腰を据えて食べることを考える。
NHKのドキュメンタリー番組が、人々を動かした。

本日、2月24日より
『人間は何を食べてきたか』を
「ほぼ日」で販売します!



今日、初めてこのページをご覧になった方は
まずはここを読んでください。

2月21日(金)の「ほぼ日」誌上で予告した、
『人間は何を食べてきたか』販売に対して
突然の発表であるにも関わらず、
熱心な読者の皆さまの反響をいただきました。
いくつかのメールを紹介させていただきます。

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ぼ日を2-3年ほど前ぐらいから、
だいたい毎日のぞいています。
突然、『人間は何を食べてきたか』
というタイトルを目にし、
驚き、うれしくなりましたので、
初めてメールすることにしました。
私が高校生だったころ、
テレビに食いつくように、
この番組を見たのを思い出したからです。
今でも、その感動は継続しています。
でも、それをDVDやビデオで残そうと
具体的に動いた方がいらっしゃるとは。
本当にすごい番組だったので、
私の他にも人生が変わったという方も
いらっしゃるかもしれませんね。
今回のDVDとビデオの発売を
喜んでいらっしゃる方も多いと思いますよ。
(でんさん)

間は何を食べてきたか』が
DVDになると聞いてびっくりしました。
このドキュメンタリーがDVD化されるのは
とてもうれしいです。
なぜなら、およそ20年くらい前、
私が中学生のときに
このシリーズを観ていたく感動したからです。
私が覚えているのは、ベドウイン族の塩、
チーズ(それから乳製品全般)の特集と、
ヨーロッパのどこかの国の
(ドイツだと思いますが)肉の特集です。
特に「肉」の特集では、一匹の豚が
本当にひとかけらのムダもなく完全に食品として
利用されていく様子が圧巻で、
本当に、人間というのは昔から
ずっと「食べること」を
研鑚してきたのだなあと思った覚えがあります。
(Zeppelinさん)

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あの宮崎駿監督が番組放映当時に
「こんなすごいドキュメンタリーがあるのか
 この番組をもっと、おおぜいの人に観てもらおう」

と本気で思って行動に起こし
その意気込みがいろんな人を巻き込んで
奇跡のように発売されることになったのが、
この『人間は何を食べてきたか』です。
この番組を観て、
宮崎駿監督と同じように
この番組に魂をわしづかみにされていた人が
たくさんいらっしゃるということがわかって
ぼくらもうれしくなりました。
金曜日の販売宣言開始から数分で届きはじめた
読者の皆さんからメールには、
10年以上も前に放映された番組なのに、
内容についての描写が非常に鮮明に書かれていて、
あらためて驚きました。


今回販売することになった
『人間は何を食べてきたか』全8巻とは、
NHKで1985年から1994年にかけて
全4シリーズにわたって放映された
『人間は何を食べてきたか』
<ジブリ学術ライブラリー>としてまとめたものです。
番組で取り上げているのは、
肉、米、麺、醤油、雑穀など、
人類の長い歴史を支えてきた18の食物と
それらの食物が育んだ様々な国や地方の文化です。
そこにスポットをあて、
そこに暮らす人々の生活を克明に描きだしたものです



今回の発売に際しては
番組として放映された全4シリーズとともに、
この発売を本気で望んでいた
宮崎駿、高畑勲両監督と
当時の番組制作担当者との座談会も
映像特典として収録されています。

この座談会を観ると
いかにこの番組が本気で作られていたのかも
うかがい知ることが出来ると思います。
当時の資料によると、
この制作をスタートするにあたって、
制作スタッフには
「3つの掟」が徹底されたということです。
その「掟」を紹介します。

一つ目は「取材班は、必ず現地の農家に泊まり込め。
     そして同じ釜の飯を食え。
     間違ってもホテルや宿屋からの
     通い取材は許されない」


二つ目は「農作業を手伝え。農作業の合間に撮影し、
     録音をとらせてもらえ」


三つ目は「決して、
     いい番組や面白い番組を作ろうなどと思うな。
     人々が何を作り、何を食うかを
     徹底的に『記録』せよ」


何が撮りたかったのかが、実によくわかると思いませんか?
いまでも、タレントさんが海外に行って
同じようなルールの上でこういうことを
ゲームとして演じる番組はよくあると思いますが
この『人間は何を食べてきたか』に関しては
テレビに出ることの無い、裏方全員に
こういう「掟」を徹底させていたというのです!
その土地に住む人と同じ視線を共有して、
徹底的に撮られた映像には
番組制作者が意図して作ろうとした
「ちょっといい話し」や「涙と感動」
といったものは一切ありません。

あるのは、「食と真剣に向き合って生きている」
世界各地の「人間」だけです。

今回の発表と同時に始まった
「『人間は何を食べてきたか』は誰がみるのか?
 あ、オレか。」

では、放送作家として
『料理の鉄人』をはじめとして
数々のヒット番組を手がけてきた
小山薫堂さんは正直にこうおっしゃっています。

いかにその、自分がこう、
生っちょろいところで、
生きてきたのかっていう(笑)。


8巻で合計約886分。
まずは、ほんの数分だけでも観て、
「食べること」を考えはじめてみませんか。

実は、ぼくらも最初は
こんなに本気になるとは思わなかったんです。
宮崎駿監督の意気込みに、
なんだか巻き込まれてしまっていたんですね。

スタートはdarlingの興奮の一声でした。
「・・・なめてたわ、オレ。すごいんだ、とにかく!」
の勢いにおされ、
「8巻のビデオを全部観るって
 正直、無理ですよ。
 でも、社長があんだけ言ってるんだから、
 まずは観ることにしようよ」と、
たまたま、その場に居合わせた
数人の乗組員が、1、2本ずつ、
家に持ち帰ることから始まったのでした。

翌朝、会社に来てみると、
目の周りにクマを作りながらも
ビデオの感想を唾を飛ばしながら
言い合っている乗組員達がいました。
(たしかに、『北の国から』の時と似ているかも)

「豚の解体っ!豚の解体っ!」
うわごとのように言いまくっていたのは、
 いきなり第一、二巻、合計274分の長編を
 一気に観てしまったROCK西本。



「いや、スイカは感動!スイカはスゴイよ」
 とは、ナショナルジオグラフィック、
 ディスカバリーチャンネル好きの捨木。

「クジラは、それより偉大です!!」
 かつてこのドキュメンタリーの本を
 編集していて(偶然ですよ!)
 不思議な縁を感じたという、りか。

「べトウィンには頭が上がらない…。」
 ドイツで育ち、
 ソーセージとパンとチーズを食い尽くしたという
 期待の新人・トミタ。

夜中に普段の仕事を終えてからビデオを観て、
睡眠時間もなく、身体はくたくたなはずなのに
熱く語ってしまう、ぼくらなのでありました。
そのうちに『人間は何を食べてきたか』
社内では『何食べ』と勝手に略して話しはじめ
その熱病とも言える
『何食べ病』は、他のほぼ日乗組員に感染してしまい、
ついにはビデオの貸借り表ができてしまいました。

なんだか表現が熱くなりすぎて、
読む人には迷惑だったかもしれませんが、
すみません。お許しください。
これからも、さらにしつこく、
『何食べ』についてお伝えしていきます。
それではっ!

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連動企画
「『人間は何を食べてきたか』は誰がみるのか?
あ、オレか。」

2003-02-24-MON


食いしん坊もいます、グルメもいます。
食べることなんかどうでもいい、と言ってる人でも、
食べものがなかったら大騒ぎになってしまいます。
「パンのみに生きるにあらず」という言葉の前提には、
やっぱり、パンの存在があるわけだし。
食をめぐっての戦争や抗争が、
人間の歴史そのものだったという人もいます。

「食べる」って、なんでしょう?
人間にとって
「食べる」って、どれくらいの重みなんでしょう?
ダイエットとグルメの情報が無数にとびかっている
いまの日本で、本気で「食べる」ことを考えるって、
実は、かなり難しいことなんじゃないかとも思えます。

「ほぼ日」は、お気づきのとおり、
食べることが大好きなサイトですし、
真剣に農のことを追いかけている背景には、
やっぱり食べることへの大きな興味があります。

そこに、あるドキュメンタリー番組の噂が飛び込みました。
『人間は何を食べてきたか』という
NHKが放映した番組のことでした。
これを、あの宮崎駿監督がたまたま観て、
「こんなすごいドキュメンタリーがあるのか」と、
魂をつかまれてしまったらしいのです。
番組としては、せいぜい再放送される程度で、
おおぜいの人に観てもらう機会はなくなってしまいます。
宮崎さんは、ぼくなんかにも、
その番組のことを熱く語っていました。
おそらく、会う人会う人に、あんなふうに語っていたのだと想像します。

やがて、この番組の権利をジブリで買い取って、
ライブラリーとして、おおぜいに観てもらう機会を
つくろうと本気で考えたようです。
その意気込みが、じわじわと伝わっていって、
ほんとうに「全8巻」のジブリ学術ライブラリーとして
発売されるまでに至ったのであります。

興味のない人には、「全8巻」は迷惑かもしれない。
しかも、値段も高価になります。
でも、たじろがずに紹介していこうと思います。
しかも、1セットでも2セットでも、
求める人がいると信じて、販売の窓口もつくります。

発売元になった
「ブエナビスタホームエンターテインメント」の人たちも、
「ほぼ日」のぼくらも、思えば、
台風のような宮崎さんの意気込みに、
まきこまれてしまったのかもしれません。あはは。
でも、みんなで「回し観」したサンプルは、
異常なほど大評判だったのです。
「ほぼ日」が食にまつわる仕事を積極的に
している最中だったからなのかもしれませんが、
『北の国から』なみの人気になりました。

たしかに、おもしろい。
「なんだか、人間に一味ついたような気がする」、
「腰を据えて観てよかったよー」、
「ぼくは、実はこれオンエアの時にも観ていたんです」

とまぁ、いろんな発言がありましたが、
よーっぽど観たいと思ってくれなきゃ、
誰も観ませんよ、こりゃ。普通はね。
1セットも売れないかもしれないくらいです。
(内容については、24日から詳しく紹介します)

だけど、観たらおもしろいし、
おかあさんみたいな言い方をすれば「ためになる!」
ほんとに学術ライブラリーだっていうこともあるわけです。

だから、売れるだの売れないだのをいったん忘れて、
紹介は、真剣にやりましょう。
そして、「ほぼ日」なりの魅力的な大サービスを、
考えましょうや、ということになりまして。
すばらしい「食」にまつわるプレゼントも考えました。

食を、料理人として真剣に考えているということでは、
この人が最適任でしょう!
ということで、『コート・ドール』の斉須政雄さんに、
ご協力をお願いしに行ったのです。

そして、斉須さんらしく、真正面から考えてくれて、
相談の結果、次のようなプレゼントが決定しました。

1セットしか売れなかったら、当選確実なんですが、

1等 一組2名様を『コート・ドール』のディナーにご招待。
  (東京ですが、交通費とかは自前でお願いします)

2等 5名様に、『コート・ドール』が、このためにつくった
  特製でお手製のお菓子を詰めたボックス。


そして、お買い上げの方全員に、
斉須政雄著『ほぼ日ブックス・調理場という戦場』に、
著者のサインを入れてプレゼントします


なんだか、すごいことになってきちゃった。
宮崎さんのテレビの前の感動が、波紋のように広がって、
たくさんの人を動かしています。
でも、その元の元は、「番組そのもの」。
さらに、その元は、食と真剣に向き合って生きている
世界各地の「人間」たちです。

「食べる」に興味のある個人の方々ももちろんですが、
「食」に関わる企業で働く人たち、
レストランとか、食品会社とか、スーパーマーケットとか、
そういう人たちに、ぜひ観ていただきたい
ので、
「会社で必要経費で入手する」という方向も、
あるんじゃないかと思っています。
(SKIPにも、ぜひ! 柚木社長)
「身が引き締まる思い」を感じますから。
(斉須さんにも、そうとうの衝撃があったらしいですよ)

というわけで、24日(月曜日)から、
『人間は何を食べてきたか』(全8巻)のDVDとビデオ、
「ほぼ日」で販売を開始いたします。

2003-02-21-FRI


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