冬もまぢかな、ひっそりとした秋のひとときは、
寒々として、いやなときだと思ったら大まちがいです。
せっせと、せいいっぱい冬じたくのたくわえをして、
安心なところにしまいこむときなのですからね。
自分の持ちものを、
できるだけ身近にぴったりひきよせるのは、
なんと楽しいことでしょう。
自分のぬくもりや、自分の考えをまとめて、
心の奥深くにほりさげたあなに、たくわえるのです。
その安心なあなに、たいせつなものや、とうといものや、
自分自身までを、そっとしまっておくのです。
『ムーミン谷の十一月』
(トーベ・ヤンソン著 鈴木徹郎訳)より