エー、次に石川です。
石川は、祖父江さんもお使いくださっている
ほぼ日手帳
の全体的な担当をしています。
祖父江さんは、
「カズン」(A5判サイズのほぼ日手帳)を
使ってくださってたんですよ。
ありがとうございます。
だけど、今年はちっちゃいほうを
使いはじめちゃったんです。
「オリジナル」(文庫本サイズ)ですね。
大きいほうを使ってて、
気がついたことがあるんです。
ぜひ、教えてください。
「カズン」を持ってると、
大きくて気持ちがいいんです。
その快感で、だんだんと
大きな字を書いてしまうんです。
祖父江さんは、ほぼ日手帳を
どういうふうに使ってらっしゃるんですか?
スケジュール?
それともノートとして、ですか?
スケジュール用です。
ちょっと待ってて、いま持ってくるから!
全員
(スケジュール用とは、ちょっと意外!)
スケジュールがどんどん動くから、
「バッテンしては横に書き、
バッテンしては横に書き、」
ってしてたんだけど、
それもめんどうになってきて、
だんだん、
ずれたとしても「だいたいこのへん」という
おおざっぱな予定表になってしまってます。
うわ、すごい。
もっと、ちっちゃい字で書くと
いっぱい書けるのにね。
おすすめは、細いペンをつけることかな。
でも、気持ちよく書きたい人には
太ペンでもいいんだものね。
みんなは、出だしと最後では、
筆跡とか気持ちが、変わっちゃわない?
そうですねぇ‥‥。
毎年1月、2月はね、
新年の抱負も期待感もあって、
気持ちも新たに、
ちっちゃい字できちんと書きはじめるんです。
でも、3月ぐらいになると、
抱負も薄れてきて、
乱暴な書きかたになってきちゃうんですよ。
だから、最初と最後では
手帳サイズが変わっちゃったかのような
バランスの悪いものになってしまうんです。
「カズン」はよけいにそうですね。
サイズが大きいぶん
その差も大きくなっちゃう。
「オリジナル」のほうは最初から
あんまりのびのびできないと思うから、
あまり変わらず、一年過ごせるかもしれない。
ぼくは無理だったけど、
抱負が高い人には(笑)、
「カズン」でもうまく使いこなせると思う。
ぼくはね、持続が苦手なのかも。
時間軸がすごいことに。
あ、でも、なんだかいい。
いい手帳だと思います。
このあたりの字は読めないし、
場所しか書いてないから
何の打ち合わせだかわかんないね。
‥‥でも、最初のほうは、
ていねいですよ、ほら!
ちまちましてる。
おもしろい。
時間に束縛されるっていう気持ちから
どんどん外れてっちゃったんですね。
せっかく、きちんとした時間が
ここに刷ってあるのにね。
ていねいさのグラデーションは
きっとみんなそうなりますけど、
ここまではっきりというのは‥‥
ファーッとはじけてらっしゃいますね。
ファーッと(笑)。
あ! さすが担当者、
同時にふたつ使ってるんですか?
今年は、自分で2冊の使い分けができるかどうか
やってみています。
「カズン」は仕事のノートとして使って、
「オリジナル」はプライベートなことを
書くようにしてるんです。
それだったら、プライベートのほうを
大きくしたほうがいいよ。
逆転したほうが。
そう。だいいち、ちっちゃい字で書くと、
「カズン」は書くところがあまりにおっきくて、
いっぱいスケジュールが空いてるような
気持ちになっちゃう。
それは困る(笑)。
確かに(笑)。
でないとさ、
「あれ? 予定書いたけど、
15分しかないじゃん、ここ。ヤバい」
なんてことになったりしない?
大きさ、倍ありますからね。
でも、寝る時間も倍あるからいいのか?
気分的には
倍になったように見えます。
「スペースあるし、けっこう寝られる」
という気分。
ほんとうは3時間ぐらいしか
寝られなかったりするけど(笑)。
そういう、書き込める量と
時間感覚というのも、
調整しどころですね。
ぼくが去年「カズン」にした理由は、
ノートを何冊も持つのがいやで、
全部これ一冊ですんじゃうかも、って
思ったからなんです。
「カズン」を作った当初は、
仕事もスケジュールもメモもプライベートも
ぜんぶが一冊に入って、フルスペックにして、
ビジネスにも使いやすいように、と
企画しました。
だけど、いざみんなが使いはじめてみると、
「カズン」をアルバム的に使ったり、
スクラップ帳として使ったり、絵を描いたり、
プライベートをメインに使ってくださる人も
たくさんいらっしゃいました。
持ち運びやすさでは、「オリジナル」を
ビジネスで使う人もまだまだ多いですし、
趣味で広く使ってる人が
「カズン」を楽しんでつけてくださってる、
まさに祖父江さんがさきほどおっしゃった
逆転の使い方も多くなってきました。
うん。「カズン」はプリクラ貼ったり
いろいろできますよね。
でも全部を一冊にしちゃおうということだと
ちょっと足りない。
もしかしたら、後ろについてる白いページが
意外に少ないのかな?
そうなると、ほかにノートが必要になる。
でも別にノートを作ると
そっちに記入が増えていってしまうし‥‥。
「カズン」専用の付属ノートは、
まだオプションとしては、出てないですね。
ほんとうは、「カズン」の「一日ページ」を
ノート代わりに使ってもらえたらいいと思うけど、
やっぱり時間軸があったりして、
気になる人は気になるのかな‥‥。
あのさ、倍のページにして、
思い切って
見開き1日というのがいいんじゃない?
全員
(‥‥!!!)
つまり、日付のページのとなりに
無地的なページがある。
そうすると、割り切りやすいかも。
日付ページの横の1ページを
捨てページと考える。
日付ページはスケジュールや仕事に使って、
もう一方は、どうとでも、好きに使う。
そうすると一年に1冊だけで
すべてが済むかもしれない。
なんでも帖。
やるんだったら‥‥ページ倍増だ!
全員
倍増!
そうなると、「カズン」じゃなくて
「アンクル」だ。
1日に見開きぐらいは
あったほうが
機能的かもよ〜〜〜。
全員
(笑)
そうすると、
「思ったこと」と「仕事」を
両方見ることができる。
「この仕事してたとき、
こういうことを思ったんだな」
と、振り返ることもできる。
仕事ごとにわざわざ整理しなくても
「印刷の特色はなになにインキ」とか
メモっておけば、
「あの本で使った、あのインキ、
最後は何にしたんだっけ」
となったときでも、
「タタタタ、ああ、
このインクに変更したんだった」
って、すぐ追える。
1ページだと、そこまでは書けないものね。
便利〜!
そうかぁ。
「1日ページ」に両方書きやすいように、
秘密の縦線を入れるまでは
検討してはいたんですが、
見開きで1日って、すごく自由ですね!
改めていいなぁと思います。
まず、迫力がありますね。
ここで新商品(笑)。
中庸をとらないことって、
わりと大事だよ。
ちょっとやり過ぎるくらいのとこに
商品は向かわなくっちゃ。
なるほど。
だけど、時間軸から線ひっぱって
きっちり書く人もいるんだよね。
いらっしゃいます。
デザイナーの人とかって得意そう。
ぼくは多分、時間に自信がないんです。
だから「このへんの時間」という
よわい気持ちになって、
だんだん字が大きくなってくるんですよ。
祖父江さんの字の大きさだと、
3時間くらいの幅で
前後どっちにもとれますね。
時間って、苦手なの。
どうしてみんな未来を決められるのか
不思議で不思議で。
なので、ぼくの場合、
打ち合わせに行かなきゃいけないときも、
自分にウソつかないとだめなんです。
例えば5時からだとすると、
「5時から」と思っちゃうと
たいてい遅刻しちゃうんですよ。
「4時からに見えるようだけど
実は5時から」
というふうに自分でわかりにくく書いちゃう。
全員
(笑)
手帳を見てビックリして、
「お、4時、用意しなきゃ!
あ‥‥5時からだったらまだ大丈夫だ、
よかったぁ」
という、自分への欺きを入れるためにも
字が大きくなってきてるのかも、ですね。
自分がいちばん信用ならない。
全員
(‥‥‥‥‥)
そういうわけで、事務所にかかっている時計も
まえは、ちょっとずつ進めていました。
ジャストにしてると、
いつもいつも間に合わないからね。
進める単位が
15分、30分、1時間となっていって、
いちばんすごいときは、
何時間進んでいるのか
自分で覚えちゃうとダメだから、
それがもうわかんないように、
目をつむって、針を進めてました。
全員
(‥‥‥‥‥‥‥)
何が何だか(笑)。
6時間とか7時間とか
ものすごくわからなくずらして。
ずらした時間を覚えちゃうたびに
進めていくの。
がんばって、ずらしたことを忘れるの。
それはけっこう、
半日くらいの幅ですね。
時差です、時差。
ぼくらはそれを
ビックリ時計と呼んでました。
正しい時計があると
気がゆるんじゃうんです。
焦る気持ちと体内時計をさぐりさぐり、
自分騙しの人生なのかも。
(つづきます)
2010-04-27-TUE