その
3
花と緑であふれた街に。
3
- ――
- お話をうかがっていても、
とにかくたのしんでいる感じが伝わってきます。
- 前田
- そうですね。やりたいことがたくさんあって、
一生かかっても追いつかないかもしれません。
私、東京を、もっと花と緑で
あふれた街にしたいと思っているんです。
- ――
- 花と緑であふれた街。
- 前田
- はい。イギリスで勉強していたとき、
都会でも花や緑が
身近にあふれていることに驚いたんです。
ロンドンでは庭を持ってない人も多いんですけど、
ベランダでありとあらゆる野菜やハーブを
育てている人がいたり、
公園で一般の人が参加できる
ワークショップがあったり、
花屋でも自分用の花を買う人が多かったり。
スクールで学んだことよりも、
そういうイギリス人たちの姿を
目の当たりにできたことが
一番勉強になったと思っています。
- ――
- 都会でも花や緑が
そんなに身近にあるってすごいですね。
- 前田
- そうなんです。
欧米の20代から40代の方に比べて、
日本の20代から40代は
圧倒的に花を買う人の数が少ないという
データがありました。
それがやっぱり残念で。
私がおばあちゃんになるころには、
東京のどこを通っても、どの窓からも
花や緑が見えるような、
そんな風景を実現したいと思っています。
- ――
- 11月15日からはじまる
「生活のたのしみ展」も、
そのきっかけになるといいですね。
- 前田
- はい。私もすごくたのしみにしています。
- ――
- どんな花を用意される予定ですか?
- 前田
- 「世界の花屋」は、
グリーンパックスさんという商社と
いっしょに組ませていただいてまして、
生花はケニアのソジャンミ農園というところで
作られたバラを並べます。
あまり知られていないんですが、
ケニアって、バラの栽培で有名な国なんですよ。
これが現地の写真なんですけど。
- ――
- わあ、すごく大きなバラ!
お花を持ってらっしゃるのが、
作り手の方ですか?
- 前田
- はい、ケニアの農園で働く女性です。
みなさん
「自分たちの作るバラはかっこいいんだ」という
プライドを持って作られていて、
グリーンパックスのみなさんも
「足を運ぶうちに、働くみんながいつでも笑顔で、
農園に笑い声があふれていることに気づいた」って
おっしゃっています。
そういうふうに大切に育てれらた花って、
とくべつに輝いている感じがすると思うんです。
- ――
- 本当にきれいですね。
受け取った人にも、
大事に育てられた花なんだな、ってことが
伝わるように思います。
ただ、ケニアはかなり遠いですし、
生花を運ぶのも大変ではないですか?
- 前田
- そうなんです。
ケニアから日本には直行便がないので、
ドイツを経由して輸入しています。
出荷する前に一度3度まで冷やして、
さらに各空港での温度管理も厳重にして、
手間はかかるんですけど、
ベストな状態で日本に届くようにしています。
そこに至るまでも、かなりの試行錯誤がありました。
日本の検疫は厳しいことで有名なんですけど、
それに対しても、農園のなかに
日本に輸出するための専門チームを作って、
品質のいいものを作ろうと
熱意をもって取り組んでいらっしゃって。
- ――
- みなさんの表情がとてもいいですね。
それにしてもこんなバラ、
あまり見たことないです。
- 前田
- 花弁がすごく多かったり、
なんともいえない
淡く美しい色のものだったり。
「世界にはこんなにきれいなバラがあるんだ」って
自分もすごく衝撃を受けたので、
その驚きとか新鮮な感動を
お客さんにも感じてほしいなと思っています。
それから、世界で初めて持ってきた、
新種のバラも並べる予定です。
名前がまだついていないので、
みなさんに自由に名前を考えていただいても
たのしそうだなと思います。
- ――
- いいですね。
後々名前がついたときに
「あのときこう呼んでいた花だ」って話せますし。
- 前田
- あとは、「スワッグ」といって、
吊るしておくとそのまま
ドライフラワーになる花束も用意する予定です。
日本であまり見かけない、
アフリカやイスラエルの
めずらしい形をした草花も、
スワッグに組み込もうと思っています。
- ――
- アフリカやイスラエルの草花?
- 前田
- スタッフが直接足を運んで、
農家の人たちと話し合って仕入れたものです。
ドライフラワーになるので、
「花はすぐ枯れちゃうから」と
敬遠しがちな人でも長くたのしめます。
もし、すぐドライにするのがもったいなかったら、
しばらく水につけて生花として楽しんで、
枯れそうな頃合いを見て
ドライにしてもいいです。
それから「ヤドリギ」も用意します。
ヤドリギは「木の下を通ると幸せになる」
という言い伝えがあるんですよ。
実際にディスプレイしていくなかで
変えていくところもあるかと思いますが、
世界中の花を集めた屋台みたいな
にぎやかな雰囲気にしたいです。
- ――
- お花の屋台!
たのしそうです。
普段花を買わないような人も、
気軽にのぞいていただいて、
好きになってもらったらいいですよね。
- 前田
- はい。お花って、ギフト用に買う方が
やっぱりすごく多いんです。
もちろんそれも素敵なことですけど、
ギフト用だけじゃなくて、
自分の暮らしを豊かにするアイテムの一つとしても
お花を見に来てくれたらうれしいです。
- ――
- 当日は前田さんも
お店に立たれるんですよね?
- 前田
- はい。時間は調整中ですが、
できるかぎり立ちたいなと思ってます。
私自身、いまは店頭で販売をしているわけではないので、
お客さんと直接会話する機会がないんですよ。
今回のたのしみ展で、いろんな方と触れ合って
お話ができるのをすごくたのしみにしています。
- ――
- どんなお店になるのか、
いまからすごくたのしみです。
どうもありがとうございました。
(インタビューはこれで終わりです。
「生活のたのしみ展」にオープンする
「世界の花屋」をどうぞおたのしみに!)
2017-11-08 WED
取材協力:自由が丘 ブリキのジョーロ