もっとおいしくなる。
そのいきさつ、ご説明します。
YOIが最初に紹介するのは、日本のワインです。
「ヨーロッパや北米・南米、オセアニア、アフリカ、
おいしいワインは世界各地にあるよ!」
「日本には日本酒があるじゃない」
「白ならまだしも、日本の赤ワインなの?」
ワインに詳しい人、好きな人なら、
そんな感想を持つんじゃないかなって思います。
じつは、YOIの構想がうまれるだいぶ前から、
ぐんぐん成長する日本のワインについて
「ほぼ日」でコンテンツをつくりたいと思っていました。
5年ほど前から、「どうやら日本のワインが
おいしくなっているらしいぞ」という話が、
ワインを飲むひとたちの間で
話題になりはじめていたのです。
ワインづくりは職人仕事で、
なかなかの重労働なのですけれど、
技術をみがき、
手をかければかけただけおいしくなってくれることと、
いっぽうで思うようにならない農業のつらさ、
でもいい製品ができたときの、
ダイレクトにはねかえるお客さんからのうれしい反応は、
かけがえのないものだと
日本のワインのつくり手たちは言います。
じっさい、若いつくり手もどんどん増え、
ほとんどの都道府県に
ワイナリーが誕生しているという現状のなか、
めざましく成長している日本のワインは、
「いま」がピークではないのは明らか。
きっと10年後、20年後、
もっとすごいことになるんじゃないのかなあ。
そんな希望に満ちたビジョンも見えてきました。
今回、ドメーヌ・ヒデとの橋渡しをしてくださった
西麻布の日本ワイン専門店「遅桜」のソムリエ、
大山圭太郎さんはこう分析します。
「ワイン評論家のロバート・パーカーがよしとした
濃いワインが美味しいんだという流れがありました。
チリ、カリフォルニア、サン=テミリオンなどで、
樽をガンガン使ったブティックワイナリーが流行った。
けれども海外ワインを飲み慣れている人たちを含め、
『ちょっと飲み疲れをしてきたね』ということも、
いっぽうで、あったんです。
トレンドとして、樽の強いワインとか、
果実味のボリューム爆弾、みたいなワインを、
だんだん、飲まなくなってきたんです。
そんなときに出てきたのが、急成長の日本ワインでした。
軽やかで、変化して、年を追うごとに
どんどん良くなっていくのが目に見える
日本のワインのおもしろさに気づいちゃった。
今は、世界に向けて日本のワインを発信しているのは
大手のメーカーが多いんですけれど、
10年後になったら、小さなワイナリーさんも、
世界に向けて、日本ワインを楽しんでもらうスタイルに
変わると思います。
今は、日本人が楽しんでもらえるワインを作っているのが、
たぶん5年後ぐらいには、世界を目指しはじめる。
いうならば、フレンチにもイタリアンにも合う
日本のワインがどんどん出てくるかもしれません。
その頃には、濃いワインが飲みたかったらカリフォルニア、
ちょっと甘口ですっきりしたものならドイツ、
ちょっとクラシカルにボルドー、というなかに、
『きょうは日本のワインを飲もう』という日がまじる。
そんなふうに食い込んでくると思うんです」