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なんにも知らない子どものころって
音楽も、リズムも、きっと楽しいんですよね。
もう、体が反応しちゃうというか。 |
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つんく♂さんって、そういう
「こうやったら楽しいぞ!」っていう話をするとき
ものすごく生き生きしますね。
それはもう、才能ですね。 |
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子どものころの楽しさをよく覚えてるのかな。
そういう純粋な楽しさについて
リアリティーをもって語れる人は
なかなかいないと思いますよ。 |
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子どもを見てると、
なんか、うらやましいんですよね。
あの、友だちの子どもとかといっしょに
プールに行ったりするじゃないですか。
小学校3年生とか、5年生とかの。
すると、ぼくらはやっぱり、
1時間泳いで、お昼ご飯食べたら
ぽやーっとしてしまうんですね。
ところが子どもは、ご飯食べて5分後には
またバチャーンって水に入るんですよ。 |
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で、5時ごろになって
「ぼちぼち戻ってこんと怒られるでー」
って言うたら、悲しそーな顔するんですよ。
7時間ぐらいプールの中におったのに。 |
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そうなんですよねぇ。
オトナの毎日があんなふうになったら、
もうほんとに素敵ですよ。 |
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ぼくらにとっての楽しい時間と
あの子らにとっての楽しい時間は
もう、水準がぜんぜん違うんですよね。 |
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うん、だけど、自分にとっても
まったくないわけじゃないんですよね。
楽しい仕事をやってるときって、
まあ、苦しい時間も含めてのことだけど、
終わったときに「終わっちゃったな」
って思うじゃないですか。
オトナでも、たとえば将棋が好きな人は
いつまででもそれをやってたりするし。 |
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うん。だから、そういうふうな時間が、
長く、たくさんあるというのが
すばらしい一生なんだろうなと思うんですよ。 |
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もちろんそういう時間を過ごすためには
お金を稼ぐ時間もなくちゃいけないし、
お金だけがあって楽しい時間が
ないというのもつまらないし。 |
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あの、ぼくは昔からよく思うんですけど、
死ぬ前に「ああ、おもしろかった」って
言って死にたいんですよね。
で、ほかのある人は、
「ああ、短かったな」って思って死ぬのが
すばらしい人生なんじゃないかって言ってて。
どっちも内容としては同じだと思うんですけど、
そういう毎日を送りたいですよね。 |
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どっちかといえば、糸井さんは、
「おもしろかったな」なんですね。
「短かったな」じゃなくて。 |
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そうですね。
やっぱり、「短かったな」と思うほどには、
短くない時間をけっこう経験していると思うので。 |
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苦しいとは言わないまでも、
「渋い」時間っていうのがやっぱりあるから、
そこまでをぜんぶ引っくるめて、
「おもしろかったな」っていうふうに
言いたいなって思うんですよね。 |
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「短かったな」って言いたい人は
どういうタイプの人なんですかね。 |
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ぼくがそれを聞いたのは、
経済関係の本を出して
すごく売れっ子になった作家さんですね。 |
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あれですよ、
パチンコで確実に勝ってるときと同じ。
終わったときに「ああ、短かった」って
思うじゃないですか。 |
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もう、そのままずっといたいのに、
一日が短くて、もったいないという。
そのままいれば閉店まで間違いなく
勝ち続けられるんですから。 |
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そうそう、祈るわけです(笑)。
そういう人生は「短かったな」って
いえると思いますよ。
ぼくらはまあ、ちょっと勝ったり負けたりで、
隣にたまたま座ったおっちゃんと
「メシ行きますか」とか言って外に出たりして、
台を変えたりしながら閉店までおって、
「回ってるんですけどねぇ」
とか言って過ごす一日ですから。 |
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そのとおりですねぇ(笑)。
後ろで「入ったー」て言うのを聞いて、
「うわ、チックショー」とか(笑)。 |
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だから、ぼくも、
「おもしろかったな」って
最後に思いたいタイプじゃないかな。 |
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間違っても「短かった」なんて言葉
出てこないと思いますよ。
まあ、でも、90歳くらいまで生きたら
変わってくるかもしれませんけど。
40歳くらいまではおもしろかったけど、
後半はずいぶん短かったなあ、
って思うかもしれない(笑)。 |
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政治家の人たちなんかは
50歳で「若造」って平気で言われますしね。
音楽家は、どうなのかな。
長生きの人と早く死ぬ人のふたつに
はっきり分かれるのかな。 |
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優秀な人って、
ライフスタイルみたいなところにも
きちんと気を遣ってることが多いので。
でも、さっきの話じゃないですけど、
「天才」と呼ばれるような人は
やっぱりその言葉に負けてしまうというか、
ストレスで潰れてしまったり、
酒に溺れてしまったりして、
短命になりがちなんじゃないかと思います。
とくにロックの世界とかだと、そういうことが、
「あいつは音楽バカだね」みたいな言い方で
かっこいいことだとされてしまうので。 |
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そういう変な人生の方が
お客にとってはおもしろいっていうか、
「天才」にいてほしいのと同じように、
破滅型の登場人物も
舞台にはいてほしいんでしょうね。 |
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いてほしいんでしょうね。
亡くなってからの方が有名になったりして。
それはどっちがほんとにええのか
わからないけども、
やっぱりぼくは人間的に楽しみたいというか、
「おもしろかったな」という点でいうと、
普通でいいんじゃないかなって思うんですけどね。 |
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(続きます) |