「自転車のバッテリーは 持ち歩く?!」
さてみなさん、このマダムが持ち歩いている これは一体なんでしょう?
▲さて、これはなんでしょう? 推定3kg弱くらいです。
正解は‥‥。 『電動自転車のバッテリー』でした!
そう、パリで電動自転車を持っている人は 自転車を停め自転車からしばらく離れるたびに これを持ち歩かなくてはいけない。 なぜなら‥‥。 お金になりやすいバッテリー部分、 そっこうで盗まれるから!
▲子連れの人は特に、電動自転車を選ぶことが多いけれど、 自転車のバッテリー、少し離れるだけでいちいち抜いて持ち歩かなくてはいけません。
春の気持ち良い季節。 3週間の日本への一時帰国を終えて、 ボクの飼い主まりこちゃんたちが パリに戻ってきた。 空港に着いたその瞬間から、 安全な国日本で安心しきって 緩みまくっていたネジをしめ直して 常に気を引き締め歩かなくてはいけない場所 パリへ!
▲パリはまだまだ寒かった。ダウンとかみんな冬の格好です‥‥。 今年のパリは夏がやってくるのかな‥‥と心配になるくらい。
日本では、 「あ〜お財布をポンと、カバンの見えるところに 入れておいても大丈夫なんだ‥‥。」 (↑財布なんて見えたらすぐすられる) 「カバンを常に自分の前に抱え込むように ギュッとして歩かなくてもいいんだ。」 (↑スリの手が入る隙を与えたらアウト) 「電車の中でお財布出して お札を人に渡したりしても誰にも狙われないんだ。」 (↑現金をメトロやバスの中で出しているところを 見られるなんて 狙ってくださいって言っているようなもの) 「携帯に紐をつけて体からぶら下げておかなくても 強奪されることもないんだ‥‥。」
なんて、警戒のネジを緩めて歩いてよい。 ということに気づいてふわ〜っと軽い気持ちで 過ごしていましたが、
『街を歩けばスリに狙われる。 落とし物をしたら絶対に出てこない。 モノをどこかに置いておけば 置引きに合うのが前提として行動する。 携帯は強奪されないようにしっかり握りしめる。』 という真逆の世界に戻ってきたことを、 電動自転車の重いバッテリーを持ち歩く ママ友の姿を見て、改めて感じたのでした。
▲こちらの電動自転車2台も、ガッツリした鍵をつけ、 バッテリー部分はちゃんと取ってあります。
日本でもスリなどの犯罪が全くない というわけではないと思うけれど、 日常的に犯罪だらけのパリの緊張感から見ると ふわふわの気持ちでいられる超安全な国なんだ。 電動自転車のバッテリーを、 自転車から離れるたびに持ち歩くって 日本ではないでしょ?!
▲街中、あちこちにあるこういう鉄柵に ペンチじゃ絶対に切れないガッツリした鍵で自転車を固定して、盗難防止。
先週のこのコラムでは、 フランスからやってきたご夫婦が、 スーパーの前や商店街に並ぶ自転車を見て、 あんなちっちゃい鍵をしておくだけで 盗まれないんだということに驚愕していた、 ということを書きましたが、 ペンチでは絶対に切れない 太くて頑丈な鍵をしていても、 タイヤ、サドル、ハンドルetcの パーツを盗まれることがあるパリ。 電動自転車のバッテリー部分は 街中に放置して離れてはいけない 大切な部分なのです。
▲自転車自体をしっかり鍵で鉄柵に固定していても、こんな風にタイヤだけとか パーツが盗まれることもしばしば。 犯罪が少ない安全なエリアでも数カ所自転車置き場を見るだけで こんな風にパーツを盗まれている自転車が見つかります。
▲この自転車は、ガッツリした鍵2つと、ぐるぐるの長い紐の鍵1本、合計3本で盗難を防止。
自転車で移動するには程よい規模のパリ。 どんどん自転車専用レーンができて 子どもの送り迎えにも自転車さえあれば メトロやバスのストライキも気にせずに いつでもどこでもスイスイ〜なこのパリで、 ボクの飼い主まりこちゃんが、 いまだに自転車を買うのを躊躇しているのも いちいち重いバッテリーを持ち運ばなくては いけないからっていうのもあるんだって。
タイヤとかのパーツを盗まれた時の ブルーさとかね‥‥汗。
日本では考えもしないことを踏まえて 検討しなくてはいけないパリの自転車事情。 我が家に自転車がやってくる日は いつなのかなあ〜。
▲子どももイヌも。自転車があったらスイスイどこにでも一緒に乗って行けるんだけどね。 盗難のことを考えると色々面倒くさくて、いまだに自転車を買わない ボクの飼い主まりこちゃんです。
*とのまりこさんの新刊が出版されました*
「シンプルシックで心地よい暮らし パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間」 出版社 : 世界文化社 発売日 : 2021/5/29
※この連載を再編集し、 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)
2023-05-16-TUE