「クリスマスには サントン人形?!」
今週末はクリスマスだね。
フランスでは 1年で最も大切な行事となるクリスマス。 去年は様々なクリスマス行事が 中止になったけれど、 今年はなんとかクリスマスマーケットも、 あちこちでのイベントも、元通りに。 街のイルミネーションや飾りも華やかで 街を行き交う人や観光客(まだまだ少ないけれど 欧米からはかなり戻ってきている印象)を 楽しませてくれているよ!
クリスマスといえばクリスマスツリーだけど、 フランスでは同じくらい重要な飾りである 「サントン人形」というのを、 どこかで見たことがあるかな?!
▲この時期あちこちに登場するクリスマスマーケット‥‥。 クリスマスマーケットの屋台にも、必ずサントン人形を扱うお店があります。
「小さな聖人」という意味であるサントン人形は フランス・プロヴァンス地方で作られる土人形。 イエス・キリストが生まれた祝福の場面に 登場する人物や、その周りに登場する様々な 人々や動物たちを飾ったものです。
フランスの家庭の多くには このサントン人形があって、 クリスマスの季節になると この模型(「クレッシュ」と言います)を 飾ります。
イエスが生まれるシーンの 重要登場人物たちがメイン。 そしてその他周りの部分は毎年少しずつ 買い足していく人が多いのだそう。
▲フランスの家庭にあるサントン人形のクレッシュ。 これはイエス様が生まれたときの周りの重要人物のみのシンプルなバージョン。 これに毎年少しずつ買い足して行くうちも多い。
▲子供たちのためにサントン人形をセッティングする友人パパ。
サントン人形はね、フランス革命の時に カトリック教が排斥されて、敬虔な人々が 教会にいくことができなかった時に、家で祈りを 捧げられるようにと作られ始めたものなんだって。
それが今ではすっかり伝統的なものになり、 フランスの家庭では ツリーと同じくらい重要な位置付けに。 家族それぞれのサントン人形がある なんていう家もあって、 なんとなく日本の「雛人形」的なイメージを 持っているボクたちです。
▲これはパリの大きな教会に飾られたサントンのクレッシュ。 もう遠くのほうは見えない位見事な規模のもので、 これを見るためにこの教会を訪れる人もいるほど見事!
▲イエス様の生誕シーンの中心に近づいてみると、 やっぱりここにもイエス様はまだ現れていず、空のまま。 クリスマスになるとここにイエス様が加えられる。
私が2003年の元旦にフランスに到着した日、 最初の2泊だけお世話になったフランス人家庭、 まず印象的だったのが2人の子供それぞれの サントン人形の大きな「クレッシュ」(模型)。 人形の作りもタイプも全然ちがうもので、 それぞれの子供のものが大切に飾ってあったのが 今でも忘れられません。 フランスにきて最初に知ったフランスの伝統文化。
12月24日になると、 イエス・キリストが生まれた ということで「クレッシュ」の中に イエス様の赤ちゃん人形を加えるそうで、 たまに街で見かけるサントン人形の飾りに メインの人物であるイエス様がいないのを見るのは そんなわけだったのか!!! と、最初知った時は納得と驚き。
だって、街中のお店のウィンドーなどで見かける サントン人形、たまに肝心の生まれたばかりの 「イエス様」人形がないことがあって、 もしかして小さな赤ちゃん人形だから、 なくしちゃったのかな?! と、お店の人のおっちょこちょいを疑っていた 私なのです‥‥。 完全な私の恥ずかしい勘違い‥‥苦笑。
▲家の近所の日用品など何でも売っている金物屋さんのウィンドーにまでサントン人形が。 こちらもやはりまだイエス様の部分は空っぽのまま。 何も知らなかった頃、小さなイエス様のサントン人形を なくしてしまったからだと思い込んでいた私‥‥汗
このサントン人形の発祥は フランスのプロヴァンス地方でね、 今でも伝統的な正式なものは 全て手作りで作られているよ。 そして登場人物たちもプロヴァンスの 伝統的な服を身に纏っているんだよ。
ボクたちも本場のプロヴァンスの工房に ず〜っと前に行ったのだけど、 実はその時の写真がどうしても見つからない! というわけで、 残念ながらその写真はないけれど‥‥。
それではみなさん、 素敵なクリスマスを迎えてね!
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2021-12-21-TUE