うれしいセーター

三國万里子さんが
石川直樹さんのために、
「K2」という作品を編みました。
後編 完成したセーターを着て、撮影です。

「どんなセーターがいいですか?」と
ミロコマチコさんのリクエストをうかがった日、
つまり2015年12月の初旬から、9か月の時間が経ちました。

2016年9月の初旬。
場所は前回と同じ、ミロコマチコさんのアトリエです。
まさしくただいま、
作品集『うれしいセーター』の撮影中。
ミロコさんが、カメラの前に立っています。

身につけている、この白いセーター‥‥。

そうです、これが、
ミロコさんのリクエストに応えて三國さんが編みあげた、
「カオジロガンのセーター」です。

ちなみにミロコさんのうしろにいるのは、猫の「ボウ」。
アトリエで取材があると、「ボウ」はこうして
自分が写るポジションにやってくるのだとか。
そしてミロコさんにちょっかいを出します。
ほら。
かわいい(笑)。
かわいいので、作品集にも登場してもらうことにしました。

▲もう一匹、「ソト」という名の猫もいっしょに暮らしているのですが、
 その子はこの日、顔を出してくれませんでした。残念!
セーターの話に戻りましょう。

ここで、あらためて、
どんな作品が完成したかを、お見せいたします。

〈セーターの名前〉
 カオジロガン
 カオジロガン(アルビノ)
なんと、2着です。
ミロコさんのリクエストに応えて三國さんは、
色違いで2種類のセーターを編みました。
白いほうは、
「カオジロガン」(アルビノ)という名前で、
黒×グレーのほうは、そのまま「カオジロガン」。

人が着て、セーターと一体になったときに、
鳥のようなシルエットに見えるデザインです。

リブのうしろが前よりも長くて、
これがまるで鳥の「尾羽根」みたい。

▲写真右が、写真家の久家靖秀さん。
 作品集『うれしいセーター』の、ほとんどの写真を撮ってくださいました。
ミロコさんがすっかり、鳥のような姿に。

黒×グレーの「カオジロガン」も、
こんなにミロコさんに似合っています。
ここに掲載している写真は、
ほぼ日の編集スタッフが撮ったオフショットです。
写真家・久家靖秀さんが撮影した作品は、
当然ですが、もっともっとすばらしいのでぜひ、
作品集『うれしいセーター』でご堪能ください。

やがて、たのしい撮影は終了しました。

今回の現場には、三國万里子さんもいらっしゃいます。
そのままミロコさんのアトリエにて、
「編んだ人」と「着る人」のお話がはじまりました。
三國
カオジロガンという鳥のことを
今回はじめて知りました。
ヘルシンキにたくさんいたのですね。
ミロコ
めちゃくちゃいるんです。
ちょっと迷惑そうにされているくらい(笑)。
三國
でもきれいです。
ミロコ
そう、きれいなんですよ。
三國
さて、どんなセーターにしようかと考えて‥‥
いただいた絵手紙のカオジロガンから
いろんな色が見えてきたのですが、
色を入れすぎると
着るものとしてまとまりがなくなってしまうので、
結局、わりとシンプルなデザインにまとまりました。
ミロコ
すてきです。
2着も編んでくださったのは?
三國
わたしがその2種類を見たかったからです(笑)。
最初に「アルビノ」を編んで、
「これは黒とグレーの組み合わせもいいものになる」
という予感がしたら、
もう作らずにはいられなくて。
ミロコ
すごいですね。
たしかに、どっちもかわいいです。

でも、すごくびっくりしました。
わたしが勝手に予想していたのと、
ぜんぜんちがうセーターだったので。
三國
どういうのを予想されてたのですか?
ミロコ
セーターに編み込みで
カオジロガンの模様が入るのかなと、
思ってました。
そしたら、まさかこんな方法で‥‥。
着た人がカオジロガンになるんだなんて。
すばらしくって、おどろいて、
「おおー!」って、ほんとに声をあげました。
三國
ありがとうございます(笑)。

着心地はいかがですか?
ミロコ
最高です。
三國
襟元とか、手首とか、かゆくないですか?
ミロコ
ぜんぜん平気です。
これで襟付きのシャツを着れば、もっと平気です。
三國
よかった‥‥。
ミロコ
セーターってもっと、
がしっとしてるイメージでした。
でもこれは、ふわふわで軽くて。
三國
その毛がモシャモシャしているところ、
妙にあったかくないですか?
ミロコ
あったかいです。ほわーんって。
たぶん、腕のここは、気持ちよくて寝てる(笑)。
三國
(笑)
ミロコ
このモシャモシャを触ってると落ち着きます。
三國
ミロコさん、
着るものはわりと保守的ですと
おっしゃってましたが、これは大丈夫ですか?
ミロコ
大丈夫どころか。
おもしろいかたちなのに奇抜じゃなくて、
もう、よろこんで着ます。
みんなに自慢したいです。
三國
はあー、よかったー。
ミロコ
冬のヘルシンキに、
これを着て行きたいと思いました。
わたしも渡り鳥になってヘルシンキに行きます。
三國
ぜひ! 行ってください!
ミロコ
ほんと‥‥冬がたのしみです。
ありがとうございました。
三國
こちらこそ、ありがとうございました。
ミロコマチコさん、ありがとうございました。

この企画の第二弾も、みんなにうれしく終了しました。

石川直樹さんに続いて、ミロコマチコさん、
そしてさらに‥‥
あと10名の方々と、こうしたやりとりをていねいに重ね、
構想から2年を費やして完成したのが、
作品集『うれしいセーター』です。

収録されている全15作品が完成するまでにあった、
親密なやりとりを想像しながら、
この本のページを開いていただけるとうれしいです。
2016-12-02-FRI