第3回生活のたのしみ展に
「似顔絵のお店」が、出展いたします。
どんな楽しいお店になるのかは、
こちらで、ぜひチェックしてください。
描いてくださる方のなかに、
和田ラヂヲ先生がいらっしゃるので、
「似顔絵とは、何か」について、
インタビューをさせていただきました。
もちろん、いつものごとく、
似顔絵とはまったく何にも関係ない、
おかしな話もタップリ満載。
担当は、ほぼ日奥野です。さあどうぞ。
第4回 両手両足で描く勢いで。
- ──
- ここへ来る前に、
伊丹十三記念館へ寄ってきたんですが、
伊丹さんて「13の顔を持つ男」だと。
- 和田
- ええ。いろいろやってましたもんね。
- ──
- 映画監督は言うに及ばず、
俳優、テレビマン、エッセイスト、CM作家、
絵もお上手で、デザインもできたとか。
- 和田
- 多才な人です。
- ──
- 和田ラヂヲ記念館ができた暁には‥‥。
- 和田
- できるわけないじゃないですか。
- ──
- 全国梅干の種とばし選手権王者であり、
大喜利チャンピオンであり、
似顔絵作家の顔も持つ男であって‥‥。
- 和田
- 何か忘れてませんか。肝心のやつを。
- ──
- と、マンガ家と。
- 和田
- それです。それそれ。マンガマンガ。
- ──
- ようするに、
先生は4つの顔を持つ男なんだなあと、
伊丹十三記念館で思ったんです。
- 和田
- あの素敵な空間でですか。
- ──
- でも、この話も何度も聞いていますが、
先生が、マンガというものを
デビューから描きはじめたということは、
本当にすごいことだと思うんです。
- 和田
- 時代がよかったんですよね。
ぼくみたいなのが、許されたというか。
- ──
- いつだったかの取材で
「絵がうまくないからといって、
マンガ家をあきらめてしまうのは
まだ早いと思います。
上手くなりたいと、
まったく思わずにやってきた自分でも、
こうして多少は上手くなりましたから」
という名言も飛び出しました。
- 和田
- でも、マンガ家というのは、
あまりうまくならないほうがいいなあと、
思ってはいるんですけどね。
だって「1巻」と「30巻」で
絵が別人みたいなマンガ家もいますけど、
個性があるのって、
圧倒的に「1巻」のほうじゃないですか。
- ──
- ああー‥‥たしかに。
- 和田
- 絵が洗練されていくってことは、同時に、
アシスタントでも描けるような、
そういう絵になってしまってるわけでね。
その点、湯村輝彦さんの絵は、
絶対に、湯村さんにしか描けないからね。
- ──
- ラヂヲ先生にアシスタントさんがいても、
ラヂヲ先生の絵にはならないでしょうね。
ちなみに、先生は以前から、
湯村輝彦さんファンを公言されてますね。
- 和田
- ええ、大好きなんです。昔から。
これまでに4回くらい、
湯村さんのとこに行ったことがあります。
一度は、大竹伸朗さんと一緒に。
- ──
- ええー、湯村輝彦さんと、
大竹伸朗さんと、和田ラヂヲ先生‥‥て。
ものすごい濃い空間ですね。
でも、えっと、湯村さんと大竹さんって、
どこでつながるんですか?
- 和田
- 大竹さんも、湯村さんが大好きなんです。
若いころ、無名時代に、
作品を持ち込みで見てもらおうと思って、
行ったらしいんですよ。
- ──
- 大竹さんが、湯村さんのところに。
- 和田
- で、ものすごい緊張して行ったら、
アトリエの入口に
「湯村輝彦」って名刺がペタッと、
表札代わりに
貼り付けてあったたらしいんです。
それを見て「参った」と思ったらしくて、
カッコよすぎて。
ビビッて帰ってきちゃったそうなんです。
- ──
- では、作品も見せずに?
- 和田
- そう、そのときはね。
ぼくと行ったときは、一緒に新宿にいて、
当時、湯村さんのスタジオが近くだったんで
「このへん、湯村さん住んでますよね?」
って何気なく言ったら、
「あれ、和田くん、湯村さん好きなの?」
って聞くから、
「いやいや、昔から大好きなんですよ」って。
- ──
- ええ。
- 和田
- そしたら、大竹さんが
「じゃあ、いまから行ってみよう!」って、
いきなりスタジオに連れて行かれて。
- ──
- アポなしで? で、いらしたんですか?
- 和田
- 湯村さん、だいたいいるじゃないですか。
それどころか、すごいよろこんでくれて、
「よく来た、入れ入れ」って。
遅い時間まで、飲み食いさせてもらって。
- ──
- 大ファンとしては、うれしいですね。
- 和田
- でね、そのときに、いい話があってね、
えっと‥‥‥‥‥何だっけな、
あれっ、何だろう、何だったっけな。
- ──
- はい。いい話。
- 和田
- これ‥‥ものすごくいい話なんだけど、
ちょっと内容が思い出せない。
- ──
- そんなことあるんですか(笑)。
- 和田
- あー、もうしわけない、思い出せない。
いい話なのに。なんてことだ!
- ──
- では思い出されましたら、ぜひ(笑)。
- 和田
- ああああ‥‥。
- ──
- 大竹伸朗さんと先生は、
いつごろからのおつきあいなんですか。
- 和田
- 20年‥‥には、まだならないかなあ。
17、8年くらいですかね。
- ──
- 梅干の種とばし王者になられたときに、
大きな梅干の種のオブジェを、
プレゼントされてらっしゃいましたね。
- 和田
- そうそう、つくってくださったんです。
「和田くん、優勝おめでとう!」って。
- ──
- デスクにさりげなく置いてありますが、
現代美術家の芸術作品ですよね、あれ。
- 和田
- そうですよ。1点もののアートですよ。
以前、東京都現代美術館で、
大竹さんの作品を網羅した展覧会には、
呼ばれませんでしたけど(笑)。
- ──
- じゃ、幻の作品じゃないですか(笑)。
目録に載らない、幻の。
- 和田
- 「和田くん、アレ貸してくれないかな」
って言われるかなあって、
いまかいまかと待ってたんですけどね。
- ──
- 会期は静かに終了していった‥‥と。
大竹さんがおつくりになった、
直島にある「I♥湯」という銭湯の
パンフレットのイラストも
先生、お描きになってましたよね。
- 和田
- ええ、やらせていただきました。
大竹さんに何回も描き直しさせられて、
「和田くん、これギャグ要らないんだよ」
って、自分で描きゃいいじゃないか!
- ──
- あははは(笑)。
- 和田
- すっかり関係ない話になってますけどね。
- ──
- ほんとですね。
- 和田
- 似顔絵、がんばりますよ。
- ──
- お願いします。
- 和田
- いいんですか、こんな終わり方で。
- ──
- 大丈夫だと思います。
読者のみなさんには、
きっと、何かが、伝わったと思います。
- 和田
- わかりました。では似顔絵がんばります。
両手両足で描く勢いでね。
- ──
- 先生、それは気持ち悪いです(笑)。
< おわります >
2018-06-01-FRI
描いてくださるのは、ロビン西さん、
イマガワノブヒロさん、和田ラヂヲさん、
矢部太郎さん、そして下田昌克さん!
そんな豪華な似顔絵のお店が、
6月7日(木)から11日まで開催される
「生活のたのしみ展」に出現します。
店の名は、NIGAOESKÝ(ニガオエスキー)。
われらが和田ラヂヲ先生をはじめとし、
おなじくマンガ家で
『マインド・ゲーム』のロビン西さん、
『Mother3』のキャラクターを手がけた、
ドット絵のイマガワノブヒロさん、
漫画『大家さんとぼく』が大ヒットした
カラテカの矢部太郎さん、
そして、色鉛筆による似顔絵作品で有名な
アーティストの下田昌克さん。
肩書も、作風も、何に似顔絵を描くかも、
みごとなまでにバラバラな5人が、
日替わりで似顔絵を描いてくださいます。
登場の日程や料金や整理券についてなど、
こちらのページで、
詳細を、ぜひチェックしてみてください!