── |
ときどき、私は「日本経済のために」という
妙な使命感まで持ち出して
買い物をすることがあるんですが。
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山田 |
うーん、それはちょっとちがう可能性があるな。
おおざっぱに言いますが、
日本経済のために使ったお金が
どこに行くかというと、
基本的には、お金持ちのお金を
増やすことになるんです。
企業の社長の給料って高いでしょう?
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── |
はあ。
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山田 |
だから、我々ごときが
がんばってものを買おうとも、
結局のところは、
お金持ちの懐をふくらませることくらいにしか
つながらないんです。
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── |
では、日本の経済を
いま、よくするためには
どうしたらいいんでしょうか。
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山田 |
それはやはり、
お金持ちがバンバンお金を使うのが
いいんです。
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── |
山田さんが使ってくださいよ。
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山田 |
いやいやいや、
僕はそんなにお金持ちじゃないですから。
ええっと、僕をはじめとするみんなが、
10万円をがんばって使いました、
それが100人います、と。
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── |
あ、計算機がでてきました。
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山田 |
(カチャカチャカチャ)
100人ががんばって10万円を使いました。
それでも1000万円です。
アラブの大富豪が、どこかの保養地に行くと、
5億円使いますよ。
しょせん庶民にはかなわない。
ですから、国の政策も、相続税制度などで
お金持ちにお金を使わせる方向に
向かっているんです。
お金持ちがどんどんお金を使わないと
経済効果を生むところまで、
なかなか及ばないのが実情です。
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── |
では、どうして
お金持ちはお金を使わないでしょうか。
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山田 |
憶えていません?
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── |
何をですか?
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山田 |
お金持ちは、
お金を持っているだけで増えることを、
知っているからです。
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── |
そうか!
その制度をやめたらいいんじゃないですか。
お金の自己増殖機能、やめましょう。
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山田 |
ははは、そうなんですよ。
お金持ちのお金は、
現金だけではリスクが高いので、
株券やファンドに形を変えてますけれどもね。
でも、基本的には全部財産です。
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── |
一般庶民のおばあちゃんが
タンス預金をしているから
日本の経済が冷えているとか、
そういうレベルではないんですね。
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山田 |
タンス預金を全部出したところで、
生活が不安定になるだけなんで、
ええ。
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── |
ガーン。
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山田 |
どこが出したデータか、
くわしくは忘れてしまいましたけれども、
日本の個人資産が何兆円あっても、
そのほとんどを
上位数%の人たちだけが持ってるんですよ。
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── |
バブルの時代には、
それらのお金は使われていたんですか?
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山田 |
一般庶民でバブリーだった人は
お金を使いましたけれども、
昔からのお金持ちや、
金持ちになるべくしてなっている人は、
バブルのときは、逆に動いていないんですよ。
土地だけじゃなくて株にも、海外の金融商品にも
分散して投資しているから、
土地の価格が低くなったところで、
「石油で儲かったからまあいいや」
ということになっているんです。
バブルのいちばんの特性は、
一般庶民も巻き込んだということでしょうね。
普通に生活をしていた人が、地上げにあって、
急に億単位のお金をポーンと渡されたりした。
だから、みんながバーッとお金を使ったんです。
そうなると、破綻も早い。
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── |
そういうことがあったあとでは、
よけいにみんな、生活が不安定になりますね。
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山田 |
そうです。先行きが不安になるから、
株価がガーッと落ち、
株価が落ちるとほかのものが
どんどん落ちてく。
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(つづきます!)