糸井 |
旅のおみやげなんかも、
ぼちぼち買いそろえておかないとね。
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南 |
ま、うちはほら、「あの棒」、買ったからさ。
もう、終わったようなもんだよ。
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糸井 |
「あの棒」ね。
正式な名前は‥‥なんだっけ?
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周囲の人 |
「ポー」です。
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糸井 |
ポーだ、ポー。
これは、おもちゃですね?
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南 |
違うよ、魔除け。
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糸井 |
あ、そうだ、魔除けだった。
頼まれたんだよね、伸坊は。
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南 |
そう。妻が、どうしても買ってこいと。
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糸井 |
ふはははは、いいねぇ、妻(笑)。
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南 |
ブータンにはこういうものがあるぞ
って言ったら、すごい食いついた。
ほかのものは、いらないから、
それを買ってこいと。
でもさ、実際にお店で見てわかったんだけど、
あの棒にも、いろいろあるじゃない?
キーホルダーみたいな小さいやつから、
トロフィーみたいなでっかいやつまで。
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糸井 |
そうね(笑)。
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南 |
だから、今朝、電話して訊いたんだ。
どのくらいの大きさがいいのかって。
そしたらね、
「デカいのを買ってこい!」と。
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糸井 |
わはははは!
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南 |
でもさ、そうはいってもさ、
ものすごいデカいのあるって
わかってないじゃん。
だから確認したの。
どのくらいのがいいの、具体的に? って。
そしたら、「常識で判断しろ」って。
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糸井 |
最高(笑)。
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南 |
糸井さんは、買った?
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糸井 |
棒?
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南 |
いや、棒だけじゃなくて、おみやげ。
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糸井 |
いや、まだ。
意外に、ブータンならではのおみやげって
多くないんだよね。
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南 |
ああ、そうかもね。
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糸井 |
おみやげ屋さん自体が少ないしね。
こう、ホテルの一画に
どちゃっと、どうでもいいものが売ってる
おみやげコーナーがあるわけでもないし。
ほら、こう、ヌード杯が売ってるような。
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南 |
「ヌード杯」(笑)。
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糸井 |
お酒を注ぐと、「おたのしみ」。
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南 |
ハハハハハ、
誰も知らないよ、若い人は。
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糸井 |
評判が悪くて、なくなっちゃったからなぁ。
若いみなさんは知らないだろうけどね、
昔は温泉地っていうと、団体旅行でやって来た、
おもに男たちが浴衣でうろうろしててね。
もう、下卑た冗談を交わしながら、
射的をしたり、パチンコをしてみたり、
そのへんの女の子をからかってみたりしながら
歩き回ってたもんなんだよ。
で、歩いてると、あちこちに
みやげもの屋があってね、
なぜか木刀が売ってたりとかね、
ペナントがあったり、キーホルダーがあったり。
そういうなかにね、お酒を注ぐと、
そこにヌードが見えてくる、
っていう杯があったんだよ。
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南 |
ふふふふ。
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糸井 |
で、いらないんだよ、そんなものは。誰も。
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一同 |
(笑)
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南 |
ついでに言うとねー、
着物姿の女性が描かれてるタオル、
というものもあったね。
お湯の中で使っているうちに
それもヌードになるんだ。
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糸井 |
あとね、ボールペンなんだけど、
こうして、逆さまにすると、
水着の女性がヌードになるっていう‥‥。
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南 |
ぜんぶ同じ発想ですね。
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一同 |
(笑)
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糸井 |
はははは、そうなんだよ。
つまり、そういう産業があるんだと思う。
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南 |
何産業?
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糸井 |
だから、その、うーん‥‥
「脱衣みやげ」産業?
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南 |
アハハ、いいなァ、
「脱衣みやげ」(笑)。
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糸井 |
咄嗟に言ったにしては、
なかなかいいジャンル名だろう?
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南 |
すごくいい。
「世界の脱衣みやげ」っていう
豪華本つくりたいね。
ものすごく分厚くて、図版多数。
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糸井 |
で、その本の後半には、
伸坊の妻が買ってこいと命じた
ブータンの「あの棒」も‥‥。
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南 |
いや、「あの棒」は違う(笑)。
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糸井 |
違うか、あれは(笑)。
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南 |
「あの棒」は、「脱衣みやげ」じゃない。
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糸井 |
うん、たしかに。
だって、いってみれば、
「あの棒」はすでに「脱衣済み」だし‥‥。
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南 |
しょうがないねぇ。
(しょうがないねぇ。つづきます) |