英国から来た羊と織物。
シープスキンファクトリーの
OWEN BARRY(オーエン バリー)と、
テキスタイルのデザインスタジオ
Wallace#Sewell(ウォレス アンド スウェル)。
日本では、まだあまり知られていない
ふたつの英国ブランドを私たちに紹介してくださったのは、
「ほぼ日」では「タンピコ」や「白いシャツ」でおなじみの
STAMPSの吉川修一さんでした。



このふたつのブランドとの出会い、
そして現地のようすなどを、吉川さんにお聞きしました。
Wallace#Sewell(ウォレス アンド スウェル)の
アトリエは、ロンドンと
マンチェスターから一時間くらいの
ドーセットというところと、
2拠点なんですが、僕らが訪れたのは、ロンドンのほう。
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彼女たちは、
世界でいちばんすぐれたアートスクールといわれる
ロイヤル・カレッジ・オブ・アート出身のデザインチームです。
「ロンドンの地下鉄の座席の張り地をデザインした」とか、
「アイテムがいちばん売れているのは
テート・モダンのミュージアムショップ」
と聞いていたので、
たいへん有名なデザイナーだということは知っていました。
だから‥‥、なんていうんでしょう、
「ばりばりの最先端のファッションに身を包んだ、
とても押しの強い印象の人たちかも?」
と思っていたんですが、実際にお目にかかってみると、
じつに、地に足のついた、おだやかな人たちでした。
コミュニケーションの仕方も、日本的というか、
最初からワァッ! と仲良さげにふるまうようなことはなく、
静かに、感じ良く、距離をたもって、
徐々に、お互いを理解していく。対等なんです。
会話を重ねていくうちに、
お互いが見ている方向が同じだということを確信し、
「これから、いっしょに、スタートを切りましょう」
と、そんなふうな関係ができあがったように思います。



Wallace#Sewellの仕事のスタイルを見ていくうちに、
彼女たちは、職人気質と芸術家肌、
両方を持ち合わせているんだとわかりました。
ふつうとはちがう、
独自のもののつくりかたをするんですよ。
とにかく時間をかける。
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最初にすることは、台紙に糸を巻き、
デザインをかたちづくること。
それはアブストラクト、と言ってもいい、
幾何学的でカラフルな絵のようでした。
それをもとに、アトリエの手織り機で、
「どうやったら、この組み合わせを、
織物として再現できるか」を考えます。
ふつうの織物のメソッドでは、
とてもつくることを諦めてしまうような複雑な色の組み合わせを、
独自の、‥‥おそらく数学的な考え方も入るんでしょう、
こつこつと、つくっていくんです。
単純な経(たて)と緯(よこ)ではない、
特殊な、とても高い技術を必要とする織りかたなんです。
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それができあがると、それを、職人が再現できるように、
仕様書、設計図をつくります。
製品化を依頼する先は、信頼している、
100年以上の歴史がある織物工房。
織物工房としては大きな規模で
量産の体制がとれるところです。
織機がブランケットを
織ることができるほどの大きなものなので、
できあがった織物を裁断し、縫製をすることで、
幾本かのストールや、
いくつものクッションカバーをつくることができます。
バウハウスコレクションのような
左右非対称の自由なデザインは、
1枚の織物から3~4パターンのストールやスカーフができます。
同じ名前のアイテムでも、
複数のデザインが混じっているのは、そのためです。



Wallace#Sewellのスタッフは女性がほとんどでした。
彼女たちが尊敬し、影響を受けているのが、
1900年代初頭に現在のドイツにあった芸術学校、
バウハウスの教えなのですが、
当時のバウハウスで女性が活躍できたのは、
唯一、織物だったそうなんです。
Wallace#Sewellのふたりが織物を目指し、
また、女性を中心にアトリエをつくっているのも、
そんなことが関係するのかもしれませんね。
バウハウスは、現在はない学校ですが、
その伝統は引き継がれ、デザインや建築の教育に生きています。
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(吉川さん、ありがとうございました!)