ではここで唐突ですが、
自己紹介がてら、
みんなが「ほぼ日」でやってる仕事を
本人たちが言います。
ホントに唐突で(笑)。
まずは、私が担当ではないのですが、
弊社が制作した本ということで、
祖父江さんにご協力いただいた
『あたまのなかにある公園。』
を持ってきました。
あ、ごめんなさい。
ぼくがなんか、ちょっと書かせてもらったやつだ。
カバーは(荒井)良二さんだ!
この本のために、
手書きのコメントをいただいたのですが、
そのときも、祖父江さんは、
コメントをまず下書きして、
それを見つつ別紙に清書して、
それで「ハイッ」と
下書きのほうをくださいました。
そうだった、そうだった。
清書したら、嘘っぽくなっちゃったから。
「コミュニケーションは瞬間芸」
ほんとに驚きましたよ、あのときは
‥‥祖父江さん、本を
まずは背(背表紙)から
ジーッとごらんになるんですね。
ウン‥‥、ここがいちばん
本の大事なところだからね。
全員
(‥‥そうか。
書店にあるときも、家に置かれたときも、
みんながいちばん目にするのは、
いつも「背」だ)
うん、しっかり、
よくできてる本です。
がんばりましたね。
ありがとうございます。
それでは、今日伺ったメンバーの作品も、
ご紹介していきたいと思います‥‥
と言いたいところですが、すみません、
事務所を出る前に急に思い立ったので、
あんまり資料を用意できなくて‥‥
まず、播口の担当ひとつとしましては、
OHTO
です。
このバッグです。
へぇえ。
1年くらい前から、くまのマークのグッズを、
いくつか作っているんです。
フィンランドにジャムパン屋さんがあって、
そこで売ってるオリジナルグッズ、
という設定なんです。
OHTOといいます。
オウト‥‥ぉえぇぇ。
あ、「嘔吐」か、
これまで気づかなかった‥‥
そうか(笑)。
なんて読むのかな、
オンミョーズ、カルフジャ!
うん、これ、かわいいですね。
ほんとうですか、ありがとうございます。
うん‥‥(眺める)、
すてきじゃないですか。
全員
(えっ‥‥)
帽子にもなるし。
また、瞬間芸。
烏帽子みたいになってます(笑)。
バッグそのものも強そうだし。
インクが、うまく乗ってない感じも
とってもいいですね。
何回か試してみて、
ダメっぽいやつにしました。
うん、ダメっぽいのはいいね。
そうじゃないと、
刷った感じにならないもんね。
‥‥うん、なかなかですよ、これ。
ありがとうございます。
すごい。
祖父江さんに褒められた。
すごい、ハリー。
ふふふ。
最初に褒めといて、
‥‥あとでドーンと落とす。
全員
ええええ(笑)?
まず褒めといて油断させたところで
ショック注入! うしし。
‥‥あ、うそですってば。うしし。
ところで、この
バッグに刷った文字はどうやったの?
フォントをちょっと崩しました。
「O」を、わざと
学生さんが書いたような下手なものに
したんですね。
これは、かわいいですね。
もともとあまりできがよくない、
下手っぽいフォントを見つけて、
それをちょっといじった感じです。
なんかもう、
フィンランドの昔のジャムパン屋さんが、
自分でやった、みたいな感じに
できたらいいなと思ってて。
そうそう、なめらかな間違い方ですね。
かわいくてすてきです。
無理がないし、
自然に起こってていい感じだよ。
もうすこし、くわしく‥‥
ふつう、英語の「O」の天地(タテの長さ)は
ほかの「HT」の天地より
ちょっと上に出るのが普通なんです。
うん、うん。
だけど、これは、揃ってるか、
あるいはちっちゃいくらいだね。
ちょうどいい感じじゃないかな?
そういう自然な間違い方が行われてて、
意図的じゃない感じがする。
意図してても、
「ついこうしちゃうよね」っていう、
自然な、よくない感じがいいふうに出てるよね!
よくない感じが、いいふうに‥‥?
それは、もしかして、お叱りが含まれてる?
ちがうちがう、お褒めなの、これが!
全員
お褒めですか?
褒めてるとこ〜!
全員
そうなんだ〜!
ぼくの言葉って、
逆に聞こえてしまうことが多いみたい。
テキスト化すると、まるで伝わらないかも?
まえ、ある大学で講義したことがあって、
そんときおかしかったの。
ぼくの話をふつうに聴いてる人は
大笑いしてたのにね、
一言一句をもらさずノートに
書きつけてる人がいて、
どんどん内容がわからなくなって
途中で頭抱えちゃってたんです。
「ぇえ?」って、つぶやきながら(笑)。
全員
(笑)
「このダメさ加減がすっごくグー!」とか
「いいぐあいにうまくいってない」とか、
ハッピーでポジティブな声で言っても、
文字にしたとたんにニュアンスが消えて
褒めてるのか褒めてないんだか
書いてるうちに、
わかんなくなっちゃったみたいです。
文字だけって難しいよね。
そうですよね‥‥言葉は意味で、
表情を伴わせないと
ほんとうは成り立たないですね。
そこは難しいです。
(つづきます)
2010-04-26-MON