第9回 脅迫型より報酬系。

糸井 今日のお話、とってもおもしろかったです。
高橋 そう言っていただけると‥‥ありがとうございます。
糸井 なかでも、がんばってダイエットしても
必須アミノ酸の欠乏で
元気をなくしちゃったら、元も子もない‥‥
という話は、すごく腑に落ちました。
高橋 そうですか。
糸井 ここ数カ月、体重を計るだけのダイエットで
自分なりにうまくいってたんですけど、
そこに、今日の話をプラスすることができたのは
すごく‥‥よかったなぁ。
高橋 それは、うれしいです。
糸井 ダイエットについてはね、
ぼく、ひとつ、思い込みをしていたんです。

パンとか米とかモチなんかの炭水化物って、
みんな大好きじゃないですか。

あれが、そのまま脂肪になるんだろうって。
高橋 ノンカーボン・ダイエットなんかも
流行しましたしね。
糸井 そうそう、あれでうまくいったよって人が
目立ってたもんだから、
みんな炭水化物を目の仇にしてましたけど、
本当は、ちがうんですよね。
高橋 そうですね、炭水化物が悪いというより、
食事量を減らすことで
必須アミノ酸の摂取量が減ってしまう、
そのことのほうが問題ですよね。

つまり、カロリー摂取を減らしても
タンパク質をなるべく減らさないようにすれば、
必然的に炭水化物の量が減りますから。
糸井 なるほど。
高橋 ノンカーボン・ダイエットについては
良し悪しの両論あるようですけど、
日本人の場合、
米とかおモチとかって、
欲望として我慢しにくいのかもしれません。
糸井 なにせ「ご飯を抜いて成功した」って人がいても
最後までうまくいったの、見たことないからなぁ。
高橋 炭水化物、いまは「糖質」と総称されることが
多いですけれど、これを摂取すると
「グリコーゲン」として、体内に貯蔵されます。
糸井 ええ、ええ。
高橋 週末に、ちょっと食べすぎちゃったりして、
仮にグリコーゲンが
「2000キロカロリー」溜まったとします。

これは「水」といっしょに溜まるんですが、
重さにすると「2キロ」くらいになる。
糸井 2000キロカロリーのグリコーゲンは。
高橋 そう。

だから「週末、2キロ太ったー」なんていう場合、
基本的には
グリコーゲンが2000キロカロリー溜まった状態。

でも「脂肪」が2キロも溜まっちゃうと、
「16000キロカロリー」もあるんです。
糸井 え? へぇー‥‥。

つまり、同じ2キロでも
脂肪より炭水化物のほうがチャラにしやすい、
ということですか?
高橋 そうです。

で、2000キロカロリーというのは、
たとえば、月曜日に一生懸命ものを考えたら、
けっこう、なくなっちゃうと思う。
糸井 え、本当ですか!?
高橋 ええ、本当です。
グリコーゲンは「水と一緒に溜まって」ますから‥‥。
糸井 はい、はい。
高橋 頭を使ってものを考えると、グリコーゲンが燃焼する。

で、グリコーゲンが燃焼すると、
グリコーゲンを溜めていた水が要らなくなって、
これを「結合水」と言いますが、
とにかく、おしっことなって、出てくるんです。
糸井 おもしろーい!
高橋 ですから、一生懸命、月曜日に頭を使って、
おしっことして出せばですね、
週末の食べすぎくらいは解消できるんです。
糸井 ははー‥‥。
高橋 ぼくの場合、月曜の午前中から夕方にかけて
5〜6回おしっこに行かないと、
「なんか今日は、頭を使ってねぇな」と。
糸井 つまり「どれだけ考えてるか」ってことが
どれだけおしっこに行くかで、わかるんだ。
高橋 そうそう(笑)。
糸井 頭を使うと、おしっこが出るとは。
高橋 脂肪が燃えた場合は、そんなに水が出ませんが、
グリコーゲンだと、バシバシ出てきます。
糸井 ものすごくリアリティのある話ですね。
高橋 ぼくみたいに、週末いろいろと食べすぎちゃって、
月曜日に「しかたがない、働くか」
なんて生活をしてると、すごくよくわかりますよ(笑)。
糸井 じゃあ「月曜日に難問を」ですね。

高橋 そうそう、「月曜日に難問を」。
いいですねぇ(笑)。
糸井 ブルー・マンデーだなんて言ってると
「太るぞ!」と(笑)。
高橋 あはははは、そのとおりですね。

‥‥でね、そうそう、糸井さん、
これが先ほどの辛くないトウガラシです。
糸井 おお、これが。
高橋 冷凍のままタイから持ってきたんですが‥‥。
糸井 ‥‥(かじってみる)。
高橋 ほんのちょっとは、辛いかもしれません。
糸井 ‥‥でも、ふつうのトウガラシにくらべたら
ぜんぜん辛くない。
ぼく、辛いのダメなんですが、大丈夫みたい。
高橋 これをサプリにした「カプシエイト ナチュラ」は
2粒たべると、
だいたい50キロカロリーくらい燃焼します。

つまり、今日お話させていただいた
「1年に1キロ太る」ための
「1日に20キロカロリーの積み重ね」なんかも
これで、カバーできちゃう。
糸井 へぇーーー‥‥なるほど。

いやぁ、今日は本当に、ためになるなぁ。
高橋 うれしいです。
糸井 以前、NHKの「ためしてガッテン」という番組の
ダイエットの回に出たとき、
「本当の自分に会えるような気がする」って言ったら、
みんなが納得してくれたんですね。
高橋 へぇ、しゃれてますねぇ。
糸井 なんか、ダイエットで変わっていくと、
「いちばん自分らしい自分に
 会えるような気」が、したんですよ。
高橋 ‥‥あの、余談ですけど、おなかが空くと
「食べたい」という欲求が生じますが、
その欲求を満たす、つまり「何かを食べる」と
「快楽」がもたらされますね。
糸井 いわゆる「報酬系」の話ですか?
高橋 そう、なんらかの欲求が満たされた、
あるいは
満たされることがわかったときに活性化して、
快楽をもたらす神経系のことを
報酬系といいますけど‥‥。
糸井 ええ。
高橋 いまの糸井さんの言葉って、
現代の「ダイエット」にまつわる心理構造を
象徴しているように思うなぁ。
糸井 えーと、そうですか。
高橋 つまり「美しくなって、人に褒められること」
あるいは
「太っているときより、
 美しくなったと自分で満足すること」を
報酬と設定することで初めて、
「ダイエット」は、報酬を手に入れる手段として
成立するわけですから。
糸井 つまり「本当の自分に会える」という報酬のために
「ダイエットをがんばる」という心理ですね。
高橋 放っておくと太ってしまう現代だからこそ、
「いかに痩せるか」が欲求となり、
その結果、そういう本も
たくさん出版されることになるわけですが‥‥。
糸井 つまり、やっぱり、
成功の鍵は「脅迫型」じゃなくて‥‥。
高橋 「報酬系」なのかもしれません。
糸井 肥満の話って、ホント、いろいろあるんだなぁ。
高橋 単に体型の話だけじゃないんですよね。
糸井 うん‥‥そうですね。本当にそうだと思います。
今日は、ありがとうございました。
高橋 こちらこそ、ありがとうございました。
  <終わります>
2010-10-20-TUE