを加えた28文字。
よく使われるあいさつは「Moi! (モイ!=こんにちは)」
「Kiitos(キートス=ありがとう)です。
今回、タオル用のことばを選んでくださったのは
ヘルシンキ在住の森下圭子さん。
3つのフィンランド語について、
また、ヘルシンキでのタオル事情や
近況についておたずねしました。


森下圭子さんのプロフィール

1969年生まれ。
ムーミンの研究がしたくて
1994年の秋にフィンランドへ。
夏は島めぐり、
秋は森でベリー摘みに始まって茸狩り、
冬は寒中水泳が好き。
現在、ヘルシンキを拠点に、
取材や視察のコーディネートや通訳、
翻訳の仕事をしています。
訳書に『ぶた』『アキ・カウリスマキ』、
ミイのおはなし絵本シリーズ、
『ぼくって王さま』
『トーベ・ヤンソン 仕事、愛、ムーミン』など。
映画『かもめ食堂』の
アソシエート・プロデューサーもつとめました。
「ほぼ日」では2004年から2005年にかけて
『サンタの国、フィンランドから。』を、
2009年から2012年にかけて
『フィンランドのおじさんになる方法。』を連載。
2015年には作家・重松清さんによるインタビュー、
『トーベ・ヤンソンの人生を、ぼくたちはもう一度生きる。』
「weeksdays」のオンライン対談
「いま、どんな風に過ごしてますか?」
にも登場しています。


ではまずは、今回選んでくださった
3つのフィンランド語についておたずねします!

onni on … oma käsipyyhe
(オンニ・オン…オマカシピューヘ)[幸せとは、自分のハンドタオルがあること]

“onni on”──幸せとは、
っていう言葉、よく使うんです。
「幸せとは、太陽がでてるってこと」とか、
「幸せとは、朝一杯のコーヒー」とか。
この言葉を覚えたばかりの時、
もう四六時中使いたくて。
そして使うことで、私の一日は
幸せでいっぱいになりました。
このことばをタオルにと選んだのは、
身近なところにこの言葉が目に入れば、
一日の幸せの数が増えそうだなと思ったからです。

pessää käet
(ペッサー・カエット)[手を洗おう(カレリア地方の方言で)]

フィンランドは独立してまだ100年ちょっとの国なんです。
そのフィンランドで独立の機運が高まっていた時期、
フィンランドらしさが一番詰まっていると注目されたのが
カレリア地方でした。
この言葉はカレリア地方の方言で「手を洗おう」。
標準語の「手を洗おう」よりも、
面倒見の良いおばちゃんに
威勢よく言われてる感じがするのです、
「ほらほら、手を洗って!」みたいな感じで。

hyveli yöteli
(ヒュヴェリ・ユオテリ)[おやすみなさい(絵本のなかのことば)]

私はムーミンが理由でフィンランドにやって来たのですが、
90年代、子どもたちの間では大人気となったムーミンも、
多くの大人にとっては「読んだことない」存在でした。
その時に「フィンランドの人が確実に読んでるっていったら
ウッポナッレのシリーズだよ」と言う人も多く、
私はそのクマのぬいぐるみが主人公になっている児童書を
読み始めました。
少ししたら、その挿絵を描いている
イラストレーターのおじいさんと知り合うことになり、
さらにこの本への愛着がわくように。
この本の中で使われている
「おやすみなさい」の言葉がこちら。
本来はHyvää Yötä(ヒュヴァー・ユオタ)なのですが、
それよりも音がかわいらしい響きで、
親しい友達と何人かで泊まるときなどは、
時々こう言い合ったりしています。
子どもの頃のお泊り会気分になるというか。


どのことばも、フィンランドらしいひびき!
(うまく発音できそうにない~。)
さて、森下さん、フィンランドではいつも
どんなタオルを使っていますか?
また、フィンランドのタオル事情を教えてください。

私じしんはほぼ日のやさしいタオルを使ってます。
近所のジムに通っているのですが、
タオルで話が弾むことが結構あるんです。
ウェアやシューズについて
互いが情報交換することはないのですが、
タオルに関しては「それどこの?」とか、
タオルに関するこだわりを語る方も時々いらして。
地域や客層によって違うかもしれませんが、
私が通うジムで人気なのは昔ながらの麻のタオル。
長年使ってでてくる風合いのやわらかい麻。
あとはタオルがサウナの外気浴で、
つまり外にでて涼んでるときなんかに
体に巻き付ける意味合いもあるためか、
バスタオルは大判が多いです。
胸から巻き付けたときに膝まで隠れるくらいの。
ただジムだとそこまで大判である必要はない、
しかも軽そう、乾くのも早そう、やわらかそう、
ということで私のタオルは
ジムのシャワールームや更衣室でも
「どこの?」と聞かれます、裸で。

なるほど。裸で‥‥。
サウナの国、フィンランドならではの
コミュニケーションです。
そういえば以前フィンランドで宿泊した先でのタオル、
バスタオルがものすごく大きかったのが印象的でした。
腰に巻くと引きずりそうなほどでした。
さてさて、森下さんの最近のトピックは?

今は白夜の季節ですが、晩秋から冬のあいだって
青空がどんなだったか、前に太陽を見たのがいつか
思い出せない、ずっとそんな感じでした。
活動量計の睡眠の質がぐんと下がってしまい、
睡眠力だけは自慢だった私も焦ってしまいました。
そこで、何年か考えていたウエイトブランケットを
遂に購入しました。
7キロの布団をかけて寝ているのですが、
これが気持ち良いのです。
包まれている気分で、落ち着くというか。
このおかげかは定かではありませんが、
年末からは睡眠の質もいい感じになっています。
あとはステイホームが始まったころと同じようなことを
今も続けています。小さな楽しみ、想像力、
新しいことをやってみる、逃げ場を持っておくなどなど。

ウェイトブランケット! 加重ブランケット、
とも呼ばれ、睡眠の質の向上に役立つんだそうですね。
最近は布団が軽くなって
そういう「ずっしり」感から遠ざかっていますが、
気持ちいいものなのかもしれません。
そのとき、ぜひ枕カバーがわりに
「やさしいタオル」を使ってみてくださいね。
気持ちいいですよ~!
森下さん、どうもありがとうございました!


せかいのことばシリーズFINLAND5/26(水)午前11時 販売発売


2021-05-20-THU

タオル撮影:有賀 傑