Hobonichi Striped-T Institute

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「スマートボーダー」のチャームポイント、
「六甲成分」を検討中のT projectですが、
ここで、ちょっと横入り。
実際つかう生地をつかった、
ボーダー柄入りのサンプルが、できてきました!
(ただし、まだボーダーのピッチは正確ではありません)



わあ、無地のときもよかったけど、ボーダー柄が入ると、
きれいなシルエットが、ますます引き立ちますね。


「いいですねー!
 わたしも着てみていいですか?」
と、轟木さん。



「あ‥‥れ? これって‥‥。」


轟木さん、どうやら生地が気になるようす。


「どれどれ?」と森さんも、まわりのみんなも、
さかんに生地をさわりはじめました。


やがて轟木さんがひと言。
「分厚くて、ぎゅっと目がつまってがっしりしてて、
 これぞ求めていた生地感なんだけれど、
 もしかして、かたすぎるかな‥‥?」


なるほど、修正したほうがいいかもねと言いつつ、
男性サイズもふくめ、
全員でとっかえひっかえ試着してみます。


そのうち、みんな気づきはじめました。
すごくがっしりしっかりした生地だから、
森さんがつくったきれいなシルエットが、
着たときにそのまま出て、くずれないのです。


着心地も、いったん慣れると、
体をしっかりホールドしてくれているようで、
なんだか、どんどん好ましく思えてきました。


「これ、このままでいいのかも。
 逆にこの生地感が、
 『スマートボーダー』の特長になってくれる気もします」
と、轟木さん。
ほかの研究員も、しきりにうなずいています。


「‥‥あ、いけない。
 かんじんの『六甲成分』の話が、
 どっかに行っちゃいましたね」


そうでしたそうでした。
それについては、轟木さんにいただいたアイデアで、
おためしサンプルをつくってあります。



まずはこれ。
「袖の先だけが無地になっている」というものです。


「ほんのちょっとだけ無地があるのが、
 かわいいと思ったのですが、
 スマートボーダーには、少しカジュアルですね。
 無地にしない方がすっきりしていて合うかも。」


たしかに。
では、こっちはどうでしょう?



すそにスリットを入れるかわりに、
三角形のリブがついています。
轟木さんによると、
サイドゴアブーツから連想したのだとか。


「これも、きっと好きな方はいらっしゃると思うのですが、
 『このリブがあるから、これに決めた!』
 というところまではいけていないというか、
 魅力としてはあともう一歩、という気がします。」


轟木さん、自分が出したアイデアでも、
ジャッジするときは、かならず1ユーザーの目線です。
このへん、ほんとに徹底していて、かっこいい!


それから、轟木さんとわたしたちは、
「スマートボーダー」をほしいと思ってくれる方、
買ってくれる方にとって、
なにが一番うれしいかをたくさん話し合い、
後日結論を出すことにしました。


そして、つぎの打ち合わせの日。
やってくるなり轟木さんは、
自信をもっておっしゃいました。


「思い切って『六甲成分』は『なし』でいこう、
 と思うのですが、いかがですか?
 森さんがつくったきれいなシルエットと、
 裏を起毛したやわらかな肌ざわりがあって、
 あとはこの『がっちり生地』が、
 大きな特長になってくれると思います。
 強くやさしく美しい、スマートボーダー‥‥」


なるほど、見ためはとことんシンプルに。
素材で勝負、というわけですね。


「はい、この生地の魅力でいきます!
 シンプル イズ ベストです。
 そこに、行きつきました。」



この決断には、おもわずみんなで拍手。
「ほぼ日」にとっても、
ここまで飾り気がないデザインは、
はじめてだと思います。
その意味で、わたしたちもすごく新鮮な気分です。


「スマートボーダー」の見ためのシンプルさは、
裏がわに膨大な試行錯誤があったあとの結果だということ、
知っておいていただけたら、うれしいです。


轟木 節子(とどろき・せつこ)

スタイリスト。
1972年、熊本生まれ。
ファッション誌、カルチャー誌、広告などで幅広く活躍。
シンプルな中にスパイスの効いた、
独自の空気感が漂うスタイリングが人気。
ナチュラル志向なライフスタイルも注目されている。
モデル・女優の今宿麻美さんのフォトエッセイ
『HEART BALANCE』(双葉社刊)で
フォトグラファーとしてもデビュー。
日々のスタイリングのヒントがつまった
『毎日のナチュラルおしゃれ
着こなし手帖』
が発売中。

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