Symposium ボーダーシャツを語ろう。[井伊百合子さん篇]

  • 井伊 百合子さん(スタイリスト)
  • 江藤 公昭さん(「PAPIER LABO.」ディレクター)
  • 尾崎 雄飛さん(「SUN/kakke(サンカッケー)」デザイナー)
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File 04 袖をまくって、着てほしい。

date:

2013/02/22 FRI

content:
「袖をまくることが前提」のボーダー。
江藤 尾崎さんのボーダーコレクションのあとで
お見せするのは気が引けるんですが、
ボーダーに関するものがないかと思って、
ぼくも家の中を探してみたんです。
井伊 わあ、ありがとうございます。
なにか見つかりました?
江藤 絵がいくつか見つかりました。
これは、
イギリスの現代美術を代表するアーティスト、
デヴィッド・ホックニーが描いた
ボーダーシャツを着たピカソ。
尾崎 たしかにピカソは、
ボーダーシャツを着てるイメージありますね。
江藤 アメリカのポップ・アートシーンで活躍している
アレックス・カッツも
ミントブルーに赤のボーダーシャツを着た
男性の絵を描いていました。
井伊 色がいいですね。
‥‥ピカソが着てるこれは、七分袖?
江藤 どうなんでしょう?
袖をまくっているようにも見えなくはない。
ほぼ日 そういえば、
さっき「オーシバル」のボーダーを着たとき、
井伊さんも自然に袖をまくってましたね。
井伊 ああ、そうですね。
ちょっと大きめだったから。
尾崎 ぼくが着たら七分丈くらいで、
ちょうどいいんですよ。
井伊 わたしの場合は、袖をまくって着ると
ちょうど七分丈くらいになるのでバランスがとりやすい。
あと、この肘の下あたりに袖がたまるのって
女性は好きな気がします。
‥‥そうだ、スタイルとして
提案するのはどうでしょう?
袖をまくって着ることが前提のボーダー。
ほぼ日 あー、いいですね! おもしろい。
「まくるボーダー」。
袖をまくったときに、「うれしさ」があるといい。
江藤 もしできるんだったら、袖をまくったときに
なにか「うれしさ」があると、
よりいいものになる気がしますね。
井伊 まくったときにある「うれしさ」?
江藤 うん、具体的になにとはいえないんだけど、
袖をまくったときに、なにか変化があるというか‥‥。
尾崎 たしかに、まくったときになにかあると、
井伊さんがつくるボーダーシャツの
オリジナル性も高まりますね。
このシンプルなT字型の
ボーダーシャツっていうのは
現在はほとんどつくられていませんが、
極端な話、古着屋でたくさん探せば、
似たようなものが見つかるかもしれませんから。
井伊 そうか。
昔のをまねるだけじゃ、つまらないですもんね。
袖をまくったとき、なにがあるとうれしいでしょうね。
尾崎 袖をまくったら、
ボーダーが1本だけ色がちがう、とか?
江藤 たとえば、なにか言葉が出てくるとか。
井伊 うんうん。
きっと、そういう感じ。
‥‥あっ、買ってくれた人のイニシャルを
刺繍で入れるっていうのはどうですか?
尾崎 ああ、イニシャルね!
井伊 パーソナルなものがそこにあれば、
袖をまくったとき、うれしいかもしれない。
江藤 イニシャルだと大事だと思うし、
見せたくなるかも。
尾崎 問題があるとすると、
まくったときに見えるように刺繍をすると、
袖の表がわに、刺繍の裏側が出てくることでしょうか。
井伊 あ、そうか、そうですよね。
刺繍はやめてワッペンとか?
尾崎 そうですねぇ‥‥。
ひとつ思いついたんですけど、
フランスのイニシャルテープってご存知ですか?
井伊 ありますね。
古着屋やアンティークショップでも
ときどき見かけます。
尾崎 その四隅をちょんちょんちょんちょんと
縫い付けるくらいなら、
袖の表がわから見えても、目立たなくていいかも。
井伊 なるほど。
袖まくった先にイニシャル、できるといいなぁ。
江藤 うん、できるといいですね。
なんだか‥‥ボーダーシャツ、着たいです(笑)。
井伊 買った記憶すらないといっていた人が、
すごい心の変わりようですね(笑)。
江藤 これだけ見たり話したりしたら、
着たくなってきました。
明日とか、買いに行こうかな。
尾崎 江藤さん、この座談会で
ボーダーに目覚めました?(笑)
江藤 目覚めました、目覚めました。
井伊さんがつくる、素敵なボーダーシャツ、
たのしみにしてますよ。
井伊 はい、がんばります!

(おわり)

井伊 百合子(いい・ゆりこ)

スタイリスト。
東京生まれ。
2004年文化服装学院アパレルデザイン科
メンズデザインコース卒業。
在学中よりスタイリスト ソニア パーク氏に師事。
2008年独立。
現在、「GINZA」や「装苑」などの雑誌や広告等、
幅広い媒体で活躍する人気スタイリスト。
「実際に使える」ことが、しっかりと考えられている、
ナチュラルで上品なスタイリングを得意としている。

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江藤 公昭(えとう・きみあき)

「PAPIER LABO.」ディレクター。
ランドスケーププロダクツにて
インハウスデザイナーとして在籍時に
紙にまつわるプロダクトを取り扱うショップ、
「PAPIER LABO.」を設立。
2010年1月に独立し、
店舗運営を中心にデザインや印刷の窓口的役割を担う。
もののよさを見抜くセンスは紙ものだけにとどまらず、
ジャンルを超えて活躍中。
井伊さんとはご近所さんで、ふだんから親交がある。

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尾崎 雄飛(おざき・ゆうひ)

1980年愛知県生まれ。
大手セレクトショップバイヤー、
ヴィンテージショップ店主を経て、
2007年に「フィルメランジェ(FilMelange)」を立ち上げ、
ディレクターとして活動。
2011年に独立し、
フリーランスのデザイナーとして
様々なブランドのデザイン、ディレクションを手がける。
2012年1月に自身のブランド
「SUN/kakke(サンカッケー)」をスタート。
洋服に対する愛情と深い造詣に定評がある。

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