生活のたのしみ展

三國万里子さんが ロンドンとエジンバラで みつけたもの。 ハリネズミ店長とまりこが紹介します。 presented by 生活のたのしみ展

ニットデザイナーの三國万里子さんは、
いつも特別なものを身につけています。
といっても、高価なブランドものや
最先端の流行りものなどではなく、
むしろ、それとは正反対の、
おもしろくてかっこいい、服やこものたち。
たとえば、どこかの国で、お母さんが
こどものために編んだセーターだったり、
ヨーロッパの職人さんが大昔につくった
アンティークのジュエリーだったり、
美術館に展示されていてもおかしくないほど
手の込んだ刺繍のほどこされた
シルクのブラウスだったり‥‥。
たぶん、三國万里子さんがデザインするニットが
たくさんの人を魅了するのは、
三國さんが身につけている「すてきなもの」と
無関係ではないのだろう、と思うのです。

三國万里子さんの世界の
「もと」になっているともいえる、
そういうすばらしいものを、
三國さん自身に買い付けてもらって、
11月に開催される「生活のたのしみ展」で
売ってみることにしました。
ロンドンとエジンバラを歩き回って
三國万里子さんがみつけた
たくさんの古着や雑貨たち。
「生活のたのしみ展」のまえに、
ここですこしずつ紹介していきますね。

エジンバラで出会った編みぐるみの
「ハリネズミ店長」と「まりこ」が
おしゃべりしながら紹介していきますよ。
それでは、店長、まりこさん、
よろしくお願いしまーす!

その
12
ヴィンテージのパース(ミニ・バッグ)

ハリネズミ店長

なーんと、まあ。

まりこ

すごくきれいですよね。
手の込んだ、ビーズ刺繍のバッグです。

ハリネズミ店長

その昔の女性たちは、
よくこんな小さなものに、
ここまで手間をかけたわね。

まりこ

ほんとうに…。
そして、何を入れてたんでしょうね。
これは幅18.5センチ、
高さが10センチ、
マチが1センチで、
このタイプのビーズバッグの中では
そこそこの大きさではありますけど。

ハリネズミ店長

口紅と、コンパクトと、
ハンカチと、小銭くらいかしら。
おしゃれしてお出かけするのに、
そんなに大荷物は持たなかったのね、きっと。
まりこ、あなたもこういう小さいバッグを
ずいぶんいろいろ持っているけれど、
ふだん何を入れてるの?

まりこ

わたしはポーチがわりに使っています。
鏡にリップに絆創膏に薬、
そういう「こまごま」したものを入れて、
ショルダーバッグの中に忍ばせています。
店長のおっしゃる通り、
たくさん持っているから、
その日によって、取っ替え引っ替えしながら。
あと、あまりに繊細で、
実際に使うに忍びないものは、
棚に飾っています。

ハリネズミ店長

まりこはつくづく、
「きれい」だの「かわいい」ものに目がないわよね。
誰に見せるわけでもないものに、たくさんお金をかけて。

まりこ

ううう…。
それは、わたしの「業(ごう)」です。
そういう生きものなんです。
きれいなものに囲まれて、
そこから栄養をもらって生きてます。

ハリネズミ店長

ハリネズミはもっと質実剛健よ。
栄養源っていったら、コオロギやミミズ…

まりこ

あああ、その話は今はやめておきましょう。
栄養というのは「たとえ」ですから。

ハリネズミ店長

ああ、そうね。
まりこは贅沢なものを買って、
いい栄養をいただく分、
うんとすてきなものを作って、
世の中にお返ししていかなきゃね。

まりこ

そうできたら本望です。

ハリネズミ店長

さあ、あの小さなバッグのお話に戻りましょう。
これ、表と裏で模様が少し違うわね。

まりこ

そうなんです。
さっきの写真で、墨色のビーズが使われていた部分が、
裏返すと、淡い水色のビーズになっています。

ハリネズミ店長

襟飾りのリボンのようでもあり、
うつ向けたお花を横から見た姿のようでもあり。
清楚で、不思議な魅力のある模様ね。

まりこ

これは、ただのハンドバッグじゃないんです。

ハリネズミ店長

というと?

まりこ

留め金を「ぱかっ」と開くと、
片面が鏡で、もう片面が
コスメティック入れになっているんです。

ハリネズミ店長

な~るほど!
こうやって、おしろいやら口紅の
場所が決まっていると、
バッグの中でゴロゴロしなくていいわね。

まりこ

たしかに。
ファンデーションと、チークとリップが、
ちょうど収まる感じですね。
パフケースもついていて、至れり尽くせり。
中はきっちり掃除されていて、
使った形跡がわからないくらいきれいです。
この写真では見えていないですが、
フランス製、という刻印があります。

ハリネズミ店長

留め金部分のシルバーのツバメ‥‥。
この子がいるといないとでは、大違いね。

まりこ

そうなんです、
赤いガラスの眼と、ラインストーンを
ちりばめた翼だなんて、もう!
バッグの大きさは、
幅が18.5センチ、高さが10.5センチ、
厚みが2~3センチで、
ちょうど化粧ポーチくらいのサイズです。

ハリネズミ店長

この「がま口」、いい形ね。

まりこ

そうでしょう。
これは少し大きくて、幅が30センチあります。
高さは11.5センチ。
バッグに入れるポーチとしても
もちろん使えますが、
クラッチバッグとして単体で持つのもオススメです。
たとえばランチ休憩の時に、
携帯電話と小さいお財布と、ハンカチくらいを
入れて持ち歩くのに、便利そう。

ハリネズミ店長

そして、こういうバッグ、
片手で何気なく持つ仕草がいいのよね。
底の部分を下から支えるようにして持つと、
女性の手の美しさが引き立つのよ。

まりこ

そうなんですよね。
内側のタグにはFreedex というメーカー名と、
本革製品であること、
そしてイギリス製であることが記されています。

ハリネズミ店長

同じがま口型でも、
こちらは小さくて、愛らしいビーズワークね。

まりこ

ビンテージショップの店主によると、
ヴィクトリア朝期のものだそうです。
幅8.5センチ、高さ10センチで、
ちょうど小銭入れくらいの大きさ。
でも、持ってみるとずっしりと重いんです。

ハリネズミ店長

ビーズの重みね。

まりこ

はい。
この、持った時の、ひんやり、ずっしりという感触が、
ビーズの古いパース(ミニバッグ)の、
大きな魅力だと思います。
この繊細さ、存在感、
言葉ではうまく伝えられません。

ハリネズミ店長

そうね。
でも、こういう美しいものをそばに置いておきたい気持ち、
わたしにもわかるわよ。
言葉にならない何かをすごく感じるのに、
残念ながら「もの」と言葉は交わせない。
だから、もどかしいけれど、近くに置いて
見つめていたいのよね。

(つづきます)

2017-11-12 SUN