糸井 |
今日はさ、たいへんなんだよ。
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南 |
いきなり。なんですか。
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糸井 |
あのねぇ、笑ってる場合じゃないんだよ。
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南 |
笑ってないよ、まだ。
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糸井 |
いずれ、笑うだろう?
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南 |
アハハハハ。
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糸井 |
笑ってる場合じゃないんだよ。
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南 |
笑ってる場合じゃなかったね。
なんなの?
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糸井 |
今日はさ、浅草とか、
スカイツリーとかに行くらしいんだ。
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南 |
うん。
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糸井 |
でね、予定でね、
2軒の食い物屋が入ってるのを、
知ってるんだ、オレは。
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南 |
ああ、餃子の王様ンとこに行く。
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糸井 |
そう、ひとつは餃子だよね。
肉がほとんど入ってないのに、
うまい餃子なんだ、これが。
で、もうひとつはお好み焼きなんだよ。
「松浪」っていうお好み焼き屋で、
その、鉄板焼きでもって、
いろんなものを食わせてくれて、
最後にお好み焼きが出てくる。
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南 |
うんうん。
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糸井 |
お好み焼きは、3種類ぐらい食べるんだけど、
わりとちっちゃく焼いてさ、
ピザで言うと、ひと切れずつみんな食べるわけ。
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南 |
ピザで言うんだね。
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糸井 |
ほら、ピザはみんなで食べるものだけど、
お好み焼きはひとりで1枚食べるだろう?
でも、みんなで「松浪」に行ったら、
お好み焼きをみんなでひと切れずつ食べるんだよ。
これは、ピザで言いたくなるだろう?
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南 |
なるかもしれないね。
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糸井 |
なにが言いたいかというとさ。
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南 |
ウン。
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糸井 |
けっこう、腹いっぱいになるんだよ、
そのお好み焼きの出てくるお店は。
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南 |
ほうほう。
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糸井 |
で、餃子も、そうじゃん。
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南 |
腹いっぱいになるね。
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糸井 |
腹いっぱいになるんだよ!
で‥‥どうだろう、それは?
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一同 |
(笑)
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南 |
あははははは。そりゃあ、心配だ。
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糸井 |
いまさぁ、もうさぁ、いまもうさぁ、
2時にならんとしてるわけだよ。
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南 |
時間的にね。
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糸井 |
で、オレは餃子とお好み焼きの
両方を知ってるんで、
早めに餃子を食うつもりでいたんだ。
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南 |
その早めの餃子計画が狂ったと。
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糸井 |
そうそうそうそう。
かといってね、餃子を少なく食うわけにもいかない。
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南 |
そうなの?
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糸井 |
だってほら、撮影とかするわけだから、
きっと連絡してあると思うんだ。
これから行くことはさ。先方に。
だとすると、待ってると思うんだ。
こう、餃子をつくってさ。
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南 |
餃子屋だからね。
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糸井 |
餃子屋だからさ。
それをさ、今回はご遠慮するとかさ、
予定を見越して数を調整するとかさ、
そういう、会社会社したやり方はさ、
ぼかァ、どうかと思うんだよ!
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南 |
ウン。
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糸井 |
つまり、食うだろ、当然。餃子。
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南 |
うん、ははははは。
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糸井 |
そうするとさ、けっこうな満腹だよ。
で、その状態で松浪に行くと、
これはこれで、気持ちよくもてなしてくれるんだ。
焼いてくれるんだよ、目の前で。
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南 |
ああ、いいね。
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糸井 |
目の前で、ジュージューとね。
粋でいなせな子持ちのおねえさんが。
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南 |
粋でいなせな子持ちのおねえさんなんだ。
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糸井 |
これは見ればわかるけど、
粋でいなせな子持ちのおねえさんなんだよ。
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南 |
粋でいなせな子持ちのおねえさん。
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糸井 |
うん。伸坊も、今日、会えばわかるよ。
粋でいなせな子持ちのおねえさんだから。
でね、目の前で、
粋でいなせな子持ちのおねえさんが
焼いてくれてるのに‥‥。
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南 |
食べないわけにはいかないね!
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糸井 |
いかないよ!
で、伸坊はぜったいビールも飲むだろ。
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南 |
モーチロンですねぇ~。
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糸井 |
ははははは、いい顔したね。
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南 |
ビールでもお腹いっぱいになるね。
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糸井 |
そうだろぉ。どうしよう、餃子。
これがさぁ、フィクションならさ、
11時ぐらいに戻すね、オレは時計を。
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一同 |
(笑)
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南 |
あー、なるほどね。
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糸井 |
ぽわぽわぽわーん、みたいにして。
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南 |
はははははは。
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糸井 |
こうやって(手をパチンと鳴らして)、
「さて、11時に戻ったわけですけれども」
って言って、早めのお昼に餃子をいただくよ。
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南 |
フィクションならね。
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糸井 |
フィクションならね。
ところが、「黄昏」はフィクションじゃない。
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南 |
フィクションじゃないね。
むしろノンフィクションだね。
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糸井 |
餃子もお好み焼きもノンフィクションだよ。
ゆゆしき問題だよ。
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南 |
看過できないね。
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糸井 |
いかがなものかと思うよ。
フィックション!
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南 |
くしゃみだね。
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糸井 |
ノンフィックション!
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南 |
ちょっと変わったくしゃみだ。
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糸井 |
あと、餃子を「さめこ」って
読まないようにしなきゃね。
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南 |
あー、それは、高さん
(漫画家の高信太郎さん)の話だ。
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糸井 |
そうそう(笑)。
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南 |
高さんが東京出てきたときに、
中華料理屋に入って、
はじめて「餃子」って字をメニューで見た。
「あー、じゃあ、その、
『さめこ』っていうのをもらおうかな」って。
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一同 |
(笑)
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糸井 |
好きだなぁ、その話は。
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南 |
餃子の「餃」と「鮫」は似てるよ。
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糸井 |
パッと見、同じと言ってもいいね。
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南 |
ウン。
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糸井 |
それはそうと、ほんとに、今日はね、
餃子とお好み焼きの問題で、
頭痛いのよ、オレは。
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南 |
はいはい。 |
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(のんびりいこう。つづきます) |