Hobonichi Striped-T Institute

content:

「原点のボーダーシャツ」づくりもいよいよ大詰め。
前回につづいて、
「袖をまくったときにあらわれる、うれしさ」を
検討中です。


ボーダーシャツの袖をまくったところに、
「昇文堂」の手づくり印鑑をおすことが決まり、
この印鑑を取り扱っているお店、
江藤公昭さんがディレクターを務める
『PAPIER LABO.』にお邪魔しています。



まずは井伊さんに、
たくさん用意した薩摩ツゲの木の枝から、
好みのものを選んでもらいます。
薩摩ツゲは櫛や将棋の駒などにもつかわれており、
木目がギュッとつまっていて、
とても硬くて丈夫なんですって。



吟味のすえ、井伊さんが選んだのは
太めで、印面が広く、まん丸に近いもの。
「衣服に押すものだから、
 あまり奇をてらってないほうがいいかなと。」


本来なら、これを昇文堂さんに送ればいいのですが、
せっかくの機会なので、選んだ木を手に、
鹿児島県の枕崎にある
昇文堂さんを訪ねることにしました。


そうそう、印面に刻む文字をどうするかですが、
「原点のボーダーシャツ」だから、
「原点」を意味する「ORIGIN(オリジン)」にしました。
アルファベットがこの印面にどんなふうに並ぶのか、
すごくたのしみです!



枕崎に着きました。これが昇文堂です。
意外にも、ごくふつうの町のハンコ屋さん。
店主で職人の神田昇さんが迎えてくださいます。



中に入ると、手彫りの印鑑がずらりと!
これは、戦前、
神田さんのお父様やお弟子さんがつくったもの。
昔は印鑑をいくつか彫って
そのなかから選んでもらっていたため、
こんなにも印鑑があるんだとか。



印鑑にするための
薩摩ツゲの枝もたくさんあります。



こちらは、神田さんがいつも参考にしているという
服部畊石という篆刻家が記した冊子。
象形文字のような字体がたくさん並んでいます。
これをベースに、印面に合わせて
神田さんご自身がデザインするそうです。



長年つかっている道具に
井伊さんが選んだ木を固定して、
いよいよ、彫りはじめます。



ひと彫りひと彫り、
すこしずつ、ていねいに彫りすすめる神田さん。
その手つきに迷いはありません。



午前中からはじめて、お昼休みをはさみ、
夕方近く、ようやくすべて彫りあがりました。



紙におしてみると‥‥。
おおおお、印影もあざやかに、
「ORIGIN」の文字が!
いやあ、なんか、かっこいいです!



袖をまくったところに入れるための
「原点のボーダーシャツ」のハンコ、
完成しました。


井伊さん、これから持って帰りますから、
待っててくださいねー!
(井伊さんはご都合がつかず、同行できなかったのです)


井伊 百合子(いい・ゆりこ)

スタイリスト。
東京生まれ。
2004年文化服装学院アパレルデザイン科
メンズデザインコース卒業。
在学中よりスタイリスト ソニア パーク氏に師事。
2008年独立。
現在、「GINZA」や「装苑」などの雑誌や広告等、
幅広い媒体で活躍する人気スタイリスト。
「実際に使える」ことが、しっかりと考えられている、
ナチュラルで上品なスタイリングを得意としている。

閉じる