「屋根裏部屋って どうなってるの?!」
先週の「パリこれ!」で、 パリでは、 美しい街並みに並ぶアパルトマンの 1階部分にだけお店やレストランが入り、 日本のように建物の上の方までお店、 というのはない、 っていうことをご紹介したよね。
では、今日は目線をその建物たちの 上の方にず〜っとずらしていって。 いちばん上の方を見てみてね。
パリのアパルトマン。 ほとんどの建物がいちばん上の ちょっと斜めになった屋根の部分まで 窓がついています。
ここは、いわゆる「屋根裏部屋」。 昔それぞれの家庭に女中がいた時代、 彼女たちが住んでいた部屋なのです。
ベッドひとつ置けば いっぱいになってしまうような 小さな部屋たち。 部屋の中には洗面台だけがついていたり、 小さなキッチンがついているパターンも。 トイレやシャワーは 廊下に共同のものがついています。
▲この屋根裏部屋は私の友人のアパートについているもの。 ここはリノベーションされているのでとっても綺麗ですが ベット1つ置いたらいっぱいになるような大きさです。
▲リノベーションされている屋根裏部屋には小さなキッチンが付いているものも多く、 学生などが住んでいます。
現代はパリの中で最も安い部屋として 貸し出されていている、「屋根裏部屋」。 お金のない学生たちや料理人見習いなど 色々な人が住んでいるよ。
▲最上階の狭い廊下にたくさんドアがありここがすべて昔の女中部屋。
日本から留学でパリに行き 住み着いたような、 まさに私たちのような外国人にとっては 馴染みのある「屋根裏部屋」。 綺麗とはいえないトイレや シャワー共同環境ということで、 どちらかといえば 男子が住んでいる確率が多いですが、 家賃のとてもとても高いパリのど真ん中に、 お金のない学生でも住める、 究極の方法の一つが この「屋根裏部屋」なのです。
▲パリの街に並ぶアパルトマンたち。 この建物土地の1番上の階(グレーになっている部分です)は屋根裏の部分。
私の主人もまさにそのパターン。 バックパックひとつでパリにやってきて、 いくつかの「屋根裏部屋」を渡り歩いて 暮らしていました。 私が主人に出会った時は、 なんと8平方メートルの「屋根裏部屋」に 貧乏男子同士2人で住んでいたという 今となっては懐かしい若かりし頃の思い出。 何度か遊びに行って パリの「屋根裏部屋」を見せてもらって 色々衝撃を受けたのを今でも覚えています。
▲廊下にある共同トイレや共同風呂。 共同トイレはこんな感じのちょっと強烈なトイレだったりします!
この「屋根裏部屋」、 アパルトマンの正面入り口を入ったら、 普通の住人たちとは違う経路で 上がるようになっていることが多いんだよ。
例えばゴミ置場の奥に 小さなドアがついていて、 そこから細い螺旋階段を上ると いちばん上の「屋根裏部屋」に通じている、 っていう風にね。 もちろんエレベーターなんてものはないよ! (古いパリのアパルトマン自体、 エレベーターがついていないことが 多いからね)
▲我が家から見えるパリの景色。屋根裏部屋がたくさん。
ベッドに座ったまま、 全てのものに手が届いてしまうような部屋。 屋根の真下なので、 冬は寒くて夏はとても暑い部屋。
でも実は、 アパートのいちばん上の階の 「屋根裏部屋」。 小さな窓から見える景色は 格別だったりするのです♪
パリのシンボルエッフェル塔が見えるなんていう 素敵な部屋もけっこうある! 何しろパリは建物の高さがほとんど同じだから 遠くからでもエッフェル塔が見える。 建物のいちばん上の階の「屋根裏部屋」だと その確率がググンと上がるのです。
▲最上階の屋根裏部屋の特権。寒くて暑いけど、窓からの景色は格別です。
街を歩いていて、なかなかいちばん上まで 目線を上げることがないかもしれないけど、 パリのアパルトマンの「屋根裏部屋」。 機会があったらぜひ観察してみてね!
パリのアパルトマンの「屋根裏部屋」には 色々な人のドラマが詰まっていたりするんだ!
▲僕はただいま東京でお留守番中。 髪の毛がボーボーになってしまいました。 まりこちゃん早く帰ってきてカットしてね!
※この連載を再編集し、 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)
2019-03-26-TUE