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南 |
四国に行ったんで、
徳島の大塚美術館っていうところに
行ったんだよ。こないだ。 |
糸井 |
うん。 |
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南 |
その美術館てのはね、
世界の名画が陶板に印刷されてて
ぜんぶ原寸で展示されてるんだ。
たとえばシスティーナ礼拝堂の
ミケランジェロの天井画なんかも、
システィーナ礼拝堂と同じ大きさの部屋に
同じ大きさのままの複製が飾ってある。 |
糸井 |
うん、うん。 |
南 |
で、いちばんたのしみにしてたのが、
『最後の晩餐』なんだけどね。 |
糸井 |
ダ・ヴィンチの。 |
南 |
そう、ダ・ヴィンチの。
なにがおもしろいかってぇと、
『最後の晩餐』って、
最近、大がかりな修復をしたんだよ。 |
糸井 |
したね。 |
南 |
で、もともと大塚美術館には
『最後の晩餐』の複製があったんだけど、
その後、イタリアで修復されたってんで、
その修復後の複製をまた原寸大でつくったわけ。 |
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糸井 |
じゃあ、両方が。 |
南 |
そう。両方ある。
つまり世界でここだけなのよ。
『最後の晩餐』の修復前と修復後を
原寸で見比べることができるのは。 |
糸井 |
へぇーーー。 |
南 |
で、実際に見比べてみるとね、
その、修復したほうのやつがね、
これでいいのかイタリア人!
っていうくらいへたなんだよ。 |
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一同 |
(笑) |
糸井 |
へたって(笑)。 |
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南 |
いや、ほんとうに。
まずいだろう、これ、
っていうくらいに。 |
糸井 |
それはあれでしょ、
雰囲気がないみたいなことで。 |
南 |
じゃなくてさ。
修復されたのだけ誰かが見たらさ、
「ダ・ヴィンチってけっこうへたじゃん?」
って言われかねないぐらい。 |
糸井 |
じつはダ・ヴィンチって
ほんとはへただったとか? |
南 |
いやいや、そんなことはない。
修復前はうまいんだ。 |
糸井 |
そっちがじつはうそでさ。 |
南 |
うそってどういうことだ。 |
糸井 |
わかんないけどさ。
研究の結果、じつはへただった、とか。
X線をあてたりしてみたら、へただった。 |
南 |
ははははは、
おもしろいこと言おうとして、
言ってるだろう。 |
糸井 |
ふふふふふ。 |
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南 |
そうじゃないんだ。
オレは、徳島まで見に行って、
ほんとうの感想を言ってるんだから。 |
糸井 |
ダ・ヴィンチはうまいって
決めつけてるじゃん。 |
南 |
はははははは、食いさがるねぇ。
ダ・ヴィンチは、いや、うまいだろ? |
糸井 |
ははははははは。 |
南 |
それはもう、うまいだろ。 |
糸井 |
じゃあ認めようかな。 |
南 |
だって他の絵だってあるんだから。
『最後の晩餐』だけだったら、
そういう理屈もいえるけど、
他にもたくさんうまいのあるんだから。 |
糸井 |
あー、そうか、デッサンとかもあるね。 |
南 |
うん。 |
糸井 |
あれは誰かが
手を加えたわけじゃないもんなぁ。 |
南 |
うまいんだよ、ダ・ヴィンチは!
なんでこんなに
「ダ・ヴィンチは絵がうまい」ってことを
オレが力説しなきゃいけないのか、
よくわかんないけどさ。 |
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糸井 |
ははははは。
じゃあ、しょうがないな。
うまいってことにしとこうか。 |
南 |
いや、だから、うまいんだよ。 |
糸井 |
それから、あともういっこ重大なのは、
伸坊はイラストレーターだった
っていうことだよね。 |
一同 |
(笑) |
南 |
ははははははは。 |
糸井 |
ただ変なことを言うひとじゃないからね。
絵については正しいかもしれない。 |
南 |
うまいんだよ、ダ・ヴィンチは。 |
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(結論、ダ・ヴィンチは絵がうまい。つづきます) |