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糸井 |
10年も続いてるんだね、
クラムボンのみなさんは。
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南 |
ああ、そう言ってたねぇ。
(ヒソヒソ声で)
でさ、あの、じつは、
あんまり、よく把握してなかったんだけど‥‥。
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糸井 |
ええとね、バンドです。
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南 |
うん。
バンドの人だなっていうのは
様子でわかったんだけど。
あの人たちが‥‥なんだって?
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糸井 |
『黄昏』という曲を
つくってくださったんだよ。
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南 |
ほーー‥‥え?
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糸井 |
このコンテンツ用、『黄昏』用、
つまり、その、我々のおしゃべりに。
それ用の曲を。
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南 |
これ用?
ほんとうに?
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糸井 |
そうなんだよ。
それが『黄昏』っていう曲。
聴いたでしょ?
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南 |
たまたま、『黄昏』?
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糸井 |
じゃなくて、つくってもらったの。
『黄昏』っていう曲を。
どうですかね、って軽くお願いしたら、
あ、じゃあやってみます、っていうことで。
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南 |
へぇ!
たまたま『黄昏』っていう曲が
あったのかと思ったよ。
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糸井 |
たまたまだとさ、
わざわざ会うのが変でしょう。
オレと伸坊が急に
押しかけたことになっちゃうだろ。
「やぁ、ぼくらも『黄昏』なんですよ」って。
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南 |
ははははは、そうか。
いや、でも、そうかと思ったんだよ。
たまたま同じ題名みたいなんで、
ちょっと写真でも撮りましょうって。
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一同 |
(笑)
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糸井 |
いや、伸坊、おもしろいけど
それね、伸坊が昔連載してた
「写真時代」の発想だよ。
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南 |
ははははは。
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糸井 |
そういう、のんきな時代はあったよ。
読者も「へぇ、同じ題名なんだ」って
かんたんに納得したりしてね。
本読んだら、きちんとはがきで
感想を送ってきたりするような時代ね。
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南 |
そういう時代ね。
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糸井 |
『黄昏』という本に、
『巌窟王』以来の感動を覚えました、
ってな感想が来たりするわけだ。
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南 |
あー、『巌窟王』ね。
『巌窟王』はおもしろいよね。
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糸井 |
『黄昏』よりおもしろい?
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南 |
ま、『黄昏』もなかなかだけど、
やっぱり『巌窟王』だろう。
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糸井 |
うーん、残念!
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南 |
いや、おもしろいよ、『黄昏』もさ。
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糸井 |
『巌窟王』は?
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南 |
『巌窟王』は、
そりゃもう、おもしろい。
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糸井 |
なんとかなんないかな、そこ。
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南 |
うーん、じゃあ、どうにかするか。
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糸井 |
してくれる?
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南 |
じゃあね、『巌窟王』よりも、
『黄昏』のほうが、だんぜんおもしろい!
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一同 |
(笑)
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糸井 |
はははははは。
悪いねぇ、伸坊。
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南 |
いいよ、いいよ。
困ったときはお互いさまだ。
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糸井 |
(急に立ち止まる)
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南 |
‥‥‥‥なに?
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糸井 |
ちょっとお茶でも飲もうかと思って。
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南 |
いいアイディアだね。
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糸井 |
だろう?
ま、伸坊もいろいろあるだろうけど、
20分でも、30分でもさ、
座って暖かいものでも飲めば
心が休まるじゃない。
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南 |
この店?
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糸井 |
に、しようかと思ったけど、
お客さんが本とか読んでるね。
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南 |
笑ったりしてると
怒られるかもしれないね。
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糸井 |
よそうか。
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南 |
さっき通り過ぎた店は?
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糸井 |
戻っちゃおうか。
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南 |
そうしようか。
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糸井 |
ここだね。
あ、ここは誰もいない。
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南 |
やってないわけじゃないね。
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糸井 |
じゃ、ここにしようか。
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南 |
うん。 |
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(しばし喫茶店に。つづきます) |