キャンプのことを知れば知るほど、
わかればわかるほど、
そこには簡単な答えがないことがわかる。
「どうしてキャンプをするんだろう?」
それについての答えも人によってさまざま。
キャンプについてのお話をうかがうことと、
純粋にキャンプをすることの両方を目的に、
五光牧場オートキャンプ場へ行ってきました。
そして、それぞれにテントで一泊した翌日、
KIKIさんと、こいしゆうかさんに、
キャンプについて話してもらいました。
KIKI(キキ)
東京都出身。モデル・女優。
武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。
雑誌やTVCMなどの広告、
エッセイや寄稿文の執筆など多方面で活躍中。
著書に『美しい山を旅して』(平凡社)、
『山が大好きになる練習帳』(雷鳥社)、
『山・音・色』(山と渓谷社)など。
こいしゆうか
キャンプコーディネイター、イラストレーター、漫画家
キャンプのある人生の豊かさを発信し、
誰でも気軽にできるキャンプスタイルを提案。
プロダクトデザイン、キャンプ場のプロデュース、
メディア出演などが主な活動。
一方漫画家として、キャンプだけに止まらず
趣味にまつわる入門書漫画を多数執筆。
主な著書に『カメラ、はじめます!』
『ゆるっと始めるキャンプ読本』
『わたしでもスパイスカレー作れました』などがある。
- KIKI
- (葉っぱをじっと見つめている‥‥)
‥‥ごめんなさい、
きれいなのがいるな、と思って。
- ──
- コガネムシ?
- KIKI
- なんだろう、コガネムシじゃないですね。
- ──
- カミキリムシ系かな。
- KIKI
- すいません、止めちゃって。
光ってるから。
- こいし
- たしかに(笑)。
- ──
- すごい光ってる(笑)。
さて、質問ですけれども、
こいしさんは、キャンプのことで
これからやってみたいことはありますか?
- こいし
- うーん、単純に、行きたい場所は
たくさんあるんですけどね。
それよりも、最近、
キャンプ場を利用する側じゃなく、
用意する側の視点を持っていきたいと考えていて。
そうすれば、キャンプの新しい魅力に
気づけるんじゃないかなと。
- ──
- つまりそれは、キャンプ場を運営する側の視点。
- こいし
- そうです。だから最近、
「キャンプ場ってなんなんだろう?」
って、よく考えるんです。
- KIKI
- それは、こいしさんにとって
すごく新しいステップですね。
- こいし
- そうなんです。
いま北軽井沢のキャンプ場で
ボランティアとしてお手伝いをしているんですけど、
運営としてちょっと関わらせていただいただけで、
たとえば、子どもたちの動きとか、
ファミリーキャンプって
どうしたらいいのかとかが、
客観的に見えてきたような気がしていて。
- KIKI
- すごい。
- こいし
- ただ、いまはやっぱり
お手伝いをしているだけなので、
たとえば北軽井沢に移住したりして、
もっとがっつりやってみたいんです。
- ──
- ご自分でキャンプ場を運営する、
というようなことも?
- こいし
- そういう可能性もあるかもしれないですけど、
女性ひとりでそういうことができるのかどうか、
当然、安全性も担保しなければいけないですから、
いろいろと悩みますね。
- KIKI
- こいしさんが運営するキャンプ場、
すごく行ってみたいです。
- こいし
- ありがとうございます。
今回、ほぼ日さんに誘っていただいた
このキャンプで、KIKIさんや石川直樹さん、
ゼインアーツの小杉さんと
お話しさせていただいて、
自分がやるべきこと、伝えなきゃいけないことが
ちょっと見えた気がしたんです。
石川さんがおっしゃった
「キャンプ」ということばの意味の広さとか、
小杉さんに教えていただいた歴史とかを
ちゃんと伝えていかないとだめだなって。
- KIKI
- 私も、キャンプって、こんなに、
広さと深さがあるんだなって、
今回、ちょっと驚きました。
- こいし
- そう。そのへん、もう1回、
ちゃんと勉強したいなと思いました。
- KIKI
- 私の場合、子どもの年齢的に、
そろそろ本格的にキャンプを家族で
はじめてもいいなって思ってたから、
今回のこのキャンプをきっかけにして、
テントや道具を、あらためてもう一度、
考え直してみたくなりました。
車で行くキャンプもいいし、
島でのキャンプもしてみたいし。
- こいし
- うん、いいですねえ。
- KIKI
- キャンプにはいろんなたのしみ方があるって、
知れば知るほど、決めるのが難しくなりますよね。
だから、理想としては、
キャンプのかたちをひとつに固めずに、
今回はこのキャンプ場に行くから
こういう形でたのしもうとか、
今回は島に行くから荷物をコンパクトにしようとか、
そこまでものを増やさずに
うまくやっていけたらいいなと思ってます。
いまのテントは10年近く使っているから、
買い替えてもいいし、道具もそろえたい。
逆に、少ない荷物で島キャンプもしてみたい。
「どんなたのしみかたをしていこうか」
って考えること自体が、すごくたのしいんです。
- こいし
- わかります。
- KIKI
- 私、道具は失敗していいと思っていて。
今回、はじめてコットをつかったんですけど、
地面の上に直でコットを置くと意外と寒い、
っていうことも昨晩知ったので(笑)、
「コットの上にマットが必要だな」とか、
ちょっとずつ気付きがあって、
それもキャンプのたのしみなんですよね。
- こいし
- そうそう、トライアンドエラーって、
アウトドアのたのしみのひとつなんですよ。
- KIKI
- 最初から完璧にこなすよりは、
失敗や足りないものがあるからこそ、
つぎにつながるというか。
- こいし
- そうなんです。でもはじめての人ほど、
「失敗をたのしめばいいんです」って話しても、
なかなか伝わらなくて。
- KIKI
- はじめはそうですよね。
あと、ある種のゆるさも必要というか。
ちゃんとしすぎないほうがよかったり。
- こいし
- そうそう。
- KIKI
- 私、わりとずぼらなので、
そういう自分で助かってます。
食器なんかもキャンプ場でふいたあと、
「あれ? これちゃんと洗ったっけな?」とか。
- こいし
- うん、うん。わかんなくなるときある(笑)。
- KIKI
- いちおうぜんぶぬぐうので、
見た目はきれいになるんですよね(笑)。
- こいし
- 私、最近、いいスプレー見つけたんですよ。
- KIKI
- スプレー?
- こいし
- 食器にスプレーしてふくやつがあるんです。
それだけで、水洗いしなくてもいいレベル。
- KIKI
- え、最高、私の性格にぴったり(笑)。
- こいし
- 水が冷たい季節とかには便利ですよ。
汚れたクッカーとかはさすがに
家で洗い直したほうがいいですけど、
お皿の汚れとにおいをとるくらいならスプレーで。
- KIKI
- すばらしい。教えてください。
- こいし
- はい。このあと、持っていきますね。
- KIKI
- うれしい(笑)。
- ──
- それでは、お話しはこのくらいにして、
キャンプに戻りましょう。
ありがとうございました。
- こいし
- ありがとうございました。
- KIKI
- ありがとうございました。
(最後までお読みいただきありがとうございました)
なんか、キャンプに行くといろいろ思いますよね。
ほぼ日キャンプチームも、あれこれ思うし、
誰かに話したくもなるし、写真も撮ったりするので、
そういうのを載せておくことにしました。
みんなで書くよ。外部スタッフも書くよ。
いっしょにキャンプしたらチームだからね。
ほぼ日キャンプチームも、あれこれ思うし、
誰かに話したくもなるし、写真も撮ったりするので、
そういうのを載せておくことにしました。
みんなで書くよ。外部スタッフも書くよ。
いっしょにキャンプしたらチームだからね。
ほぼ人生においてはじめてのキャンプ。
「ほぼ」というのは、
一度だけ、会社の同僚30人ぐらいで
キャンプをしたことがあるからです。
いま思えば、それはキャンプというよりも、
新橋の居酒屋で毎週末やっていることを
キャンプ場に移してやっただけだったように思います。
どこまでも静かで真っ暗な自然のなかで
ひとりテントに入って眠るのは、
この日が生まれてはじめてでした。
自然のなかでひとりで眠るのは、
こんなにも心細く、さびしいものだったのか。
東京での毎日は、家族や仕事、インターネットに囲まれて、
さびしさを感じる隙なんて、
ここ数年いっさいありませんでした。
こいしゆうかさんが、こんなことを仰っていました。
「自分が何者だとか、何歳だとか
どんな職業に就いてるだとか、
そんなことは自然のなかではどうでもよくなる。
社会的ステータスも、
自然のなかでは役に立ちません。」
この日の自分は、
ひとりでテントも張れない、役立たずのさびしがりやでした。
でも単純なもので、朝起きると
「俺はあの夜を乗り越えたぞ」と、ちょっと成長したような
誇らしい気持ちになれたんです。
自分なりに自然と対峙できた気がします。
テントはひとりでがんばってたたみました。
「次回のキャンプもよろしくお願いします!」と
キャンプチームの乗組員さんに言ってもらえたので、
また次回もちゃんとさびしがれるように、
東京で慌ただしい毎日を送っておこうと思います。
「ほぼ」というのは、
一度だけ、会社の同僚30人ぐらいで
キャンプをしたことがあるからです。
いま思えば、それはキャンプというよりも、
新橋の居酒屋で毎週末やっていることを
キャンプ場に移してやっただけだったように思います。
どこまでも静かで真っ暗な自然のなかで
ひとりテントに入って眠るのは、
この日が生まれてはじめてでした。
自然のなかでひとりで眠るのは、
こんなにも心細く、さびしいものだったのか。
東京での毎日は、家族や仕事、インターネットに囲まれて、
さびしさを感じる隙なんて、
ここ数年いっさいありませんでした。
こいしゆうかさんが、こんなことを仰っていました。
「自分が何者だとか、何歳だとか
どんな職業に就いてるだとか、
そんなことは自然のなかではどうでもよくなる。
社会的ステータスも、
自然のなかでは役に立ちません。」
この日の自分は、
ひとりでテントも張れない、役立たずのさびしがりやでした。
でも単純なもので、朝起きると
「俺はあの夜を乗り越えたぞ」と、ちょっと成長したような
誇らしい気持ちになれたんです。
自分なりに自然と対峙できた気がします。
テントはひとりでがんばってたたみました。
「次回のキャンプもよろしくお願いします!」と
キャンプチームの乗組員さんに言ってもらえたので、
また次回もちゃんとさびしがれるように、
東京で慌ただしい毎日を送っておこうと思います。
キャンプの朝が好きです。
ふだんの朝は苦手だけど、
キャンプの朝は起きられる。
この日の最低気温は5度。
目を覚ますと、顔の、
寝袋から出してる部分だけが
キーンと冷たい。
寝袋はほかほかで、
できることならこのままもう一度寝たい。
うだうだしつつも、よし! と心を決めて、
寝袋からずるずる這い出して
テントのジッパーを開けると、午前4時35分、
日の出時刻ちょうど。
外はほんのり明るいけれど、
太陽は東の山に隠れて見えない。
同じく日の出を見ようと起きた同僚と一緒に、
散歩したりコーヒー飲んだりと待つことほぼ1時間。
ゆっくりゆっくり、まわりが明るく照らされてきて、
そのうちに、ピカーッと出てきた小さな太陽。
鋭くて長くて、美しい光。
照らされる木々も花もテントも、
足元の草も朝露でキラキラ光ってる。
朝の光はみずみずしくて、
すべてを新鮮に見せてくれるように感じます。
この光を見るためにキャンプの朝がある。と
言ってもいいくらい、この時間が大好きです。
ふだんの朝は苦手だけど、
キャンプの朝は起きられる。
この日の最低気温は5度。
目を覚ますと、顔の、
寝袋から出してる部分だけが
キーンと冷たい。
寝袋はほかほかで、
できることならこのままもう一度寝たい。
うだうだしつつも、よし! と心を決めて、
寝袋からずるずる這い出して
テントのジッパーを開けると、午前4時35分、
日の出時刻ちょうど。
外はほんのり明るいけれど、
太陽は東の山に隠れて見えない。
同じく日の出を見ようと起きた同僚と一緒に、
散歩したりコーヒー飲んだりと待つことほぼ1時間。
ゆっくりゆっくり、まわりが明るく照らされてきて、
そのうちに、ピカーッと出てきた小さな太陽。
鋭くて長くて、美しい光。
照らされる木々も花もテントも、
足元の草も朝露でキラキラ光ってる。
朝の光はみずみずしくて、
すべてを新鮮に見せてくれるように感じます。
この光を見るためにキャンプの朝がある。と
言ってもいいくらい、この時間が大好きです。
2023-08-31(thu)
STAFF
編集 : 金沢 俊吾
動画撮影 : 石渡 樹
撮影協力 : 植田 慧祐
動画撮影 : 石渡 樹
撮影協力 : 植田 慧祐