「エレベーターは 間違いやすい?!」
フランスに来たら、 みなさんホテルに泊まるよね。 今だったらアパートホテルを借りる なんて人も多いのかな♪
エレベーターで上下するたびに、 きっと日本から来た人が困惑すること。 それがフランスと日本の 階数表現の違いだよ。
日本の「1階」、つまり地上階が フランスでは「0階」。 日本の「2階」がフランスでは「1階」。 日本の「3階」がフランスでは「2階」。 という具合に、 1つずつ階がズレているのです。
だから旅行者が街にさんぽへ出かけようと ホテルのエレベーターの「1階」を押したら、 まだ地上階じゃなかった‥‥、 なんて話をよく聞くのです。 ガイドブックにも説明は書いてあるし、 頭ではわかっていたりするけれど ついつい日頃の癖で 「1階」押しちゃうのですよね‥‥。
▲パリの建物。例えばこの建物なら地上階に入っている銀行「0」から数えて、 1番上が「6階」となるのです。
地上階のことをフランス語で 「Rez-de-chaussée」(レドゥショセ)というので、 「0」ではなくて「RC」と 表示されていることも多いよ。 (これも慣れていないと混乱する原因に!)
フランスを舞台にした映画やドラマの中でも、 アメリカからやってきた主人公が 階数の数え方の違いから間違えて 1階違いの他人の部屋に 帰ろうとしたことがきっかけで 新しい出会いが生まれる‥‥、 なんてシーンもあったりしますが、 表示の仕方が違う国から来ると、 はじめは混乱することも多い階数表示です。
ちなみに地下の表示の仕方は 「B1」「B2」ではなくて 「−1」「−2」と表示されます。
▲パリのアパルトマンのエレベーターの中。日本での「1階=地上階」は「0」。 これはフランス語表記で「RC」と表されることも。 地下は「−1」「−2」と表記されています。
なんだか考えてみれば 私たちにとって当たり前の、 地下を表す「B1」「B2」 (ってなんの略だったんだろう?! と思って調べてみたら英語の「Basement」の 略だったと今回のコラムをきっかけに知った 恥ずかしい私です‥‥。) よりも、「−1」「−2」の方が 直接脳にピピっとくる感じがして わかりやすい気がしています。
▲「閉まる」ボタンはなく「開く」ボタンしかないのもフランスのエレベーターの基本。 ドアが勝手に閉まるのをのんびり待ちます。
地上階「0」を起点にして、 建物の上にいくほうは「1、2、3、4‥‥」 下に行く方は「−1、−2、−3、−4‥‥」 って「数直線」と同じ考え方だから、 とても理にかなっていて数えやすくて、 実はこっちの方がわかりやすいのかな、 なんて思ったりしている今日この頃だよ。
▲ちなみに、エレベーターに乗るときには、「上る」「下りる」ボタンじゃなく、 1つしかボタンがないというパターンが多いのもフランスエレベーターあるある。 「とりあえず上に行くか下に行くかはさておきエレベーターをよぶ!」ってボタンなのですが、 これも慣れていないと「上にいけないの?!」と焦る原因に‥‥。
フランス生活も20年を過ぎ、 私はもちろんフランス式の数え方には慣れましたが、 改めてこの表現の仕方の違いに戸惑ったのは、 最近息子のドリルを一緒にやっていた時。
日本の幼児ドリル、 「たてものの3階にいる動物はなんですか」 なんていう問題に遭遇した時、 パリ生活で認識している「3階」で答えてしまうと 「×」、バツになってしまうのです。 「日本ではね、1階から数え始めるから 3階はここの部分になって、うさぎさんなんだよ。」 なんて説明しながら、5歳の子にとっては ちょっと理不尽よねえ‥‥なんて かなり悩んだ私です。
ちなみに今回のパリのエレベーターの 写真を見ていただくとわかるように、 フランスのエレベーターの中には基本、 「開く」ボタンしかないよ。 「閉まる」ボタンはなし! っていうのが普通です。 「乗り換え案内」を見ながら秒単位で動く! なんて生活がないから、「閉める」ボタンは いらないのかなあ‥‥。 ひたすら自然に扉が閉まるのを待つよ。
みなさんはどっちの「階数表示」の方が わかりやすいと思う?! それでは今日も良い1日を♪
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2023-01-24-TUE