質疑応答のときに
孫さん自身が教えてくれた
「Mistletoe株式会社」の説明を
ご紹介します。
ちょっと読みにくいんですけど
「ミスルトウ」と呼びます。
事業としては、スタートアップを
支援する事業をやっています。
出資することもありますし、
人を出すこともあるし、出資した会社と
会社をつないで、共同研究を促したり、
いろんな他の投資家につないであげたり、
もうとにかく、自分たちにできる
ありとあらゆることを何でもやっています。
コミュニティをどんどん
作ったほうがいいときは、
コミュニティを作るサポートをするし、
非営利法人を寄付という形で
サポートすることもあります。
ミッションがすごく似ている場合は、
それが株式会社だったら出資をするし、
NPOだったら寄付をする。
でもとにかく、お金や人や物を
グルグル回しながら、
先端企業を作るということをやってます。
社名の「Mistletoe」は
「ヤドリギ」という植物のことなんですが、
他の樹木に寄生して育つんですね。
冬に赤い実をつけた枝が
クリスマスリースになったりもします。
落葉樹は冬になると
葉っぱが落ちて枝だけになりますけど、
ヤドリギがあると青々してるんですね。
そこに鳥が巣を作ったりもします。
で、実は鳥って森にとって
重要な役割をしているんですね。
木の実を食べたあとでフンを落としますが、
そこで消化されなかった種から発芽して、
新たな場所で木が育っていったりする。
そういうかたちで、鳥がけっこう
森を広げているということがあって。
私たちの世界ではよく
「スタートアップ・エコシステム」
と言うんですが、
スタートアップって起業家だけがいれば
いいんじゃなく、
いろんな人たちによるいい周りの生態系がないと
うまく育たないと言われているんです。
たとえばシリコンバレーは、
その生態系がすごくよくできてるから、
おもしろいスタートアップが
どんどん出てくると言われています。
僕らはその、いいスタートアップが
育つための環境をたくさん作っていきたいと
思っているんですね。
そのとき、この環境を森に例えるとするならば、
自分たちはすごいささやかだけど
「森を広げる鳥の巣を作る」みたいなことを
しようとしてるんです。
見た目には「寄生してるだけやん」とか
言われるんですけど、
実は意外と重要な役割を果たしている。
その「目立たないけど意外と重要」って感じが
まさに自分たちともぴったりかもと思って、
この名前をつけました。
働いている人にはいろんな人がいます。
テクノロジストもいれば、
起業家の先輩もいれば、銀行出身者とか、
研究者とか、アーティストとか、いろいろです。
外国人の方もたくさんいます。
大半はいわゆる業務委託で、
それぞれの人たちが個人事業主だったり
自分の会社をお持ちだったりしながら、
同時にこちらの活動をしてくださっています。
いま、前職が社員だったということから
社員の人たちが20名くらいいるんですが、
僕は「雇用契約」と言われる、
いわゆる社員契約というものを
「経営者の都合のいいように作られた
隷属的な契約」だと思っているので、
いずれは社員のみんながそれぞれに独立して、
会社と契約をする方向に
持っていけたらと思っています。
そして最終的には社員がいない
コミュニティにしていければと考えています。
だから、そういう意味でフラットですね。
まったく階層がゼロの組織です。