3、「痛み」
そういえば陣痛ってほんとうに痛く、
痛みにはばかみたいに弱くて
歯医者さんにも
「こんなあなたが
出産をひかえているなんて気の毒だ」
と同情される私は、その痛い中で決して
生命の尊厳に関して厳粛には考えられず、
イメージ映像はずっと信楽焼のタヌキの金玉が
腫れているようすだった。
「この痛さときたら、まるでタヌキの金玉みたいで・・・」
と泣きながら言ったけれど、まわりにいる人
(夫と助産婦さんだけだけど)は笑えなかったようだ。
そのとってもとっても痛い最中に、
さらに助産婦さんが指をつっこんで内診するのだ
が、それがあまりにも、
考えられないくらいに痛かったので、
「ザ・レイプ・・・!」
と息も絶え絶えに言ってみたが、誰にもうけず、
そこまでは根気よく私の大騒ぎに
つきあってくれていた助産婦さんがさすがに
「いいかげんにしなさい」という顔をしたのを、
遠のく意識の中でですが、よく憶えています。
|