5 面っ!
糸井 そうか、あるんですねぇ、
鶴瓶さんでも、
このままじゃいけないっていう気持ちが。
鶴瓶 それは、ありますよ。
‥‥そんなんいうたら、
糸井さんだってそうでしょう?
なんや、
ダラダラ、ダラダラしてるけれども。
一同 (笑)
鶴瓶 ダラダラ来てんねんけども、
ずーっとやってるでしょう「ほぼ日」。
糸井 うん(笑)、やってる。
鶴瓶 だから、「ほぼ日」なんていうのは、
言うたらほら、
あの「つぶやき」‥‥
「つぶやき」いうのは何や?
ああ、「ツイッター」。
「ほぼ日」っていうのは、
「ツイッター」みたいなのの、走りやん?
糸井 うん。
‥‥ん?
鶴瓶 まぁ、ぼくはそういうこと
よくわかってませんよ。
だから言うてることが
違ってたらごめんなさいね。
でも、要するにずうっと、
それこそ「ツイッター」とか言われる前から、
インターネットでやってるわけでしょう。
ブームをつくるとか、
そういう感じではなくて。
糸井 そうそう、
それはそうなんですよ。
「ブームをつくるぞ!」っていうのとは、
ずいぶん違う感じでやってますね。
鶴瓶 ずーっと、そうですやん。
糸井 ‥‥あのね、鶴瓶さんさ、
つい最近おれは、
鶴瓶さんがいま言ったようなことを
考えてたんですよ。
鶴瓶 ほぉ、そうですか。
糸井 つまり、
「後の先(ごのせん)」というか‥‥。
「まず相手に攻めさせておいてから、
 あとで自分が攻め込むパターン」
おれはこれをやりたがるな。
っていうことに自分で気づいたの。
鶴瓶 ああー、それはあるね。
糸井 このあいだ、
白鵬の特集をテレビでみたんですよ。
鶴瓶 うん、うん。
糸井 白鵬は、どう出るかというのを
相手に決めさせるらしいんです。
で、向こうが7来たら、
「残りの3からおれの相撲にするんだ」って。
鶴瓶 なるほど、そうやろね。
あれですよね、
「仕掛けの負け」
という言葉もあるでしょう。
糸井 ああー、はいはい、ありますね。
なるほど、それも同じだ。
鶴瓶 仕掛けの負け。
こっちからは仕掛けないで、
向こうがヒントを与えてくれてから、
自分がどう出るかを考える。
糸井 だから、1番じゃないんですよね。
鶴瓶 そうそうそう。
糸井 1番にやりたがる人ではないんです、
正直を言えば、ぼくは。
鶴瓶 ぼくもそう。
糸井 そうですね。
鶴瓶 べつに2番でいたいとか、
そんなことは思わへんけど。
糸井 そうそう、
2番でいいってわけじゃなく。
鶴瓶 相手がどう来はんねんっていうのは、
「スジナシ!」なんかでもそうなんです。
糸井 まず、ゲストの出方をみますよね。
鶴瓶 むかし、上岡龍太郎さんに
よく言われたのは、
「おまえは、どんなに面(めん)を打っても、
 面を認める人間やな」と。
だから、「面」って、剣道の面ですよ。
糸井 ええ。
鶴瓶 「面ーっ!」
て来ても、逃げない。
打たれてんねん、こないして(打たれてる仕草)。
「はい、わかりました、面」。
糸井 ははははは。
鶴瓶 「効いてないやん」と。
糸井 ああ。
それ、俺もそうだわ。
鶴瓶 そうでしょ?
糸井 そう。
鶴瓶 「面!」
逃げないで「面」って打たれて‥‥
「はい、面。面、よう入れた」
向こうは「効いてない?!」と。
「こて!」とやられても、
思っきり入れさせといて‥‥
人にとっては恥なことでも、
「はい、こて」
それ、効いてないやろ? と。
糸井 ああー(笑)、
上岡さんがそれ言うのよくわかるね(笑)。
鶴瓶 それはね、自分も意識してないねんけど、
「面」というんなら、
「面」なんやろなぁと思う。
一同 (笑)
鶴瓶 それを認める、いうかね。
「面」を認める。
面で打ってくる人を。
まあ、理屈っぽく言うとそうやと思うた。
糸井 ああー。
鶴瓶 面を入れられることも、
ぜんぜん悪くないって思うでしょう?
糸井 そうだ。
死ぬわけじゃないんだから(笑)。
鶴瓶 そうそう。
糸井 それで死んじゃったら困るんだけど(笑)。
鶴瓶 死んじゃったら困るけど、うん。
糸井 打たれ強いわけでも何でもなくて、
「どういう遊びをしたいのかは
 あなたが考えていいですよ」というか。
鶴瓶 そうそうそう。
糸井 で、そうしたほうが
相手の力をちゃんと見せられるから、
ゲームとしてはおもしろいんですよね。
鶴瓶 そう!
糸井 向こうが何もやらないうちに
こっちがぜんぶ勝っちゃいましたじゃあ‥‥。
鶴瓶 つまらない。
糸井 つまんないですよねぇ。
人に出合う意味がない。

(つづきます)
 
2011-01-05-WED
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