糸井 |
こういう、ブータンの、
すばらしい風景を前にして、
こんなこと言い出すのもなんだけどさ。
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南 |
うん。
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糸井 |
「ラブ注入」って言う人がいるでしょ?
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南 |
うん?
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糸井 |
「ドドスコスコスコ‥‥ラブ注入」。
楽しんご。
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南 |
ああ、うん。知ってます。
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糸井 |
あれの顔マネって、やった?
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南 |
いや、やってない。なんで?
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糸井 |
あの人ってさ、よく見ると、
じつはすごく身体が大きくて、
顔が小さいんだよね。
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南 |
ああ、そうかもね。
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糸井 |
だからさ、あれを伸坊がマネするのは
たいへんだろうなと思って。
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南 |
ははははは。
いわゆる、苦手分野?
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糸井 |
苦手分野、苦手分野(笑)。
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南 |
でもさ、それはさあ、
身体をすごく大きくすればいいんだよ。
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糸井 |
あっ、なるほど! それはいい。
まさに逆転の発想。
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南 |
ははははは。
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糸井 |
あとね、「ラブ注入」では、
もうひとつ、思ってることがあってね。
人類が滅亡したとするでしょ?
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南 |
軽く言ったね。
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糸井 |
ま、仮にさ。
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南 |
仮にね。うん。
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糸井 |
仮に、人類が滅亡しちゃって、
あらゆる文化的遺産もなくなっちゃうんだ。
思想や、ことばなんかもね。ぜんぶ。
で、ずーっとあとになって、
なんとか生き延びた人類が、過去の記録を調べてね、
ものすごい堆積のなかから、やっとひとつだけ、
記録された「ことば」を奇跡的に発見するの。
それが、「ラブ注入」。
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南 |
はははは。
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糸井 |
それは、どうなんだろう?
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南 |
どうも、こうも(笑)。
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糸井 |
長年の叡智の結晶みたいにして、
その一言だけが、なぜか残っちゃった。
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南 |
「ラブ注入」が。
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糸井 |
そういうことだってあると思うんだよ。
だってね、ティラノザウルスとかでもね、
「もっといい化石、あるのになぁ!」って
ぜったい思ってると思うんだよ。
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南 |
あはははは。
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糸井 |
そんなことをね、ブータンの風景を見ながら。
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南 |
思ってたわけね。
ところで、いまの、この状態はなに? 休憩?
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糸井 |
休憩みたいだね。
なんでも、山のてっぺんにある
お寺に行くみたいだから、
このへんがちょうど半分なんじゃない?
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南 |
ふーん。
あ、なんか、おいしそうなものが出てきたよ。
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糸井 |
ポテトだね。いただきます。
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南 |
おいしいです。
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糸井 |
おいしい、おいしい。
この、お茶がまた、いい香りだね。
ああー、おいしい。
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南 |
ジンジャーだね。いいなぁ。
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糸井 |
ジンジャー仏閣。
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南 |
うん。ジンジャー仏閣。
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糸井 |
行きの飛行機がさ、
ダッカに寄ったときに、
ぼくがつい言ったことを聞きたい?
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南 |
聞きたいねぇ。
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糸井 |
「おんぶにダッカ」。
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南 |
アハハ。
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糸井 |
デキとしては、まぁ、ふつうかな。
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南 |
いや、スンバラシイんじゃないすか。 |
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(お寺に向けて出発するみたいです。つづきます。) |