本来なら、ここで
今回販売するちらし寿司セットについて
お伝えすべきところなのですが、
しょうゆの話をさせていただきます。
話をするのは、糸井重里です。

▲しょうゆの話をします。

──

「うまけりゃうれるべ市。」では、
おすすめセットのほかに、
おいしいものを選んで販売するのですが、
今回の「トッピング」ラインナップに、
「いわて丸むらさき」（八木澤商店）という
しょうゆが入りました。
なぜ、このしょうゆが今回
「うまけりゃうれるべ市。」に並んだのか。
しょうゆならなんでもいい派の
「うまけりゃうれるべ市。」チーム乗組員、
菅野が訊かせていただきます。よろしくお願いします。

糸井

よろしくお願いします。
菅野さん。あなたは、
おいしいおしょうゆ、というものが
わからないのですね。

──

はい。きっとそうだと思います。

糸井

まず、一般的なことを言います。
それは、買ったばかりのしょうゆはおいしい、
ということです。

──

‥‥そういえば、最近は鮮度を重視して
密閉型の容器に入ったしょうゆも発売されていますね。

糸井

そうなんです。
密閉型であっても、そうであっても、
開封したしょうゆは早く使いきりましょう。
これがいちばんです。

──

はい。

糸井

君は、

──

はい。
そこから、はじめさせていただきます。

糸井

日本酒は、好き？

──

好きです。

糸井

日本酒も、栓を開けたらわりと
すぐに飲んじゃおうとするでしょ？
あまり置いておかないでしょ？

──

そうですね。
料理酒はいつ開けたかわからないくらい
ちびちびと使いつづけてしまいますが、
飲むほうの日本酒は、すぐ飲むようにします。

糸井

ほんとうは、料理酒も、すぐに
使ったほうがいいと思うんだけど、まぁいいさ、
いまはそれは置いておこう。
しょうゆは、飲む日本酒と同じだと思ってください。

──

わかりました。

糸井

まず、そこが前提で、だよ？

──

はい。
今回の、「いわて丸むらさき」を
お寿司につけてめしあがってください。

糸井

（ちょこっ）

──

ひぃえぇ！

糸井

かおりづけていどなんですよ、しょうゆは。

▲しょうゆは、ちょこっとだけつける。

──

ほんとうに、ちょっとだけ、つけるんですね。

糸井

しょうゆは、
食いものじゃなくて
調味料です。

──

そうですね。
食いものではない‥‥。

糸井

そこも、重要なところだよ。
もうひとつ、たまごかけごはんの用意も
あるようだね？

──

あります。
「いわて丸むらさき」と、たまご、ごはん、海苔。

糸井

ぼくのたまごかけごはんの作りかたは、
最近、こうです。
１）ごはんをよそう。
２）しょうゆをかける。
かきまぜて、まず、しょうゆごはんを作る。

──

たまごよりも、しょうゆが先なんですね。

糸井

そうです。ここで、味のかげんを
見極めることもできます。

──

たまごにしょうゆを入れると
ドバっとかけすぎたりしますものね。

▲ごはんはあとから足すこともできますね。

糸井

３）別の容器でたまごをかきまぜ
４）かきまぜながらごはんにかける

──

まぜはじめてから
ごはんにかけるまでが、すばやい！
なぜ、まぜながらかけるんですか？

糸井

たまごをまぜきらないうちにかければ、
ごはんのほうに
先に黄身がのりやすくなります。
容器に白身のほうが残ります。

▲ささっ。

▲ぴたっ。

──

白身がちになったたまごは、別で、
おいしくいただきましょう。

糸井

こうすると、いいあんばいになります。
ぜひ海苔をふりかけて。

──

海苔は必須ですよね。

糸井

ああ。

──

あああ！

糸井

うまいっ！！

▲たまごかけごはんが好きです。

──

おいしい。

糸井

ぼくは、のりのほかに、
かつおぶしをのっけることも
しょっちゅうです。

──

かつおぶし。
おいしそう。やったことがなかった。

糸井

そんなこたあ、
どうでもいいんだ。

──

え？

糸井

だって、しょうゆの話だろ？

──

そうでした、しょうゆの話です。

糸井

いままでふたつの料理を見たところでわかるように、
つまりはさ、これらのおいしいものは、

と、いうことだよ。

──

は‥‥っ、そうかぁ。
どんなにおいしいお寿司でも、
どんなに厳選したたまごでも。

糸井

そう。
だっからさぁ、
古いと、たいへんなんだよ。

──

わかりました。
新鮮なうちに使います。

糸井

では、まず、
わたしとしょうゆの出会いのお話から
はじめさせていただきたいと思います。

──

え？
まだ、話ははじまってなかったんですか？

（明日につづきます）