湯村 |
だけど、糸井にはさ、
いろんなことを教えてもらってさ。 |
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糸井 |
そうでしたっけ(笑)。 |
湯村 |
ギターとかさ。 |
糸井 |
「ギター」? |
湯村 |
「部屋にギターがあるといいですよ」って。
楽器屋があってさ、そこに行って、
ギター、選んでもらって。 |
糸井 |
ほんとですか? 憶えてない(笑)。 |
湯村 |
で、楽器はけっきょくダメだったんだけど、
部屋に置いとくだけでもいいって言われて。 |
糸井 |
そうでしたっけ。
恥ずかしいなぁ(笑)。 |
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湯村 |
あとね、つけ麺の食べ方とか教わった。
当時つけ麺が出だしたころでさ、
どっかの店に連れてかれて。 |
糸井 |
あったあった(笑)、中野だ。 |
湯村 |
そう、中野。
注文の仕方とか、こうやって食べるんだとか。
なんでも知ってるからさぁ、
いろんなこと教わったよ。 |
糸井 |
この近所に、
「黒うどん」みたいな店、ありましたよね? |
湯村 |
うん。新潟かどっかのね。 |
糸井 |
そうそうそう。
湯村さん、つくるものは、
ものすごくアメリカなのに、
食べ物はけっこう和風好きなんですよね。
この部屋も、こーんなにポップだけど、
お茶菓子は、おいしそうな最中(もなか)。 |
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湯村 |
そうそう、
オレが最中とか食べてると、
気持ち悪いって言われるんだよね。
「あずきなんて食べるんですか!」
みたいな(笑)。 |
一同 |
(笑) |
糸井 |
食べ物に関してはアメリカじゃない(笑)。 |
湯村 |
そう。
あずきとか食べちゃうんだ。 |
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糸井 |
意外と食べる。
酒と音楽は、完全にアメリカだけど。 |
湯村 |
そうネ。 |
糸井 |
けっこう、飲んだくれでしたよね。 |
湯村 |
飲んだくれだよ。
飲んだくれで、痔だからね。 |
糸井 |
はははははは。
飲んだくれで、薄着で、
ソウルミュージックが大好きで。 |
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湯村 |
もう、黒人になりたくてさ。
顔に醤油塗って、
日焼けするように、日なたばっかり歩いてね。 |
糸井 |
ははははは。
日なたを歩いてたのは、ほんとう? |
湯村 |
いや、これ、ほんと。
黒人音楽を聴くんだったらオレも黒人に、
って、なんでもすべて近づけてったから。 |
糸井 |
好きでしたよねぇ、ソウルミュージックが。
そこは、もちろん、いまも変わらず。 |
湯村 |
うん。
糸井は、そっち、行かなかったね。
お互いに、いろいろ影響させ合ったけど、
黒人音楽だけは、まったく影響されなかったね。 |
糸井 |
あー、そうですねぇ。 |
湯村 |
ずいぶんコンサートに誘ったんだけどさ。 |
糸井 |
うーん、嫌いじゃないんですけど。 |
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湯村 |
一回、ウィルソン・ピケットの
コンサートに行って。 |
糸井 |
そうだ、そうだ。
あれは、ちょっと困りましたね(笑)。 |
湯村 |
そうそう(笑)。
たまたまなんだけど、
ウィルソン・ピケットが
ステージから下りてきてね、
なぜか、マイク持って、
糸井のとこに来ちゃったんだ。
「いっしょに歌え」って(笑)。 |
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糸井 |
あいたたたた。 |
湯村 |
それがすごくヤだったみたいで。
糸井がオレと会わなくなったのは、
あれが原因じゃないかな、みたいな。 |
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一同 |
(笑) |
湯村 |
‥‥‥‥違う? |
糸井 |
違いますよ(笑)。 |
湯村 |
いや、なんか、あれは、
悪いことしちゃったなぁと思ってて。 |
糸井 |
いや、会う回数が減ったのは、
たぶん、ぼくが家庭を持ったからですよ。 |
湯村 |
あー、そうか。子どもネ。 |
糸井 |
それがひとつと、
いろんな仕事をなんでもやってたぼくが、
完全に広告のほうに行っちゃった。
それが大きいですよ。 |
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湯村 |
あーーー、そうだねぇ。
そんなふうにして、気づいたら、
会わなくなってたんだよな。 |
糸井 |
そう。 |
湯村 |
で、30年。ほぼ30年。
30年っていうのは、そうとうだネ。 |
糸井 |
そうですねぇ。 |
湯村 |
だけど、こうやって会うと、
ぜんぜん、パッと、戻れる。 |
糸井 |
うん。 |
湯村 |
最初、糸井の顔を見たときは、
ヒゲも白くなっちゃったし、
インパクトあったけどサ。 |
糸井 |
ふふふふふ。 |
湯村 |
あ、オレ、
頭、こんなに短くしてるけど、
ハゲたわけじゃないからね、ほら。 |
糸井 |
(笑)
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2011-04-01-FRI |