この番組は、生放送をやることを ひとつの目標にしていました。 僕はやっぱり、生でやることが テレビとしては究極だと 思っているところがあります。 ウゴウゴルーガの生放送は、 放送開始から半年経って実現しました。 「プリプリ事件」の次の週の朝に 1週間の生放送。 それはそれでなかなかうまくいきました。 その余勢をかって、その年の夏には 土曜夜8時のゴールデンで 生放送のスペシャルまでやっちゃいました。 その放送ですが、1時間のうち40分ぐらいは 番組としてちゃんとおもしろいんですけど、 最後の10分はもう何が何だかわかんない。 カオスですよ(笑)。 |
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その話を聞いて僕が思うのは、 「世界ってそういうものですよね。 カオスですよね」 なんていうことなんですが‥‥ 当事者はきついよね(笑)。 |
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きついです。 | |
でもね、演出家の福原伸治という人は カオス好きでもあるわけです。 混乱が嫌なんだったら、 生でやんなきゃいいじゃないですか。 きっちり生中継しなくても 各コーナーをVTRで構成するやり方だって あったはずです。 そうすると、何の問題もなく きちんと収まりますよ。 |
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なるほどね。福原さんは 自分に問いかけるのが好きなのかな。 福原さんの中には 「カオスが本当は怖い自分」もいるの? |
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いないです。 | |
それはその‥‥悪いですね。 | |
悪いのよ(笑)。 さらに、福原さんは、 論破型な性格ですから カオスを作るために理論武装もできちゃう。 |
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そりゃ、悪いですねぇ。 | |
天真爛漫に「やっちゃいましたー」なら かわいいですけどね。 |
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愉快犯みたいなものなんでしょうか。 | |
思いつきに理論武装を加えるという、 最もたちの悪い人間です。 |
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いちばんやりたいのは 「悪いこと」。 |
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そこに至るまでにどういうふうに 理屈をつけるかを考える。 |
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悪い悪い。 | |
凶悪だね。 | |
凶悪犯という意味では、 フジテレビの演出家の中でも、 かなりレベルの高いところにいると思いますよ。 でも、悪かったり奇妙だったりする才人は ほかにも会社に何人か、います。 |
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たしかに、フジテレビの番組の中で 「これは墓場のあとに建ったんだよ」 というような片鱗が見えるときが ありますもんねぇ。 社会性も充分知ってる人たちが、 「なんだ、これ!」という 番組を、よくまぁ作りますね。 |
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十分熟知していて、 とんでもない番組を作っている人たち、 いますよ。 過去にさんざんっぱら 夜中のH系番組をやってた人‥‥それから、 ややスマートな人もいますし。 |
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みんな、昔のフジテレビを知ってる人ですね。 | |
縄文の血が残ってるみたいな話だね。 | |
あの頃のテレビって 特攻隊ばっかりだったから、 ボンボンボンボンやってましたけど 「もうそっちに行っちゃダメなんだな」 ということを、いまの世代はみんな、 知ってるんです。 |
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でも、いまは逆に、 荒々しいものやシャープなものを ほかの会社から 買ってこなきゃいけない時代でしょ? 自作しなくてよくなった分だけ複雑です。 |
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昔はとにかくエッジのある人が テレビを見てたけど、 いまはそんなに見ていない。 テレビ以外にもいろんな表現が出てきて、 テレビはどんどんそぎ落とされてしまった。 荒々しいものはみんな、ほかの場所に 行ってるんじゃないでしょうか。 ウゴウゴルーガは 「何でもありのテレビ時代」の 最後だったのかなと思います。 |
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テレビというものと抱き合って生きる人は、 確かにもうあまりいないかもしれない。 でも、それでもやっぱり 可能性があると思わせるのが テレビのすごさです。 |
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うん、そうですね。 いまも大悪党として生き残っている、 しかもゴールデンをやってる人たちを やっぱり私は尊敬します。 |
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こういう話を聞くとやっぱり フジテレビって、底力があるね。 それぞれを秀才型にしない努力を、 誰かがものすごくしてますね。 |
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「縄文の血」を絶やさないように、 会社がいっしょうけんめいですね。 |
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とつぜん「そんなパス?」ってのが 出てきたりしますもん。 |
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それでも、ですよ、 このウゴウゴルーガという番組は 1992年10月から 1994年3月までしかできませんでした。 どう考えても。 |
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それ以上やったらいけなかったというのを 本人たちも知ってたんでしょうね。 でも、みんなが 「おもしろい時代があったんだな」と 思ってくれるとありがたいね。 |
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ずっとウンチだけだった回も含めて あの番組を1年半やったってことは すごいことだと思います。 |
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俺、なんだかいま 漠然とした思い出だけど 打ち上げのときに 桜井さん、涙ぐんでたような気がするよ。 |
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そうですね。最終回の日は、 ずっとうれしかったです。 |
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こんな話が できるようなことばっかりやってたら、 一生楽しいね。 |
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楽しいです。 私は会社に給料払ったっていいと 思ってます。 |
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その気持ち、わかるわ。 「くれた分から払ってもいいです」 という感じ。 |
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でも、それって 会社が楽しいわけじゃないんですよ。 努力して楽しくしてるんだよね、みんなで。 |
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うん。テレビ局って本当は 厳しい仕事なのかもしれない。 だけどね、この人たちを 動かしておく場所を持っている フジテレビという会社は、 少なくとも、そこにある。 それは、すばらしいことですね。 |
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われわれがいなくなったら、 会社もいよいよ終わりですよ(笑)。 でも、テレビという形態も、 あと何年かしたら、 おそらくいまのままじゃないでしょう。 フジテレビという名前は残っても、 やってることは全然違うかもしれません。 ただ、なんとなくマインドはみんな、 変わんないんだろうなと思います。 |
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「縄文の血」じゃないけど、 そのことは、通じるんですよ、 これから入ってくる、若い子たちにもね。 |
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これで、ウゴウゴルーガの 連載はおしまいです。 おもしろい人たちでしたね。 それじゃ、いつかまた、 お会いいたしましょう。 いついつまでも、 おきらくごくらく! ‥‥ハイ、よくできました! ご愛読、ありがとうございました〜。 |
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2008-05-27-TUE |