パリは、
大気汚染や交通渋滞の軽減のために
かなり前から、
「車をいかに減らすかのための政策」が
実行されてきたけれど、
その中の大きなひとつが
「車人口を減らして、
自転車人口を増やす」こと。

だから、
自転車で走りやすいパリにするために
年々自転車レーンが増えていたのだけど。

この2月から8月まで、
約半年日本に滞在して、
パリに久しぶりに戻ってきたボクたちが
いちばん最初に驚いたのが、
この半年での自転車レーンの増えっぷり！

▲パリに帰ってきたら、主要道路のほとんどにすごい幅の自転車レーンができていた！
車はどんどん追いやられて１車線しかないところが多い‥‥泣。

パリの主要な道路の多くの
パーキングスペースが潰され、
1レーンも2レーン分も車のスペースが削られ、
「この広い道路の半分が自転車専用？！」
と驚くくらい
自転車専用レーンが作られていました。

東京でいうとしたら、
環七や環八の3分の１から半分が
自転車専用に。
銀座の通りの半分が自転車専用に、
変わってしまっているようなものです。

▲車道の3分の１から半分くらいを自転車レーンが占めるようになったので、
今までのバス停からバスが停車するところまでは
自転車レーンを渡らなくてはいけないという危険な部分も‥‥。

パリでは、
日本のように歩道を我が物顔で
自転車が走ることはNG。
（かなり前のこのコラムで書きましたが、
歩道を走ったり、一方通行を逆走したりなど、
交通ルールを守っていないのを
見つかってしまったら、罰金です。）

ただでさえ運転が荒く、乱暴な道路で
車と一緒に走るのは
恐怖に近いものがあったのですが、
自転車専用レーンがどんどん増えて、
かなり安心して走れるようになってます。

▲バスの停留所とバスが止まる位置がこんなに離れてしまいます。
右からも左からも自転車はすごいスピードで走ってくるので、かなり怖い。
絶対にこのポイントで事故が多発するだろうな‥‥と思いながら毎日気をつけてバスに乗ってます。

しかもね、重要な道路に限って、
一方通行が多いパリの道。
でも新しく作られていっている
自転車専用レーンは、
両通行に作られているのが多く、
これもとっても便利なポイント。

車がどんどん追いやられて、
車レーンが少なくなり、
さらに渋滞も増えるから、
自転車という選択をする人は
これからますます増えていきそうだよ。

コロナのこともあって、
公共交通機関には
乗りたくないって人も多いからね。

▲パリの街に出現してた自転車修理ステーションについている７つ道具。
もちろん、盗難防止のために相当頑丈なものでつながっています。

パリの街角には、
修理スタンドまで
設置されているのを発見！

空気入れや、壊れたところを直すための
ありとあらゆるパーツがついている
自転車専用スタンド。

パリジェンヌがちょうど自分の自転車を
修理していたので話を聞いてみると、
「これ、超便利よ。大抵のことは
これで解決するから使えるわよ。」
と、教えてくれました。

▲自転車修理ステーションで修理中だったパリジェンヌ。
ブリコラージュ（＝DIY）の得意なフランス人、
ちょっとしたことなら全部自分たちで直しちゃうというこんな部分にもあらわれてます。

すごい。

正直、「仕事遅いなあ‥‥」
と思うことが多いフランス暮らしですが、
こういうことは本当に
どんどんどんどん予算が投入され、
新しいものができ、
変わっていくパリ。

乱暴な運転の車と一緒に走るのが嫌で、
出来る限り避けてきた自転車ですが、
我が家の周りの道路も全て
自転車レーンができていたし、
そろそろ自転車を購入する時がきたか？！
と考えています。

▲パリの目抜き通りの一つ「リヴォリ通り」やパリで最も長い通り
「ヴォジラー通り」など主要な道路のほとんどで、
車レーンが削られて、自転車レーンができてます。
車レーンと同じ幅くらい広いので、自転車レーンにたまに気づかず、
車が入ってきてしまっているのも見かけます。

でもね、問題は盗難も多いこと。

ずっと前に書いたけどね、
ありえないくらい頑丈な鍵をしていても、
ハンドル、タイヤ、サドルってパーツごとに
盗まれることも多いパリ‥‥。

最近は電動自転車を使う人も増えてきたけど、
バッテリーの盗難が多すぎて、
少しでもどこかにとめるときは
バッテリーを外して
持ち歩かなくちゃいけないんだって。

自転車で走りやすくなっても、
盗難の問題がね‥‥と考えたり、
ボクの家もどうするか
頭を悩ませています。

※この連載を再編集し、
　書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
　こちらをぜひご覧ください！（2015年8月出版）