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糸井 |
そうそう、
個展があるらしいじゃない。 |
南 |
ああ、そう、そう、個展があるんだよ。 |
糸井 |
大丈夫なんだろうね?
前の個展のときは、
やきもきさせられたからね。
開催2週間前なのに
絵がほとんどできてないとかいってさ。 |
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南 |
うん、だからね、今回は
そういうことのないようにと思ったんだけどね。 |
糸井 |
「思ったんだけど」? |
南 |
え? それがさ、どうも、
そういうことなの‥‥。 |
糸井 |
え? また? |
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南 |
また。 |
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糸井 |
うそだ。 |
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南 |
あはは、ほんと。 |
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糸井 |
(ひそひそ声で)
‥‥これから描くの? |
南 |
(ひそひそ声で)
‥‥うん。 |
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一同 |
(笑) |
糸井 |
個展はいつから? |
南 |
10月22日から27日まで。 |
糸井 |
わ、もうすぐだよ。 |
南 |
いや、もう、描くとなったらね。
テーマも決まったからね。
今回は「おばけの生活」っていうタイトルなの。 |
糸井 |
それは、宮部みゆきさんの、
おばけの小説の挿絵を描いたっていうことで? |
南 |
え? そうそう。
あれ、もともとは、宮部さんから
ご指名で描いたんだけど、
最初は、オレでいいのかなと思ってさ。
その、けっこう、おそろしい小説だからね。 |
糸井 |
おそろしくないぞと、オレの絵は。 |
南 |
うん。わるいけど。 |
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糸井 |
ははははは。 |
南 |
で、おばけとか、妖怪の絵は
もともと好きなんだよ。
とくに、江戸時代に描かれた
おばけの絵、いいんだよー。
愛嬌があっていいんだ、すごく。
『百物語』とかね、見たことある? |
糸井 |
うん、多少あるよ。 |
南 |
あれはさ、プロの絵描きだけじゃなくて、
どうもそのへんの素人が
描き写したりなんかしてるのがいいの。 |
糸井 |
ああ、なるほど。
みんながガンダムの絵を描くみたいに。 |
南 |
そうそう。 |
糸井 |
自分に正直なたとえ話で言い直すと、
つまり、オレがおそ松くんを描くように。 |
南 |
そうそうそう(笑)。
そういう感じで、
オバケを描いてる本がたくさんあるんだ。
そのおばけってのが、なんだか、
かわいくて好きだったんで、
そういう絵を描こうかなと。 |
糸井 |
個展もその方向で。 |
南 |
そうそう。 |
糸井 |
なるほど、なるほど。
南さんのことですから、もう、
構想は完全にできあがってるんでしょう? |
南 |
え? |
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糸井 |
南さんのことですから、もう、
構想は完全にできあがっていて、
あとは描くだけなんでしょう? |
南 |
‥‥ああ、うんうん!
そうそう、もう、できたようなもんだ。 |
一同 |
(笑) |
糸井 |
その、お描きになるおばけっていうのは、
オリジナルのものですか? |
南 |
なんですか? |
糸井 |
いや、おばけがさ、
いわゆる、一般的なおばけなのか、
オリジナルのおばけなのか。 |
南 |
ああ、うん、そうですね、
まぁ、オリジナルのような、一般的なような、
そのあたりは、そんなには、はっきりしてない。 |
糸井 |
えええっ! |
南 |
いや、まぁ、いかようにも。 |
糸井 |
いかようにも。 |
南 |
だから、その、たとえば、
糸井さんは、どういうのがいいと思う? |
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糸井 |
わはははははは。 |
南 |
わはははは。 |
糸井 |
じゃあ、たとえば、オバケが
電信柱に立ちションしてるとか。 |
南 |
ああ、おばけがね。
うん、それ、いいんじゃないの。
うーん、それ、やりましょう。 |
糸井 |
‥‥南さんは、
どのへんに行きたいんですかね? |
南 |
わははははは。 |
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(また、これから描くの‥‥? つづきます) |