「朝日新聞東京本社の編集局フロアには、
インターネットの速報ニュースサイト
「asahi.com」の
部署もあります。
おなじインターネットの世界の
「新聞」として、
我々「ほぼ日」、とても興味のある場所です。
特に、宇宙部(システム部)のふたりが目を輝かせます。
「asahi.com」のページは、
取材記者の方が書いた記事を
データベースにいったん入れて取り出す、
という方法をとっているそうです。
お話を「asahi.com」の方に
伺ってみましょう。
「はい。CMS(コンテンツマネジメントシステム)
といいまして、
2002年にゼロから開発しました。
データベースにある情報を
決められたテンプレートに移すと、
『asahi.com』のページに
反映されるようになっています。
ためしにやってみましょうか」
作業模範演技。ただならぬ注目に
「なんだか不思議な気分です」
おおー、画面に記事が反映されました。
ところで、この「もとの記事」が
データベースに入るのは
どういったタイミングなんですか。
「取材記者が現場から記事を送って、
それを編集のデスクがチェックした段階で
『asahi.com』も
引っ張ってこられるようになります。
そのタイミングは紙面とまったく一緒です」
ホカホカの状態で
情報を取り出すわけですね。
‥‥ということは、「asahi.com」は
誰かがずっとパソコンの前に
はりついていなくてはいけない
状態じゃないでしょうか。
「はい。いつも誰かいます。
ときどきデスクの人が
喫煙室にこもっちゃうことがあるので、
いま吸いに行かれると困る! と、
そういうときは走って呼びに行きます」
ああ、なんとなくわかります。
webの宿命というか。
「もう、しょっちゅう、走って追いかけます」
システムが整備されていても、
画面にアップする作業はやはり
手作業になるんですね。
アクセス解析のようなものは、
どこかでできるんですか?
「いま読まれている記事のアクセスが
リアルタイムでわかるようになっています。
いま、いちばん読まれている記事は‥‥と、
これですね」
これは‥‥意外な記事が読まれてますね!
「そうなんです、意外なんですよ。
ぼくらも驚くことがあります」
データベースの情報は、
新聞と共有だということなのですが、
そのあとに記事とネットで
書き分けたりはしないんですか?
「基本的には、情報は
“紙”と共有してるんですが、
ときどき取材記者の人に
ネット用にも書いてもらいます。
例えば交通情報や
地震が起きたときの第一報などがそうです。
つまり、新聞というものは
しめきり時間に合わせて
それまでのいろんなデータを詰め込んで送りますが、
ネットの場合はまず
『何が起こったか』の1行だけでいいので、
早く出します」
詳細がなくても
出しちゃいたいということですか。
「そうですね」
編集長的な方はいらっしゃるんでしょうか。
「指揮してるのは、
あそこに立ってるデスクです。
あの人が責任者になって、
すべてのチェックをしています」
チェック係は、おひとりなんですか。
「いや、そういう意味では、
ここにいるメンバー全員がチェック係です。
最後の配信までに、
3人ぐらいに目を通してもらって、
ゴーサインを出すという感じです」
壁際で、電光掲示板のようなものを前に
お仕事をされている方もいらっしゃいますが、
何をなさっているのでしょうか。
「あ、あれは携帯部門です。
『asahi.com』の携帯電話のサイトと
新幹線の電光掲示板の
朝日新聞ニュースの担当部署は
同じなんですよ」
では、あの電光掲示板は、新幹線の車両の?
「そうです。
あれと同じものが、いま、
新幹線の車両で流れています」
電光掲示板に流した状態を、
じっさいにチェックしながら、
あそこで、携帯といっぺんに
運営してらっしゃるんですか。
頭が混乱しそうですね。
「『asahi.com』には
ワンフロア上にも
編集部があるんですよ。
そちらにも行ってみましょう。
そこにうちの“宇宙部”もいます」
「ほら、あの一角‥‥
うちの宇宙部がいるところです。
みなさん、こちら、『ほぼ日』ご一行です」
あ、通じてる(笑)。
「宇宙の交信がはじまりましたね。
その向こうには、
デザイナーたちがいます」
デザイナーの人たちがいらっしゃるところだけ、
Windowsではなく、Macがありますね。
「ええ。あそこだけMacです。
言われてみれば、おもしろいですね」
宇宙部同士があいさつしてます。
一気になじんでます。
「asahi.com」と「ほぼ日」、
お互いのしくみについて
意見を交換してるようです。
“‥‥そりゃ、たいへんですね、
はあ、そりゃたいへんですね”
という声が聞こえます。
「きっと、愚痴も
似たようなことだったり
するんでしょうね」
がっちり意気投合したようですね。
「そして、こちらが
『asahi.com』のニュースではない部門の
編集部です。
ここは写真を撮ってもいいので、
どうぞカメラを向けてください」
ここは、下のフロアの「asahi.com」とは
別チームなんですか。
「そうですね。
下階のチームは、『asahi.com』の中でも
速報のニュースをどんどん出すところです。
こっちはそれ以外の記事を作成します。
あの‥‥下からやってくると(笑)、
なんだかみんな一見、
わりと遊んでるように見えますけど」
いままで見てきたなかで、
このフロアがいちばん
我々「ほぼ日」の
雰囲気に似ている気がします。
女性が多いですし、若い方も多いですね。
「はい。下は新聞と連携をして、
ニュースを扱います。
ここは、児童もの、ファッションのもの、
いろんなことをやります」
ということは、ここは
記者の方が送ってくる情報を
編集するだけ、というわけじゃないんですね。
「はい。ここから取材に出ます。
ですから、この中に
取材記者も当然いますし、編集もします。
『ほぼ日』はどんなふうになさってるんですか?」
「ほぼ日」も同じです。
基本的に、取材した人やチームが
企画、構成、編集をやります。
(つづきます!)
2011-01-14-FRI
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