007 自分の手がやってみないとね。

スガノ 最後に、南郷です。
なんこ あのぅ‥‥。
スガノ 「ほぼ日」のwebデザインでは、南郷は
これとかこれとか、
たくさんやってるんですけれども、
出かける直前になって
私が「何か資料を」と言い出したので‥‥
今日は、無理矢理持ってきました。
なんこ いまはこれしか持ってなくて、
すみません。
祖父江 これは?
なんこ 編み物とか、撮影の小道具です。
すみません、あわてて
そのあたりにあったものを
つかんで出てきました(笑)。
スガノ Tシャツやニット製品でも、
撮影用の小道具でも、
ちょっとためしに形を作ってみよう、
って、南郷はすぐに手をつけて
やっちゃうんです。
祖父江 なんでも屋さんだね。すごいね。
スガノ 実際につくってくれるところにお願いするのも、
南郷がまずサンプルを作って
窓口になることが多くて。
祖父江 これ、座布団? 
なんこ これはカウチンセーターの
ワンポイントで、
もうひとつのほうは、OHTOの。
祖父江 そうだ! さっきのOHTOの、
ちいさいやつ。
なんこ 撮影用小物です。
祖父江 これはこのまま製品というわけじゃなくて
ミニチュアなんだね。
これ、いいね。
はりぐち 撮影用なんですけど
妙に好評なんですよ。
なんこ 携帯入れにもいいのかな。
べっかむ3 名刺入れにもなるね。
祖父江 顕微鏡入れにもなるよ。
はりぐち 顕微鏡?
スガノ ルーペですか?
祖父江

そーそー。
こないだ買った携帯用電子顕微鏡を
入れるのにぴったりの大きさ!
それにしてもみんな、
いろんなことをしてて楽しそうですね。
わくわくしちゃうね。
‥‥これに虫入れると
こはくになりそうだね。

全員 (こはく??)
祖父江 ちょっと入れてみる? 入れてなくていい?
スガノ 虫があるんですか?
祖父江 うん。そこにある。
そこのやつ、入れてみよ!
なんこ この壁の? これ‥‥ですか!
あ、ほんとだ、チョウチョがいる。
やまかわ なぜ、事務所にチョウチョが?
祖父江 やらなくてもいい?
やらなくてもいい?
はりぐち やってみましょうよ。
なんこ すごい、ホンモノ???
祖父江 わーい。こはく、これでやってみよう。
こーはく歌合戦だ。
スガノ 紅白歌合戦(笑)。
なんこ こはくっぽいですよ。
はりぐち なってない?
どう?
スガノ (写真を撮りながら)
こはくみたいになってるかなぁ?
いくつか撮ったほうがいいですね。
祖父江 ‥‥えっとね。
スガノ (写真を撮りながら)はい。
祖父江 いま、やってみて思ったんだけど、
これは、こはくにはなってない、きっと。
全員 わははははは。
祖父江 いやぁ、だめだったねぇ。
でも、こんなふうに、
だめかもしれないことも、
一回、やってみると
いいかどうかわかるよね。
なんこ はい(笑)。
祖父江 サンプルでも、ミニサイズ版でも、なんでも、
頭だけで考えて終わらせないで
まずやってみるってことって大切だよね。
なんこ ふふ、うれしい。
ありがとうございます。がんばります。
祖父江 まず、手を動かす。これは大事だよね。
コンピューターで仕事してると、
いろんなことを勝手に計算してくれるから
何をしたかったのかとか
なんだかよくわかんなくなるっしょ?
なんこ はい。
祖父江 かたちのおもしろさとか
そういうことって
自分の手や体がやってみないと
わっかんないもんねぇ。
わかんないままにマシンいじってても
なんだか形には、なってしまう。
イメージのないまま作業を続けるのって
とても危険だよね。
まずしっかりしたイメージを持ってから
コンピュータに向かわなきゃ、
だめだめよね。
なんこ 祖父江さんのミッフィーのグッズのラフも、
最初はぜんぶ手描きですもんね。
やっぱり、いちからパソコンに
向かったりはしないんだ、と思いました。
祖父江 うん。あれは、ぼくと、
コズフィッシュのスタッフの
フクシマとの共同作業です。
手探り、手作業はたのしいね。
なんこ はい。
祖父江 ひとつの商品を作るときって、
サンプルはどのくらい出すの?
なんこ それはもう、いっぱいです。
素材を検討するだけじゃなくて、
プリントのしかたを変えたやつも
何種類もつくりますし、
すごい量だと思います。
祖父江 わ!
OHTOのミニチュア、
さわってると文字が剥がれてきたよ。
これから撮影だよね? うわー。
なんこ それはシールだから大丈夫です。
祖父江 よしっ、OHTOのシールを嘔吐しました。
それはつまり、「戻しました」に
かかってるんだけど。
わかりにくかったね。
全員 (笑)
スガノ しかし‥‥祖父江さん、
どうして事務所にチョウが?
やまかわ チョウだけじゃない、
袋にいろいろ入ってますよ。
祖父江 うちの事務所、
虫がよく、新人として入ってくるんです。
べっかむ3 新入社員(笑)。
祖父江 そんで、見つけるごとに、
ここに入れてるんです。
はりぐち へぇ。
なんこ すごくきれいですね。
祖父江 不思議だね、昆虫の羽根って
死んでも色がくすまないんだよねぇ。
魚はすぐに色がくすんじゃうのにね。
蜂やら蛾やら、いろんなのが飛んできて、
あっちこっちで活動しててにぎやかです。
やまかわ 蜂やら蛾やらも‥‥。
祖父江 そう。カマキリやらトンボやら、
みんなフレンドリーに来てくれるんです。
魚は飛んでこないけど。
そして、部屋中を駆けめぐり、
外に出られなくなっちゃう。
なんこ そのまま。
祖父江 そう。翌日、床に落ちてたりする。
あまりきれいなんで、
ついついとっておくんです。
でも、ニホンヤモリが入ってきたときは
つかまえて外に出してあげましたけど。
‥‥なんかね、こうやって見ると、
かたちになっちゃうねぇ。そう思わない?
スガノ かたちに‥‥。
祖父江 うん、昨日まで生きてて
動きまわってたのに、不思議だよね。
今日になると形だけが残ってる。
本人はここにいないのに
形だけがとどまってるの。
‥‥でも、これから腐るから、
とどまってないのかもね。
あれ? 何言ってるかわかんないかもかも?
スガノ いえいえ(笑)。
あ‥‥そういえば思い出しました。
私がはじめて祖父江さんにお目にかかったとき、
コズフィッシュのなかで蝉が飛んでいました。
ミンミンいって、ぶんぶん飛んでて、
祖父江さんが着地した蝉を
はい、ブローチ! って、名刺交換のときに
初対面でつけてくださって、
卒倒しそうになったのを憶えています。
祖父江 ふふふ、そうだったね。
スガノ それじゃあ、全員、
ひととおり終わりましたので。
祖父江 じゃ、次はぼくのばんだ。

全員

そ、そうだ!
(つづきます)
2010-05-01-SAT


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