糸井
湯村さんは、もう、
イラストレーター時代よりも、
アートディレクターになってからの方が
長くなったんじゃないですか?
湯村
そうかもしれない。
糸井
でも、描いてないわけじゃないですよね。
湯村
うん。まぁ、だけど、
だんだん描く世界もせまくなってきてる。
「なんでも描きたい」っていうんじゃない。
糸井
そっか。
湯村
描きたいものしか描きたくない。
いい仕事だったら、
タダみたいなものでも一所懸命描くんだよ。
糸井
いま、描きたいものは、どんなものですか。
湯村
うーん、やっぱり、エロだろうね。
糸井
エロですか。
湯村
そうだね。
なんかエロの仕事ない?
一同
(笑)
糸井
ははははは。
湯村
エロ描かせたら、誰にも負けないよ。
糸井
勝ち負けを
とっくに超えてると思うんだけど(笑)。
湯村
どっかにないかな。
糸井
いま、エロの仕事だと、なんですか。
雑誌とかですか。
湯村
雑誌よりも、なんだろうなぁ、
わかりやすくエロで表現できるのは‥‥
クレイジーケンバンドの仕事とかさ。
糸井
ああー。
湯村
これは、いくらでも描いていいんだ。
ちんちん出してもなにも言わないどころか、
よろこんでくれたりするから。
糸井
はいはい(笑)。
湯村
そういうのよろこんでくれる人、
だんだん少なくなってきちゃったんだけどね。
糸井
よろこぶ人はいると思うんだろうけど、
その上司のところまで話が行っちゃうと
扱いに困るって感じなんだろうな。
湯村
だから、隙あらば、ちんちん描いちゃうぞ、
っていう姿勢でいるんだけどね。
よーく見ると出てるぞ、みたいな。
一同
(笑)
湯村
チェックする人が
「ここ、ちょっと出てますよ」みたいな。
「ああ、それは足の筋肉だ」とかね。
「いや、違います、これは」って、
そいつがルーペでちんちん見てたりして。
糸井
ははははは。
湯村
そういうやり取りはけっこうやってる。
糸井
そういう危ない部分に限って、
ちょっとペンの量が多いんですよね。
湯村
そうそうそう(笑)、
けっこうリアルに描いちゃって。
糸井
ほかはサラッと描いてるのに。
湯村
ウン、ちょっとこうネ、
シワとかうまいから。
ヒダとかシワの描き方がネ。
糸井
ヒダ、シワ、丁寧なんです、この人。
一同
(笑)
糸井
ちょっと考えますよ、ぼく。
エロの仕事。
自分の献立の中には、
いままでなかったかもしれないけど。
湯村
おねがいネ。
糸井
ぼくが『ちんこ』っていう本を
書けばいいんですかね。
湯村
そうそうそうそう。
それがいちばん話が早い。
一同
(笑)
湯村
だったらすぐできそうじゃない。
描こうかな、明日ぐらいから。
糸井
もう、絵と装丁が先にできちゃってて(笑)。
湯村
それで、シリーズ化してさ。
なんか、全200巻とかで。
糸井
描き続けるんだ(笑)。
湯村
そのエネルギーがあるよ、まだ。
糸井
すごいですよね。
いま、本気ですもんね。
湯村
ウン。
そのエネルギーは溜めてる。
大切に大切に、とってある。
残り少ないエネルギーを。
そのときの、その日のために。
絶対、無駄使いしない。
糸井
全200巻のスケベのために。
湯村
そう。ふだんは静かにこうしてるけど。
糸井
そういう意味じゃ、
ぜんぜん、変わってないですよね。
だって、このクレイジーケンバンドのやつも、
そんなに昔の仕事じゃないでしょう?
湯村
これはね、えーっと、2006年かな。
4、5年前だよね。
糸井
ぜんぜん若いですよ、これ。
湯村
オレは数字的にはもうおじいさんだけど、
内容的には、もう、ぜんぜん。
糸井
なんにも変わってないですね。
湯村
あ、オレの中にね。
そうそうそう。
その両方があるっていうところが大事だよね。
糸井
うんうん。
だって、そこが汚いと、
ただの汚い人になっちゃうから。
湯村
ウン(笑)。
そこはやっぱり死守しないとネ。
糸井
そうか、そうか。
湯村
そうだ、オレ、
ローソクつくったの、知ってる?
糸井
知らない。
湯村
おみやげにあげるから持って帰って。
糸井
うん。
湯村
けっこう気に入ってるんだよ。
糸井
ほうほう。
湯村
コレ。
糸井
おーーーー(笑)。
いや、いいですねぇ!
湯村
こういうのには、ものすごく情熱かけるよ。
箱なんかもさ、シャレてるでしょ。
糸井
シャレてるねぇ。
湯村
こういうパッケージ、つくりたかったの。
旅行に行くとさ、こういう
ヘンなもの、売ってるじゃない。
つくりたくてさ。
だから、裏のデザインとか、細かいところ、
1ミリ、2ミリにこだわってつくってるの。
糸井
いい(笑)。
湯村
ネ。
これ、よければ、部屋の片隅に。
寝室とかに。
糸井
灯しますよ、これは。
湯村
ちょっと離れてるあいだに、
こういうことを、
あたしは一所懸命やってたんですよ。
糸井
たいしたもんだ(笑)。
2011-04-07-THU
(C)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN